すっかり日本の食卓でもおなじみになったアボカド。
回転寿司に行けばアボカドを使った握りがありますし、家でもサラダにしたり、スープやグラタンにして食べいます。
でも、たまにアボカドが苦いことがあるんですよね……。
舌に不快なえぐみも感じて、食べるのをストップするほど。
私の友人に野菜全般にくわしい物知り博士がいるので、質問してみたら
- アボカドが苦いのは腐ってるわけじゃない
- アボカドが苦くなる原因は4つある
- 苦味を防ぐ対処法は意外とカンタン
- 苦くないアボカドの選び方について
こんなことをマシンガントークのようにして教えてくれました。
それをここでご紹介しますね。
アボカドが苦いのは腐ってるわけじゃない!
口に入れたアボカドが苦いと、つい反射的に「腐ってる!」と思っちゃいますよね?
でも、それは、ほぼ間違いなく誤解です。
アボカドが腐ると、大抵は酸味(酸っぱい味)がするのが普通で、苦味を感じることはまずありません。
そう聞いても不安な方のために、アボカドが腐った場合の特徴をご紹介しますので、確認してみてください。
- ツーンしたした刺激臭がある
- 食べると酸っぱい味がする
- 果肉が真っ黒でぐちゃぐちゃに柔らかい
- 汁がしたたっている
- ヘタや種が簡単にポロッと外れてしまう
以上のような様子が見られない場合は、腐っていないと判断していいでしょう。
では、どうして腐っていないのにアボカドが苦いのでしょうか?
アボカドが苦い4つの原因
腐っているわけではないのにアボカドが苦いのは、以下の4つの原因が考えられます。
- 加熱をしすぎたから
- 皮の近くまで食べたから
- 熟れすぎてしまったから
- まだ未熟で固かったから
調理方法と食べる時期によって、苦くなる場合があるんですね。
それでは、ひとつずつチェックしていきましょう。
加熱をしすぎたから
アボカドは加熱をすると苦味が出る食べ物です。
これ、知らない人が多いでしょうし、私も初めて聞いたときは「えっ、ホント?」ってびっくりしちゃいました。
それも短時間ならまだしも、長時間、高熱で加熱するほど苦味は強くなるんだとか。
その原因は、アボカドに含まれる「ポリフェノール」。
このポリフェノールが加熱のしすぎによって、苦味に変化します。
- アボカドのポタージュなどスープ類
- アボカドのグラタン
- アボカドのフライ
- アボカドの炊き込みご飯
これらの料理が「苦くて食べられなかった」という声をときどき見かけます。
それはすべて加熱時間が長いため、苦くなったと思って間違いありません。
皮の近くまで食べたから
アボカドの皮の内側にある茶色い部分には、苦味があります。
これも私はまったく知らない事実でした。
アボカドを食べるときに、スプーンでえぐり出す人が多いはず。
残さず身をえぐり出そうと欲張ると、茶色い部分まで付いてきちゃうんですね……。
包丁で皮を剥く場合も、器用な人ほど薄く剥くので茶色い部分が少し残ってしまうわけです。
こうして無意識のうちに自分で苦い部分を残して食べているなんて、言われるまで気づきませんよね。
熟れすぎてしまったから
買ってきたアボカドを食べ忘れたり、食べるタイミングを逃しているうちに、触るとグニャっと凹むほど熟れすぎてしまった……。
こんな経験、誰でも一度や二度ありますよね?
そんな熟れすぎのアボカドを切ってみると、こんな状態になっているはず。
- 黒い点がある
- 黒い筋がある
切ったアボカドがどんどん黒くなるのと同じで、切らないアボカドも時間が経つほど黒くなっていきます。
そんな黒くなる原因は、ポリフェノール。
ポリフェノールは空気に触れることで酸化し、それが黒く見えるんですね。
この黒く変色した部分が苦味・えぐみを感じる原因であり、加熱するとより苦味は強くなるんですよ。
まだ未熟で固かったから
野菜に詳しい友人によるとアボカドは野菜ではなく、「果物」だそうです。
これも初耳の人が多い事実ではないでしょうか?
果物は未熟な状態で食べると、渋かったり、ものによっては苦かったりします。
そう、その点はアボカドも一緒なんですね!
