この記事で分かること
- 「五月雨式」という言葉の意味
- 正しい使い方や例文
社会人になるとビジネスの場面では、日常ではなかなか使わないような特殊な表現を用いることがあります。
「五月雨式」という言葉もそのひとつ。
主に「五月雨式で申し訳ございません」・「五月雨式に納品いたします」といった使い方で、ビジネスメールの文面で目にすることがあると思います。
よく意味は分からないけど、なんとなく聞き返せなくて流してしまったり、ちょっと見栄を張って使った結果ポカンとされてしまったり…
こんな苦い経験はありませんか?
ぜひ参考にしてもらって、ビジネスシーンにお役立て下さい。
「五月雨式で申し訳ございません」の意味や読み方は?
まず最初に「五月雨式」の意味や読み方から解説していきます。
五月雨式の読み方は?
五月雨式の読み方は「さみだれしき」です。
決して「ごがつあめしき」や「さつきあめしき」ではありませんのでご注意ください。
「五月雨式で申し訳ございません。」はどういう意味?
「五月雨式」の意味とは
または
であることを表現する言葉です。
もしビジネスメールで先方から「五月雨式で申し訳ございません」と書いたメールが届いたら、それは
・「一度にまとめず何回にも分けて、お手間を掛けさせてしまって申し訳ございません」
・「終わりの見えないような状態でダラダラと続けてしまって申し訳ございません」
このようなことを相手は言っているのだと解釈するのが正解です。
このように、ビジネスシーンにおいて「あまり好ましくない状態」を表現する言葉ではありますが、優雅さと上品さの漂う言い回しです。
実際に「だらだら連絡してすみません」と言われるよりも「五月雨式に連絡してしまいすみません」の方が、受け手も不思議と心の余裕を保てるような気がしませんか?
「五月雨式に申し訳ございません」のビジネスメールでの使い方と例文
つづいて「五月雨式に申し訳ございません」をビジネスメールで使う場合の例文をご紹介します。
- 去年より五月雨式ながら継続しております。
- 修正作業が五月雨式になってしまい申し訳ございません。
- 五月雨で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
- 五月雨式のご連絡を失礼致します。
- 五月雨式のご連絡申し訳ございません。
- 五月雨の依頼になってしまい恐縮です。
基本的にはあまり良い意味合いでは使われません。
ちょうど梅雨時の長雨のように、不快で、うっとうしい例えとして、「長く続けてしまって申し訳ない」という意味で使うのが正しいですね。
五月雨(さみだれ)と五月雨式(さみだれしき)の違い
ビジネスメールでは「五月雨式」を「五月雨」と短縮して使う場合もあり、どちらも正しい使い方です。
「五月雨で申し訳ございません」
という表現の真意は
と謝罪の気持ちがあり、それは「五月雨式」と書いても「五月雨」と短縮しても同じ意味合いなんですね。
なぜ「五月の雨」なのか?語源について紹介
五月雨式の意味が分かったところで気になるのが、なぜ「五月雨」という言葉が使われたのか?ということですね。
実は五月雨が意味する「五月」は旧暦の5月であり
⇒つまりは「現代の6月」のこと
を指しているのです。
6月の雨と言えば…、そう「梅雨」ですね。
だらだらと降りやむことなく続く梅雨時の雨のことを五月雨と呼び、そこから転じて「五月雨式」という言葉が生まれたのです。
「さみだれ」という言葉の響きからはちょっと梅雨のじとじとした雨は想像がつきにくいのです。
もしかすると昔の日本人は、気が滅入るような毎日の雨のことを敢えて美しく表現し、情緒豊かに過ごしていたのかもしれませんね。
五月雨式の正しい使い方!(先方から言われた時の受け答え方)
先方に、情報や納品物などをまとまった状態で出せず、何度かに分割しなければならない時は
- 「五月雨式に連絡してしまい申し訳ありません」
- 「申し訳ありませんが、出来上がったものから五月雨式にお送りいたします」
このように使います。
逆に先方から上記のように言われた時の対応としては、五月雨式で問題ない場合は、
