キャベツは生でも加熱しても、ほんのり甘みがあるのが美味しいポイントですよね?
でも、たまに苦味を感じるキャベツに出くわすことがあります。
どうして苦いキャベツがあるのか、野菜にくわしい友人に質問したら
そんな理由があったんだ!
と目からウロコがぽろぽろ……。
ずっと不思議だったんですが、そこには意外な原因がありました。
そこで、ここでは
- キャベツが苦い原因
- 苦いキャベツは食べられる?
- キャベツの苦味を防ぐ方法
こんな対処法も合わせてコンパクトにわかりやすくご紹介していきましょう。
なぜ?キャベツが苦い3つの原因
キャベツが苦く感じるのは、以下の3つの原因が考えられます。
- イソチオシアネートのせい
- シュウ酸のせい
- 窒素肥料を多く与えたせい
まったく聞いたことがないカタカナ用語が出てきて、頭の上に「?」が浮かんでいるかもしれません。
では、ここからこの3つくわしく解説していきます。
イソチオシアネートのせい
「イソチオシアネート」とは、キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる「苦味成分」のこと。
このイソチオシアネートは、キャベツの細胞が壊れることで生まれます。
くわしく説明すると「グルコシノレート」という成分と「酵素」が反応することで生まれるんですね。
「キャベツの細胞が壊れる」の主なキッカケは、この2つ。
- 虫や動物などに食べられたから
- 包丁などでカットしたから
虫や動物などに食べられたから
キャベツの葉を虫や動物などがかじると、グルコシノレートが酵素と反応し、苦味成分「イソチオシアネート」が生まれます。
つまり虫や動物にかじられたキャベツは苦くなるんですね。
イソチオシアネートのせいで味が苦く変化すると、一部の例外は除いてほとんどの虫や動物はキャベツを「まずい!食べられない!」と感じて避けるように。
キャベツが苦くなるのは、必要以上に虫や動物に食べられないようにするための「防御機能」とも言えるんです。
包丁などでカットしたから
キャベツを包丁でカットしたり、手で葉を破いたりすると、その刺激でもイソチオシアネートは生まれます。
苦くなる原因のひとつが、包丁で切ったせいなんて意外!
イソチオシアネートは、空気に触れると酸化し、どんどん苦味がアップしていきます。
そのため苦味は切った直後にはほとんど感じませんが、保存時間が長くなるほど苦味が強くなる一方……。
食べ残したキャベツの千切りを翌日に食べて「苦い」と感じるのは、この酸化によるイソチオシアネートの増加が原因と思って間違いありません。
シュウ酸のせい
シュウ酸とは、ほうれん草に多く含まれる「えぐ味」を感じさせる成分のこと。
あまり知られていませんが、キャベツにもシュウ酸が含まれています。
そのため、シュウ酸のえぐ味を「苦い」と感じる人がいてもおかしくありません。
このえぐ味を抜く作業を「アク抜き」と言い、多くの場合、鍋に入れて茹でることでアクを抜きます。
しかし、キャベツを千切りで食べる場合は生なので、このシュウ酸由来のえぐ味が残る場合もあるようです。
窒素肥料を多く与えたせい
野菜には大量の化学肥料を使うことは、誰でもご存知かと思います。
最近では「有機野菜」を謳って、無農薬&化学肥料を使わない野菜も人気です。
しかし、当然ながら価格が高くなるため、私たちが普段食べる野菜のほとんどに化学肥料が使われています。
この化学肥料には、以下の3つの要素が含まれています。
- 窒素
- リン酸
- カリウム
この3つの要素は、植物が元気に生育するためには必須なんですね。
それぞれの要素の役割がこちら。
- 窒素:葉や茎を大きく育てる
- リン酸:花の開花や実の成長を促す
- カリ:根っこを大きくする
キャベツは「葉物野菜」なので、葉を大きく育てたいと思うのは当然。
よって窒素系の肥料を多めに与えがちになるわけです。
しかし、窒素を多く与えてしまうと、キャベツは苦味が強く育ってしまうんですよ。
プロの農家さんならこれくらいの事実は知っているため、多めに与えすぎる懸念は低いでしょう。
しかし、家庭菜園で育てたり、栽培経験の浅い方が育てたキャベツが苦くなるのは、この肥料のチョイスも十分に考えられます。
苦いキャベツは食べられる?