アボカドも果物の一種だと分かればピンとくるように、未熟で熟れていない状態で食べれば美味しくないのは当然。
買ってきてまだ未熟な状態で食べてしまうのも、苦さを感じる原因のひとつです。
アボカドの苦味を防ぐ対処法
大人はまだしも、子供が苦いアボカドを食べて嫌いになったらもったいないです。
ちょっとした配慮で苦味は抑えられますので、以下の4つのポイントをしっかり押さえてみてください。
- 【基本】加熱をしすぎない
- 【未熟な場合】追熟をする
- 【熟れすぎの場合】裏ごしをする
- 【最終手段】濃いめの味付けでごまかす
では、ひとつずつ見ていきましょう。
【基本】加熱をしすぎない
アボカドは加熱するほど苦味が強くなります。
子供など苦味に弱い人に調理するときは、加熱時間を短縮するように心がけてみてください。
アボカドはもともと生食ができるので、しっかり中まで火を通す必要はありません。
たとえば
- 揚げ物
- 炒めもの
- 電子レンジでの加熱
これらもサッと温まるくらいの短時間で済ませましょう。
【未熟な場合】追熟をする
アボカドが食べ頃まで熟れていないせいで苦いときは、「追熟」が必要です。
追熟とは、収穫した果物をしばらく置いて、甘さが増したり、果肉が柔らかくなるのを待つこと。
アボカドの場合は、苦味が抜けたり、果肉が柔らかくなるのを期待して行います。
追熟させるやり方
その追熟方法ですが、ただ常温の場所で置いて熟していくのを待つだけ。
室温が20℃くらいが適温で、その温度なら新聞紙に包んで放置するだけでOKです。
でも、室温が低すぎたり、高すぎてもNG。
- 5℃以下⇒温度が低すぎて黒ずんでしまう
- 27℃以上⇒温度が高すぎて傷みが早くなる
そう、意外とアボカドは手がかかる子なんです(笑)
真夏に部屋の温度が高すぎる場合は、長く室温に放置しないで、ある程度熟してきたら冷蔵庫の野菜室に避難させてあげてください。
こうすると熟すスピードがゆっくりになります。
秋から冬など温度が低い季節は、発熱する冷蔵庫の上に置いたり、暖房を入れるリビングに置くといいと思います。
追熟を早める裏ワザ
ただ待っているだけでは時間がかかり、まだろっこしいと思う方にお勧め。
追熟を早める裏ワザもあります。
それが、リンゴかバナナと一緒にビニール袋に入れておくこと!
こうするとエチレンガスの効果によって、熟すスピードが早くなるのでお試しください。
切ったら未熟で苦かったとき追熟させる方法
アボカドをカットして食べてみたら、明らかに未熟で苦かった場合。
そんな「食べかけ」のアボカドだって、あとから追熟させることも可能です。
そのやり方は
- 切ったアボカドを皿に並べる
- その上から濡らしたクッキングペーパーをかぶせる
- 電子レンジ(600W)で1分ほどチンする
取り出してみて、まだ固そうであれば、20秒ずつ追加でチンして、柔らかくなるまで加熱してみましょう。
やりすぎると(加熱時間が長くなると)、また苦さが増しますので、小刻みに時間を追加するのがコツ。
【熟れすぎの場合】裏ごしをする
熟れすぎのせいでアボカドが苦いのは、黒い筋に問題があります。
熟れすぎのアボカドに現れる黒い筋こそ、苦さの元凶。
でも、「裏ごし」をすれば、黒い筋だけを取り除くことができますよ。
裏ごしとは、食材を「裏ごし器」にかけて、筋をとったり、キメを細かくして滑らかな食感にする作業のこと。
裏ごし器がなければ、目が細かい金属製のザルでも代用できます。
裏ごしのやり方はこちらの動画を見ると一発でわかりますよ。
ただ、どうしてもドロッとしたペースト上になってしまうため、
- アボカドのディップ
- 冷製アボカドスープ
- マッシュしたじゃがいもと混ぜたサラダ
などの料理にしか使えない点は注意が必要です。
【最終手段】濃いめの味付けでごまかす
ここまでご紹介した方法を試しても、どうにもアボカドの苦味が抜けきらないときは、もう最終手段しかありません。
それが、苦さを濃いめの味付けでごまかす方法。
一番の強い味方が「マヨネーズ」ですね。
裏ごしをしてグチャグチャになったアボカドに、マヨネーズを加えてディップにするのが最も手っ取り早く、確実。