- 「順次確認していきます」
- 「送れるものからお願いいたします」
といった内容を伝えると、その後のやり取りがスムーズになります。
また、メール連絡などで細切れに資料を渡される場合などは、一つ一つに返事をすると双方に負担がかかりますので、「資料が揃い次第お返事いたします」ということを一言伝えておくと、失礼になりません。
分割して送られてくる物の終わりを明確にしてもらえるよう依頼しておくのも大切です。
少し特殊な使い方では、先方からの指示などで、出来上がったものを順次確認していきたい場合やスピード感のある現場では、
といったように使われることもあります。
ただ、一般的にはやはりだらだらと細切れに事が進んでいくことについての謝罪という側面が強い言葉ですので、このような使い方はよく使う相手や環境を見てからの方が良いでしょう。
五月雨はどの季節の季語?使われる俳句の例
「五月雨」は先ほども書いたように、旧暦5月(現在の6月)に降り続く雨、つまり梅雨を指します。
ですから、俳句に使われる場合は「夏の季語」に分類されます。
かの松尾芭蕉の有名な俳句「五月雨をあつめて早し最上川」なら誰でもご存知だと思います。
梅雨の季節に降った雨で増水した最上川を詠んだ句ですね。
五月雨戦術とは何?
五月雨を使った言葉でもうひとつ目にするのが「五月雨戦術」。
これはどんな意味があるか辞書で調べてみると
〘名〙 つゆ時の長雨のように、長期にわたって闘争を繰り返し持続する労働組合の戦術の俗称。また、同様な、議会での要求や陳情のかけひき。
出典:コトバンク
似たような言葉で牛歩戦術がありますが、それと同じく「ゆっくりと焦らすよう」に物事を進める戦術のひとつというわけですね。
五月雨式と意味が同じの類義語はある?
五月雨式と意味が同じ(似ている)類義語はあるかというと
- 断続的
- 間欠的
この2つが代表的ですね。
ただ、あまりに無機質と言うか冷たい印象を受けます。
五月雨式を誰が流行らせたかは分かりませんが、最初にビジネスメールで使いだした人は少しでも「角が立たない言葉を使いたい!」そんな意識があったのかもしれません。
「五月雨式に申し訳ございません」を英語で言うと?
今ではコンビニ店員だけじゃなく、一般の会社にも外国人の姿が珍しくなくなってきました。
中国人や韓国人ならば「五月雨式」と漢字で教えれば、なんとなくイメージで伝えるでしょう。
しかし英語圏の人となると・・・・・・。
もしこの五月雨式を英語にすると
- 五月雨⇒early summer rain
- 五月雨式⇒May rain type
こんなやや強引な訳し方になってしまいます。これでは伝わりそうにありません・・・・・・。
そこで「五月雨式に申し訳ございません」を「長々と続けてしまい申し訳ございません」と言い換えて、英語に翻訳してみます。
それがこちら!
Google翻訳におまかせした結果ですが、これでだいたいのニュアンスは伝わるでしょう(笑)
アメリカ人などに英文メールを送る際はこのように書いてみてください。
【まとめ】謝罪の言葉に込められた日本人の優しい心遣い
「五月雨式」の使い方について、ご参考いただけたでしょうか?
あらためてこの記事をまとめると
- 五月雨式の読み方は「さみだれしき」
- 「五月雨式で申し訳ございません。」の意味は、ダラダラ続くことを謝罪する言葉
- 五月雨は夏の季語
この「五月雨式で申し訳ございません」という表現がビジネスメールでたびたび使われるのは、相手のストレスを軽減させ、その後、双方が気持ちよく仕事を進めるためだと思います。
ほんとうに「気遣い」と「優しさ」に満ちた表現ですよね。
謝罪の言葉に日本古来の美しい表現を使うというのは、日本人らしい奥ゆかしさとさりげなさがちりばめられていると感じます。
初めて使う時には少し気後れするかもしれませんが、堅苦しいビジネスのシーンに一輪の花を添えるように、優しい気持ちをのせて使ってみてはいかがでしょうか?
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