白菜がなぜか苦い……。
本来は味が薄くて、そのおかげでどんな味付けにも染まりやすい白菜。
それが、たまに舌がピリピリするくらい苦味が強いときがありますよね?
つい先日、野菜にくわしい友人に質問したところ
あ~、それはね……
と長々と解説してくれました。
そんな私が聞き出してきた
- 白菜が苦いのは腐ってるの?
- 白菜が苦い原因と対処法
- 苦い白菜を活かすレシピ
こんなお役立ち知識をここでご紹介したいと思います。
白菜が苦いのは腐ってる?食べても大丈夫?
一番気になるのが、苦い白菜は腐っていないか?食べても平気か?だと思います。
でも、ご安心ください。苦い白菜は食べても大丈夫です!
白菜の苦味の原因になる成分は、基本的に無害なので、食べてもお腹を壊したり食中毒を起こす危険性はありませんので。
ただし、白菜が本当に腐っている場合は別。
腐った白菜を食べて苦味を感じる場合もあるので、腐っていないかチェックしてみてください。
腐ったときの見分け方
白菜が腐っていないか?それを見分けるチェックポイントがこちら。
- 芯が黒くなったり葉が変色
- 触るとヌルヌルする
- カビが生えている
- 酸っぱいようなニオイがする
- 茶色くドロドロに溶けてくる
- 汁が滲み出してくる
白菜が腐ると、明らかに見た目やニオイが変化するので、食べる前にだいたい気づくはずです。
こんな状態になっていたら、絶対に食べるのは止めましょう。
白菜が苦い4つの原因
では、白菜が苦くなるのはどんな原因・理由からなのでしょうか?
それは以下の4つのどれかに必ず当てはまりますよ。
- 旬の季節ではないため
- カットしてから長く保存したため
- ゴマ症のせい
- 先祖返りをしたため
それぞれの原因・理由をくわしく見ていきましょう。
旬の季節ではないため
苦い白菜を食べたのは、晩春から夏、または初秋のころでないでしょうか?
白菜と言えば「鍋」を連想するように、旬の季節は冬です。
霜が降りる11月ごろから2月にかけてが、もっとも美味しい食べごろ。
なぜ「美味しい」かというと、甘味が増すからなんですよ。
それ以外の季節でも、今では一年中、白菜は店頭に並んでいます。
しかし、冬以外の白菜は葉っぱに苦味をもたせて、虫を寄せ付けないようにガードしています。
これが苦さの原因のひとつ。
それが霜が降りる冬になると、白菜が凍らないようにデンプンを糖に変えるため、甘味が強くなるんですね。
ですから、それをちゃんと知っている家庭菜園で白菜を育てている人は「霜が降りてから」収穫するそうです。
カットしてから長く保存したため
白菜は包丁を入れてから、時間が経つほど苦味が増していきます。
半分や4分の1にカットされた白菜の断面に空気が触れると、酵素の働きが活発に……。
それが苦味の原因になってしまうんですね。
スーパーでは売れ残って傷み始めた白菜の一部を切り取り、まだ食べられる部分だけカットして売っている場合も。
こうした白菜はすでに古いのに加えて、カットしてから時間が経過するため、二重の意味で食べるのには適しません……。
ゴマ症のせい
苦い白菜の葉っぱに、黒い斑点がポツポツと見えなかったでしょうか?
こんな黒い点々ができる状態を「ゴマ症」と呼びます。
ところで鍋シーズンですので、毎年恒例『白菜のゴマ症』のお話をば! 白菜の白い所に出るこの黒い点々は、カビでも病気でも虫食いでもなく『ゴマ症』という生理障害で、食べても全く無害です! 栽培中のストレスなどで出てしまいますが、味にも影響ありませんので、美味しく頂いてしまってください😊 pic.twitter.com/p3PcuyW0At
— (株)国華園【公式】 (@KOKKAEN_PR) November 17, 2018
この黒いゴマに見える部分の正体は、ポリフェノールと酵素が反応してできた黒い色素なんですよ。
ポリフェノールとは?
