私は生まれも育ちも日本ながら「日本語って本当に難しい!」とよく思います。
同じ意味の言葉でも、言葉の選び方でニュアンスが変わってしまったり、相手に失礼な印象を与えてしまうことも……。
そんなことにならないように、慎重に言葉を選ばなければなりません。
これが本当に難しいんですが、相手を思いやって言葉を選ぶという日本の文化は美しいですよね。
そんな日本のいろいろな言葉を誰もが自然と使い分けているかと思いますが、あなたは「お疲れ様です」という言葉はどんなときに使っていますか?
この言葉、お仕事をしている人ならば挨拶代わりに一日に一回は使うような、なじみのある言葉ですよね。
でも意外と使い方が難しくて、目上の人に「お疲れ様です」って言っていいのか?とか分からないことだらけ。
そこで今回はこの「お疲れ様です」の使い方についてくわしくご紹介していきましょう。
「お疲れ様です」は目上の人に使うと失礼?
結論から言うと「お疲れ様です」は目上の人に使ってもまったく問題なく、失礼にはあたりません。
日本では古くから目上の人に対しては評価をしたり、ねぎらったりしてはいけないという考え方が定着しています。
ですので「お礼を言うこと」ですら失礼なことだとしていたそうです。
その考えからすると目上の人に対して「お疲れ様です」というねぎらいの言葉をかけることは失礼に当たるのでは?と思いますよね。
確かに「お疲れ様です」は、相手の労苦をねぎらう意味で使われる言葉。
ただ、現在はそれが派生して職場で先に帰宅する人や、営業から帰ってきた人へのかける言葉に使われる機会が増えてきたため、許容するべき言葉として定着してきたという経緯があります。
ですので「お疲れ様です」は目上の人へも使うことができるんですよ。
また、もちろん会社の同僚など比較的幅広い人にも使える言葉として浸透しています。
ちなみに同じ意味で「ご苦労様です」という言葉もありますが、これは現在も部下などに声をかけるときに使われます。ただ目上の人に使うと失礼なので気をつけましょう。
「お疲れ様です」が失礼に当たるケース
ほぼオールマイティに使える言葉である「お疲れ様です」が、使うと失礼に当たる場合ももちろんあります。
それは営業や商談などで他社へ出向いたときの「挨拶がわり」に使うとき!
たとえば他社との商談が始まるときにあいさつ代わりに
と声をかけるのは失礼に当たります。
正しくは
といった言い方をします。
また、別れ際も
と締めくくるよりも
のほうがしっくりきますよね。
このように他社の人相手に「お疲れさまです」と声をかけるのは控えましょう。
しかし、長い付き合いのあるお得意様など、気心の知れた間柄なら使っても問題ありません。
ようは相手との親密度が関係してくるので、その場の雰囲気に応じて使い分けてもいいでしょう。
【JALのパイロットが「お疲れ様~」の意味で手を振ってくれる貴重なシーン】
「お疲れ様です」を英語に翻訳すると?
日本語独特の表現である「お疲れ様です」は日常会話としても、サラリーマンなど仕事上だけではなく、学生や主婦なども使う機会はたくさんありますよね。
ですから映画やアニメ、または小説にも頻繁に登場します。
日本に留学してきたり旅行に来た外国人は年々増えていますが、「お疲れ様です」をどうやって説明するかは非常に難しいところ……。
この難解な日本語「お疲れ様です」をあえて英語に訳すなら
になります。
でもこの英語のフレーズは仕事を終えた労いの意味以外にも「さようなら」とか「また明日」などの意味もあるので、日本語のニュアンスをそのまま移し替えているわけじゃありません。
海外には相手の労苦をねぎらうこのような言葉は無いそうですから、完璧に正確に訳すのは無理みたいですね……。
まとめ
「お疲れ様です」の使い方のニュアンスをまとめると…
- 「お疲れ様です」を目上の人にも使っても失礼ではない
- 他社の人にはよほど親密でない限りは使ってはいけない
相手との関係を滑らかにしてくれる便利で美しい日本語なので、マナーを守って正しく使いたいですね。
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