さすがに濃厚なマヨネーズの前では、アボカドの苦さも太刀打ちできません。
苦いアボカドを避ける食べごろの見極め方
野菜は買ってからなるべく早く食べるのが常識。
しかし、アボカドは果物なので、タイミングを見計らって熟した頃に食べるのがベストです。
皮の色で見分ける
アボカドの食べごろは「色」で判断するのが基本です。
スーパーで買ってくるアボカドは新鮮であれば鮮やかな緑色をしていますが、それはまだ未熟なサイン。
以下のような段階を踏んで、アボカドは熟していきます。
- ×皮が青い⇒未熟
- ○皮が緑と黒の中間の色⇒食べごろ
- ×皮が全体に真っ黒⇒熟くしすぎ
鮮やかな緑色から濃い緑色、緑と黒の中間色になってきたあたりが、もっとも食べごろになったサイン。
その食べごろの色を人によっては「チョコレート色」と表現します。
それ以上置くと黒ずんでいき、やがて苦味が強くなっていきます。
固さで見分ける
未成熟のアボカドはカチカチに固い状態。
手で触ってみるとやや凹んで弾力がある状態が、熟したサイン。
そこから更に時間が経つと、どんどん柔らかくなり、熟し過ぎになります。
適度に柔らかくなったあたりで食べてしまいましょう。
また、ヘタと実の間に隙間ができるのも完熟したサインなので、チェックしてみてください。
苦くならないアボカドのレシピ
アボカドの苦さが気にならない調理方法は、加熱しないで生で食べるか、加熱するならできるだけ味が濃い料理にすること。
そんなレシピを3つご紹介します。
アボカドとツナ缶のわさび和え
切ったアボカドがどうにも苦くて、食べるのが辛い場合はには、苦さを覆い隠すくらいの濃い味付けで調理するのがベスト。
このレシピは、マヨネーズとツナとワサビを使うので、少々アボカドが苦くてもほとんど気になりません。
やや大人向けの料理なので子供には向かないのは難点ですが……。
アボカドの冷製ヨーグルトスープ
熟しすぎて切ってみたら黒い筋があるアボカドには、このレシピが最適。
玉ねぎが入るので甘みが付きますし、ヨーグルトのまろやかさで苦さが半減。
それに加熱しない冷製スープなので安心です。
動画ではアボカドをただ潰して入れていますが、必ず裏ごしして黒い筋をとってからスープに入れましょう。
アボカドグラタン
どうしても加熱した料理が食べたいときは、グラタンが最適。
チーズとベーコンのおかげで、アボカドの苦味も後ろに隠れるくらい。
このレシピだとくり抜いたアボカドをお皿として使うので、グラタン皿を洗う手間が省けるのも嬉しいポイント!
苦くないアボカドの選び方・買い方
最後にこれから苦くないアボカドを手に入れるための、買う時の選び方をご紹介します。
店頭に並んでいるアボカドは、商品なのであまり指でグイグイと触るのは迷惑です。
選ぶときは基本的に「皮の色」で判断しましょう。
買ってからすぐに食べる予定はなく、家で少し追熟させることを考えたら、緑色の未熟なアボカドを選ぶのも手。
買ってから早く食べたい場合は、濃い緑色で黒い斑点があるようなアボカドを選ぶといいでしょう。
あまりに真っ黒になっているものは、店頭に長く並んでいるうちに熟しすぎてしまったと思われるので避けるのが吉。
最もおいしい旬は春~初夏
日本で流通量が多いアボカドはメキシコ産です。
このメキシコ産のアボカドの旬は、春から初夏にかけて。
このころが脂肪分が多く、まろやかな味がするので、ちゃんと熟した状態で食べれば苦くなくおいしいアボカドが食べられるでしょう。
まとめ
アボカドが苦いのは腐っているわけではありません。
アボカドが苦い原因は、この4つ。
- 加熱をしすぎたから
- 皮の近くまで食べたから
- 熟れすぎてしまったから
- まだ未熟で固かったから
苦いアボカドを避けるには、こんな対処法が有効です。
- 加熱をしすぎない
- しっかり追熟をする
- 熟し過ぎたら裏ごしをして食べる
- 濃いめの味付けでごまかす
ようはちゃんと食べごろを見極めることと、加熱しすぎないことが大切なんですね。
テレビで以前「アボカド鍋」なんて料理を紹介していましたが、個人的には火を通さず生で食べるのが一番かなって思います。
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