祖父母が亡くなってからは、送り火の風習も途切れがちに……。
そういうご家庭が多いと思いますので、ここでは
- 送り火は何時ごろ、時間帯はいつなのか?
- 送り火を行う日程
- 送り火に必要な道具と正式なやり方
など基本的な知識をまとめました。
送り火は夕方(6時半ごろ)から始めるのが常識
まず最初に「送り火って何時ごろに火をつければいいの?」っていう疑問ですが、実はこれには決まった時間はありません。
しかし、一般的には夕方(少し薄暗くなってから)です。
この時間帯から始めるのが普通となっているんですよ。
送り火って、ご先祖さまから見ると「子孫の家の目印」になるんですね。
ですから灯りが見えやすく、しかも私たち子孫がご先祖さまを見送っている様子が良く見えるような時間帯がベストなんですね。
送り火を行う頃、関東地方の日の入り(日没時間)はだいたい夕方6時半ごろ。
すると午後7時にはほぼ真っ暗になりますから
これくらいがちょうど送り火を点火するのに適した時間帯だと思います。
2024年の送り火はいつやるの?
次に肝心な送り火を行う日の日程ですが
⇒2024年8月16日(金曜日)
今年はこういう日程になります。
これはあくまで8月にお盆(旧盆)を行う地域の話です。
全国的には8月のお盆(旧盆)がほとんどですが、関東の一部地域は7月13日から16日、あと沖縄では旧暦の7月13日から16日がお盆の期間です。
地域によって「お盆」のシーズンが違うだなんて、びっくりですよね~~。
※迎え火については別記事をご覧ください。
「送り火」の意味をおさらいしよう!
ここで送り火の意味をおさらいしておきましょう。
辞書で調べてみた正しい意味がコチラ。
おくり‐び【送り火】 の意味
盂蘭盆(うらぼん)の最終日、親族の霊を送るために門前などでたく火。門火(かどび)《季 秋》「送り火のあとは此世の蚊遣哉/也有」⇔迎え火。
引用:goo辞書
お盆に家に帰ってきたご先祖様の霊を送り出すために焚く火のことなんですね。
別名「門火」とも言います。
昔の日本家屋には必ず「門」があり、その「門口(かどぐち)」や寺の「門前」で行うところから「門火」と呼ばれることもありました。
最近の新しい家では見かけませんが、たとえばサザエさん一家が住む家をイメージすると分かりやすいですね。
送り火に必要な道具は?
では続いて送り火の正式なやり方を説明していきますね。
用意しないといけない道具がこちらの4つです。
麻幹(おがら)、または松明(たいまつ)
麻幹(おがら)とは?【初盆・盂蘭盆】意味と使い方まとめ
焙烙(ほうろく)
焙烙とは、麻幹や松明を乗せて焚くための素焼きの皿のことです。
盆花・精霊馬(牛馬)
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送り火の正式なやり方
道具が用意できたら、送り火を実際にやってみましょう。
- 門前(玄関先)に「精霊馬」をご先祖様が帰っていく方向に向けて置き、その後ろに「焙烙」を置いて、その両側に「盆花」を配置する
- 焙烙に「麻幹」を組んで入れて、火をつける(中心に新聞紙を入れると火が付きやすい)
- 火が燃え尽きるまで見守りながら送り火をする
とても簡単にまとめると、たったこれだけです。特に迷うようなところはありません。
火を使うので燃え尽きて消火するまでは、その場から離れないようにすることだけ気をつけてくださいね。
【くわしくはこちらの動画で手順をご覧ください】
おがらを使わない地域もあるし、住宅事情により火を使わない方法もあります。
安全な盆提灯を使って、電灯をともすだけ、という人も増えきているのも事実です。
ただ、覚えておきたい大切なことは、迎え火でご先祖さまをお迎えして、送り火で「ご先祖さまをお送りする」という、その気持ちなのです。
宗派による送り火の有無の違い
送り火は、地域によって若干やり方や日にちが違うということは分かってきましたが、宗派によってはどうなのでしょう??
宗派ごとの送り火を「やるorやらない」を調べてみました。
曹洞宗
曹洞宗は送り火をやります。
有名どころでは京都の大文字。あれも送り火の一種なんです。
「五山の送り火」といわれ、京の夏の夜空を焦がす名物行事ですよね。
それから全国各地で行われる「灯篭流し」も送り火の一つです。
浄土真宗
浄土真宗は送り火をしません!
浄土真宗は、お盆に盆提灯を飾ったり、ご先祖さまのために迎え火や送り火を焚くというようなことは一切やりません。
それはどうしてかというと・・・
浄土真宗では「お盆にご先祖さまが帰ってくる」という考え方がそもそもないから。
極楽浄土で仏様となったご先祖さまは、この世にもどってくることはないそうです。
同じ仏教なのになぜ?と思ってしまいそうですが・・・そういうものですから納得しましょう。
まとめ:ご先祖さまを偲んで
送り火は何時ごろやるのが正しい風習なのか、お伝えしてきました。
最後にざっくりまとめると
- 送り火は薄暗くなる夕方ごろに火をつける
- 毎年8月16日の夕方に行う
子供のころからのお盆の習慣が、家や地域で違っているだなんて、正直びっくり仰天!!
でもやっぱり、地域性や宗派によって考え方の違いや風習が異なれども、お盆になるとご先祖さまを供養する気持ちが自然とあふれてくるものです。
受け継がれてきたものは、大切にしていきたいなと、あらためて感じます。
お盆になると盆提灯を飾り、祖父母にロウソクとお線香を持たされて、お墓にご先祖さまをお迎えに行った思い出があります。
意味も分からず、でもたまにしか会えない従兄弟たちと、ワイワイと農道を歩いてお墓に行ったことはよく覚えています。
あれが迎え火だったんだなぁ……。
そして、お盆の終わりには玄関先で火を焚いて、その火が消えていくのをなんとなくさみしい思いで見つめていたものです。
それが「送り火」だったんですね。
誰が教えるわけででもなく、日本の風習はそうやって受け継がれていくものかもしれません。
お盆の前には仏壇の掃除をしっかりして、気持ち良くご先祖さまをお迎えしたいものですね。
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