苦いキャベツに出会ってしまうと、このまま食べても平気?腹痛を起こしたりしない?と不安になるはず。
ざっくり言えば、苦いキャベツは食べても平気、心配無用です。
腐っているわけではない
カットしたキャベツを長く保存するほど、イソチオシアネートが増加し、苦味は増します。
ただ、それは腐敗とは直接的には無関係。
もちろん、明らかに腐っているキャベツは食べてはダメですが、苦味があるだけなら食べても平気ですよ。
イソチオシアネートは有害ではない
イソチオシアネートは、もともとはキャベツが持っている天然由来の成分。
虫を寄せ付けないために苦味を感じさせますが、食べても有害ではありません。
窒素とシュウ酸由来の苦さは大量摂取しなければ平気
窒素肥料の使いすぎが原因の苦いキャベツを大量に摂取するのは危険です。
ただ、常識的な範囲内で食べるくらいなら過剰摂取にはなりません。
また、シュウ酸が由来の苦さについても、キャベツが本来もっている天然由来の成分。
シュウ酸は尿路結石の原因になりますが、日常的に大量に摂取しない限り問題はないでしょう。
農薬が残っているわけではない
なにも知識がない状態だと、キャベツの苦味を農薬のせいだと勘違いしがち。
でも、ここまで読んでいただければ分かるように、苦味は農薬とは一切関係ありません!
もちろん、有機農法で作られたキャベツ以外なら、おそらく100%農薬は使われているでしょう。
しかし、日本産のキャベツなら
- 安全基準を満たした農薬だけが使われている
- 残留農薬がないか検査されている
このように安全性は疑いようがありません。
キャベツを口にしたときに苦味を感じるのほどの農薬が残っている可能性はゼロと断言していいはずですよ。
キャベツの苦味を防ぐ対処法
キャベツは「買うとき」・「調理するとき」・「保存するとき」に、ちょっと工夫さえすれば、苦味を感じないで済みます。
その対処方法をそれぞれの段階に分けて解説していきましょう。
買うときの2つのポイント
キャベツを買うときには「どんな状態のものを買うか?」がとても大事です。
そのポイントがこの2つ。
- カットキャベツは買わない
- 虫に食われた跡がないかチェックする
カットキャベツは買わない
キャベツは切ると、そこで細胞が壊されてイソチオシアネートが発生します。
生で食べる場合は特に「半分にカットされたキャベツ」を買うのは控えましょう。
キャベツを買うときは基本的に丸々一個買うのがベスト!
一人暮らしや核家族で食べる人数が少ないご家庭は、カットされて店頭に並んだばかりのキャベツを購入し、その日のうちに食べ切るようにするといいですね。
虫に食われた跡がないかチェックする
苦味成分イソチオシアネートは、虫にたべられることでも反応し、どんどんと増えていきます。
キャベツを手にとってオモテウラ、上下左右を転がして、虫に食われた跡がないキレイな状態のものを選びましょう。
落下したりして変色したものも避けたいですね。
調理するときの6つのポイント
キャベツは調理する方法によっても苦味が強くなる場合があります。
その苦くさせないポイントがこの6つ。
- 食べる分だけ切る
- 生食用⇒加熱用の順番に使う
- 切れ味の良い包丁で切る
- 葉を一枚一枚めくって使う
- 流水で洗い水にさらす
- 切ったらすぐに食べる
食べる分だけ切る
理想を言えば、包丁を入れたキャベツは全部「その日のうちに食べてしまう」のがベスト。
でもさすがに丸々一個を食べきるのは、大家族でも無い限り無理でしょう。
少しでもキャベツの細胞に刺激を与えないためには、今日食べる分量だけを切ることです。
あとあと使いやすいようにと、3等分・4等分してしまうのはNGですよ。
生食用⇒加熱用の順番に使う
何度も繰り返しますが、キャベツを切るとイソチオシアネートは否が応でも発生します。
その苦さを感じやすいのは生で食べる場合なので、食べる順番を決めてしまいましょう。
ようするに
- 一番最初に食べる分⇒生食(千切り等)
- 二番目・三番目に食べる分⇒加熱用(野菜炒め等)
こうして最初にカットする分は優先的に生で食べるようにして、あとの残りは加熱して食べれば苦さを極力感じずに済みますよ。
切れ味の良い包丁で切る
お使いの包丁は切れ味が良いでしょうか?