ポリフェノールは、植物が光合成するときにできる苦味と色素の成分。
ポリフェノールには、抗酸化作用があるため、生活習慣病(動脈硬化など)を防ぐ効果があるといわれます。
ですから、黒い斑点がある白菜がたとえ苦くても、有害どころか、体には逆に良いくらいなんですよ。
窒素肥料の与えすぎや土壌の影響でゴマ症になる
そもそも白菜がゴマ症になる主原因は、窒素肥料の与えすぎ。
白菜は窒素を多く取り込むと、水分を余分に吸収して膨張し、それが細胞にストレスをかけます。
このストレスがポリフェノール(ゴマのように見える黒い点々)を増やすことになり、その結果として食べる我々は苦味を感じることになるわけです。
また、それにくわえて、土壌から受けるストレスや、長期間の保存で鮮度が落ちてもゴマ症が現れることもあります。
先祖返りをしたため
白菜はアブラナ科に属する植物(他にキャベツ・ブロッコリー・カブなども含まれます)。
もともとアブラナ科の野菜は、「イソチオシアネート」という苦味成分を多く持っていました。
このイソチオシアネートの苦味は、虫などの外敵に身を食べられるのを防ぐ役割があります。
そんな苦味がある状態では人間にとっては美味しくないため、長い時間をかけて品種改良をしてきたんですね。
その結果、原種(苦味が強い)からかけ離れた「苦くない白菜」が誕生。
めでたし、めでたし……といきたいところですが、そう都合よく行きません。
品種改良をした白菜の中には、ごくまれに「先祖返り」をする個体を出てきてしまうんです。
白菜が「先祖に変える」ということは、そう、苦くなるということ。
たまたま、そんな白菜に出会ってしまったのかもしれません(可能性はかなり低いですが……)。
イソチオシアネートに害はない
白菜が先祖返りし、イソチオシアネートが多く含まれるせいで苦い場合。
そんな白菜でも食べても問題はありません。
イソチオシアネートは害があるどころか
- 殺菌力(風邪予防)
- 抗酸化作用(老化防止・肝機能のアップ)
こんなプラスの効果があるので、むしろ残さず食べるべきですよ。
白菜が苦いときの対処法
万が一、苦い白菜に出会っても、捨てようなどと思わないでください。
ちょっとした手間をかけるだけで、ずいぶんと苦味が飛んでギリギリ食べられるレベルにできますから。
その対処法が、この2つ。
- 下茹でをする
- 塩揉みをする
では、ひとつずつ見ていきましょう。
下茹でをする
加熱調理する白菜は、料理に入れる前に「下茹で」をしておきましょう。
お湯で軽くサッと茹でることで、苦味がお湯に溶け出しますよ。
やり方は、ほうれん草のアク抜きの方法と同じ。
- 鍋にお湯を沸かす
- 白菜をいれて1分ほど茹でる
- 取り出してザルに入れ流水で洗う
これで苦味成分は、煮たお湯の方に流れ出すので、そのお湯は使わずに捨ててください。
この下茹でをする方法が、苦味を飛ばすためにはベスト!
塩揉みをする
白菜を生で食べたい場合は、下茹ではできません。
その代わりに塩揉みをします。
白菜を塩揉みすると、浸透圧のせいで水分がでてきて、脱水効果があります。
そうして出てきた水分には苦味も含まれるので、ある意味デトックスされ、白菜の苦さが和らぐんですね。
塩揉みのやり方がこちら。
- 白菜(2分の1)を適度な大きさに切る
- 小さじ1の塩を揉み込む
- 軽い重しをのせて1時間ほど置く
- 1時間後、白菜を流水で洗い塩を落とす
ビニール袋に白菜と塩を入れてモミモミし、そこに重しを載せると楽です。
塩揉みした白菜は浅漬けとして、そのまま食べることもできますよ。
苦い白菜を鍋に使う方法
残念なことに苦い白菜を買ってしまった場合。
そのままだと鍋に使うには苦すぎます。
そんなときは、下茹でを2回繰り返してみてください。
一度煮ただけでは抜けなかった苦味も、下茹でを二度繰り返すことで気にならないレベルまで抑えられるかもしれません。
鍋に入れる白菜は、しんなりと歯ごたえがなくなっても支障がないため、こうして念入りに下茹でしても大丈夫ですよ。
白菜が苦いときのお助けレシピ
念入りに下茹でしても、塩揉みをしても苦さが軽減されない場合もあるでしょう。
そんなときは、こんな作戦がおすすめ。
