ねむの木はこぼれ種で勝手に増える繁殖力の高さや、大木に育つ特徴から庭に植えてはいけないとされています。
夜になると葉っぱが閉じる様子が「眠っている」ように見えるため、その名が付いたねむの木。
初夏になるとピンク色の花が咲くところも人気の理由ですが、「庭に植えてはいけない木」との悪評も聞こえてきます。
そこで今回は
- ねむの木を庭に植えてはいけない理由
- ねむの木を安全に庭で育てる注意点
- ねむの木を庭に植えるメリット
を解説します。
園芸全般が好きで過去にねむの木を育てていた経験がある私にお任せください。
ねむの木を庭に植えてはいけない3つの理由
ねむの木を庭に植えてはいけない理由がこの3つです。
- こぼれ種で勝手に増える
- 大木に育つ
- 剪定が難しい
こぼれ種で勝手に増える
ねむの木を庭に植えてはいけない1つ目の理由が「こぼれ種で勝手に増える」ため。
枝豆食い散らかしたヤツ誰だよ!て思ったけどねむの木の種なのね😇
知らなかった😅 pic.twitter.com/nPCRRRjxJU— 更紗🌸 (@sarasaousaka) September 22, 2022
ねむの木は花が咲いたあとにサヤに入った種をつけます。
その姿は巨大なえんどう豆みたいで、種というより「豆」
この種が地面に落ちたり、風に飛ばされて周囲に拡散。
その場所で芽吹いてしまい、新たな株が誕生します。
自宅の庭の中ならまだいいものの、隣家の庭や沿道などで勝手に成長して迷惑をかける恐れも……。
大木に育つ
ねむの木を庭に植えてはいけない2つ目の理由が「大木に育つ」ため。
ねむの木は最大で8~10mもの高さに達する落葉高木です。
一般的な日本家屋の庭ではオーバーサイズと言わざるを得ず、手に負えなくなるのは目に見えています。
一戸建ての高さは6~7mなので、ねむの木は「屋根より高く」成長するわけですね。
そうなると落ち葉やこぼれ種も大量に落下してくるでしょう。
実際にねむの木を庭に植えてご近所トラブルになったケースも報告されています。
剪定が難しい
ねむの木を庭に植えてはいけない3つ目の理由が「剪定が難しい」ため。
ねむの木は手をかけないと10mもの高さまで伸びたり、枝が暴れて樹形が乱れやすい性質があります。
そのため剪定が必要になりますが、剪定には弱く、素人が強剪定をすると枯れてしまうことも……。
太い枝を切ったら切り口に癒合剤を塗らないと、そこから雑菌が入って枯れてしまうそうですよ
広い庭をお持ちで好き放題に放任で育てられる環境ならいいでしょう。
しかし、成長をコントロールしないと邪魔になる狭い庭には、不向きなのは間違いありません。
ねむの木を安全に庭で育てる3つの注意点
育てにくい性質を持つねむの木ですが、以下の3つの点に気をつければ庭に地植えするのも問題ありません。
- 矮性種を選ぶ
- 種を回収して捨てる
- 慎重に剪定をする
矮性種を選ぶ
一般的なねむの木は8~10mまで成長しますが、矮性種といって大きく育たない品種もあります。
それが「一才ネム」。
トキワネムは樹高が2~3mほどまでしか育たない低木です。
幼木の段階から花が咲く点もうれしいポイント!
ネムの木、の花です。合歓の木と書きます。普通、山野に自生するマメ科の落葉高木。高さ5~10メートルになる大きな木ですが小さい種類もあってこれはその小さい一才ネム、かと。扇状の薄紅色のは雄蕊でめしべは根元のあってめだたないとか。夜になると葉を閉じてしまうのでネム、の名がついたとか pic.twitter.com/pLTdTA4xOf
— 山小屋の酔っ払い (@qq2f3unr9) August 7, 2023
公園や街路樹に生えている普通サイズのねむの木の種を貰ってきて、種から育てるのはやめたほうがいいわけですね。
種を回収して捨てる
ねむの木に種が付いたら、落下したり風で飛ばされる前にすべて回収します。
こうすればこぼれ種で勝手に増殖するリスクを最小限まで減らせるでしょう。
ただ、ねむの木の花は高いところに付くため、三脚など足場がないと無理かもしれません。
作業する際には転倒や落下しないように気をつけてください
慎重に剪定をする
ねむの木の剪定時期は4月ごろ。
不要な小枝だけを選んで慎重に剪定をしましょう。
剪定の方法はネットや本で調べて、予習してから行うことをお勧めします
伸びすぎた幹をバッサリと切るような強剪定は、枯れるリスクがあります。
雑菌が入らないように切り口を守る癒合剤を用意するなど、くれぐれも慎重に。
もし不安ならプロの植木業者に頼むのが安心ですね。
ねむの木を庭に植えるメリット
万人には勧められないねむの木ですが、庭に植えるとこんなメリットがあります。
- 夫婦円満の象徴とされる
- 日陰を作ってくれる
夫婦円満の象徴とされる
ねむの木は「就眠運動(しゅうみんうんどう)」をすることで有名ですね。
就眠運動とは、夜に葉を閉じて朝になると葉を開く周期的な運動のこと
この葉を閉じる様子が中国では「夫婦円満の象徴」とされます。
ねむの木が漢字では「合歓木」と書く由来もここからきており、合歓(ごうかん)は中国語で
- 一緒に喜んで楽しむこと
- 男女の共寝
といった意味があります。
結婚して建てた新居にねむの木はぴったりというわけですね。
日陰を作ってくれる
ねむの木の幹はタテにグングン伸びますが、同時に枝は横に広がって張り出します。
そのおかげで葉に遮られた下の地面は日陰になり、真夏の猛暑をやわらげてくれるでしょう。
昼に葉を広げて夜に閉じる就眠運動は、さながら自然のサンシェードのような役割
大きく育つデメリットも裏を返せばメリットにもなります。
まとめ
ねむの木を庭に植えてはいけない理由は
- こぼれ種で勝手に増える
- 大木に育つ
- 剪定が難しい
という3点でした。
お庭のシンボルツリーとして、誰にでも手放しで勧められる樹木ではないことは確か。
ある程度、植物に知識があり、日々の世話を面倒に思わずに行える方なら庭に植えても平気かと思います。
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