切れない包丁で切ると、繊維を押しつぶして切ることになり、キャベツにより刺激を与えてイソチオシアネートがより多く発生します……。
それを避けるには、切れ味の良い包丁でスパッと一刀両断するのが理想的。
キャベツを食べるには「切る」作業は避けられませんから、これを機会に切れる包丁を新調してみては?
葉を一枚一枚めくって使う
実は、キャベツを食べるには「切る」作業は避けられないというのは思い込みでした。
私も思いつかなかったんですが、料理上手な友人は葉を一枚ずつめくって(破り取って)使っているそうです。
こうすれば一切キャベツに刃物をいれずに済むので、イソチオシアネートの発生が抑えられますね。
ただ、スライサーでキャベツの千切りをするときは、塊でないと手を怪我する恐れがあります。
その点はお気をつけください。
流水で洗い水にさらす
キャベツが苦い主原因であるイソチオシアネートは、水溶性の性質。
水溶性とは「水に溶けやすい」という意味なので、カットしたキャベツを流水で洗い、しばらく水にさらしておくと流れ出ていきます。
キャベツの千切りはもともと冷水にさらすとシャキッと食感がよくなるので、忘れずに「水で洗う・水にさらす」作業を行いましょう。
ただ長時間、水にさらすとせっかくの栄養価(ビタミンCなど)まで流れ出てしまいます……。
冷水にさらすのはせいぜい2~3分ほどまでにしておきましょう。
切ったらすぐに食べる
キャベツは細かく切れば切るほど、酸素に触れる面積が増え酸化が早まり、苦味が増していきます。
できればカットして調理するのは、食べる直前に行いましょう。
キャベツの千切りも食べる直前にカットすれば、強い苦さを感じないで済みますよ。
保存するときのポイント
苦さの進行を抑えるには、キャベツの保存方法も大切です。
丸のままのキャベツは別として、一度でも包丁を入れたら保存方法に気を遣ってあげましょう。
半分や4分の1に切った場合
丸のままのキャベツを買い、半分や4分の1だけ冷蔵庫で保存するときのやり方がこちら。
- 芯を切り落とす
- 濡らしたキッチンペーパーでくるむ
- ビニール袋に入れて口をしばり野菜室に入れる
こうしてできるだけ断面を空気に触れさせず、また乾燥させないように厳重に保護してあげてください。
千切りにした場合
とんかつに添えるために大量に千切りにしたけれど、余ってしまった場合。
こんなときは雑にお皿に載せたままだったり、タッパーに入れたりして冷蔵庫に突っ込むのが普通ですよね?
でもそれだと空気に触れやすく酸化が進みます。
ジップロックなどの冷蔵バッグに入れて、中の空気をしっかり抜いてから冷蔵庫にしまいましょう。
そして、なるべく早く(遅くても翌日中)には食べきるようにします。
苦いキャベツの美味しく食べる賢いレシピ
最後にすでに苦くなってしまったキャベツをどうにかして美味しく食べる賢い食べ方をご紹介します。
生で食べる場合
どうしても苦いキャベツを生で食べたい場合は、苦い味を「上書き」しないといけません。
その方法として、候補は2つ。
- マヨネーズと和えてサラダにする
- マリネ(酢の物)にする
マヨネーズと酢はどちらも強烈に強い味なので、少々キャベツが苦かろうが強引に上書きしてくれますよ。
加熱して食べる場合
イソチオシアネートの苦さは加熱すると、苦さ・辛さが飛んで、キャベツ本来の甘さを感じやすくなります。
なので、苦いキャベツは加熱するのが一番!
火を通して調理する料理ならなんでもかまいません。
たとえば
- 野菜炒め
- ロールキャベツ
- ポトフ
- ホイコーロー
などが定番ですね。
まとめ
キャベツが苦い原因はこの3つでした。
- イソチオシアネートが発生したせい
- シュウ酸のせい
- 窒素肥料を多く与えたせい
もっとも多い原因は、キャベツを切ってイソチオシアネートが発生したため。
でも、基本的に苦いキャベツは食べても(大量に食べなければ)問題はありません。
丸のままのキレイなキャベツを買い、切れ味の良い包丁で食べる分だけをカットすれば、苦さを極力抑えられます。
おいしく食べるためにもできるだけ「その日のうち」に食べてしまうのも大事なポイントですよ。
さて今日は、キャベツを大量に使ったお好み焼きにでもしますか。
コメント