- 味が濃い料理に使う
- 濃いめの調味料で苦さをごまかす
かなり強引なやり方かもしれませんが、最後の手段として知っておいて損はありませんよ。
味が濃い料理に使う
白菜というと一般的に鍋料理か味噌汁くらいの和食にしか使わないはず。
でも、意外と味が濃い洋食にも使えるんです。
こちらのレシピ動画をごらんください。
- 濃厚カルボナーラ鍋
- ラザニア
- ラー油とポン酢での和え物
- 白菜マーボー
これくらいがっつりと濃い目の料理にすれば、ほとんど苦さは気にならなくなります。
濃いめの調味料で苦さをごまかす
白菜は和食ではわりと薄めの味付けをするため、余計に苦さが目立つんです。
そこで、どうしても白菜を生で食べたい、サラダにしたい場合は塩揉みをしたあと、たっぷりとマヨネーズ系の濃いめ調味料で味を上書きしちゃいましょう。
ほかに味が濃い調味料と言えば
- サラダドレッシング(シーザーサラダ系)
- バルサミコ酢
- めんつゆ
こんなところが候補になります。
塩分が気になるところですが、上手に苦味を消すくらいに味をつければ、生でも食べることは可能です。
苦い白菜の見分け方(買い方)
スーパーや八百屋に並んだ白菜を買うときに、苦い白菜を見分けられたらいいですよね?
完璧に100%避けられるわけじゃありませんが、とりあえず以下の2点だけはしっかりチェックしてください。
- ゴマ症(黒い斑点)がないもの
- なるべくカットされた白菜は買わない
シンプルで分かりやすいと思いますが、それぞれ解説します
ゴマ症(黒い斑点)がないもの
白菜が苦い主原因は「ゴマ症」によるポリフェノールです。
丸まる一個の白菜の場合、外の葉を剥いてみないと分からないかもしれませんが、全体的に黒い斑点がないかチェックしましょう。
カットされた白菜の場合はチェックしやすいはず。
なるべくカットされた白菜は買わない
半分や4分の1にカットされた白菜は苦味が強くなる一方ですし、そもそも古い売れ残りかもしれません。
少人数の家族の場合は難しいかもしれませんが、なるべく白菜はカットされていない丸々一個を買ったほうが苦味が薄く安全です。
もしカットされた白菜を買う場合は、黒い斑点がないかチェック。
もうひとつ、芯の当たりが盛り上がっている白菜は古くなってきた証拠なので、なるべく平らなものを選ぶのがコツ。
先祖返りした白菜を見分ける術はない
先祖返りをしてイソチオシアネートが多い白菜については、外の様子から見分けるのは不可能です。
もしそんな白菜を買ってしまったとしても、こればかりは不運だったと諦めるしかないですね……。
白菜を苦くさせない正しい保存方法
白菜に限らず野菜全般はカットすると、鮮度が落ちるスピードは早くなります。
白菜は古くなるだけじゃなく、苦さも増えるので保存方法は厳重に!
一度に食べきれない場合は、2分の1や4分の1にカットしないで、外側の葉から必要な分だけ剥がして使うようにします。
そして残った分は、キッチンペーパーで包んで、その上から新聞紙でくるんで室内の涼しい場所に保存します。
暑い時期は冷蔵庫に入れたほうがいいですが、晩秋や冬なら常温の場所でOK。
床に置くときは土の上に生えていたときと同じ向きで「立てて」置くと鮮度がより保てます。
まとめ
苦い白菜でも腐っているわけではありません。
白菜が苦い原因は、この4つ。
- 旬の季節ではないため
- カットしてから長く保存したため
- ゴマ症のせい
- 先祖返りをしたため
苦さを抑える対処法は、この2つ。
- 下茹でをする
- 塩揉みをする
鍋に使うときは念を入れて2回下茹でをするとGood。
どうしても苦い白菜は
- 味が濃い料理に使う
- 濃いめの調味料で苦さをごまかす
こうして苦さをカバーしましょう。
こんな嫌な苦味がある白菜を避けるには、黒い斑点がないものを選ぶといいですよ。
それになるべくなら丸ごとの白菜を買うのがベスト。
我が家でも今晩は白菜をたっぷり使った鍋にする予定です。
この記事がきっかけで美味しい白菜と出会えますように。
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