「銀杏を植えるな」と言われているのはなぜですか?
- 縁起が悪い
- 一般人の家に植えるのは不敬
- 悪臭が強烈
- 落ち葉が大量に出る
- 大木に育つ
以上の5つの理由からです。
東京の神宮のイチョウ並木の紅葉を見ると、「庭に銀杏の木が欲しいなぁ」と夢見る人は多いハズ。
しかし、植えてはいけない樹木だというウワサも。
そこで今回は
- 「銀杏は植えるな」と言われる理由
- 銀杏を庭に植えるメリット
を検証したいと思います。
根っからの植物好きな私が責任をもってお伝えしましょう。
銀杏は植えるなと言われる5つの理由
「銀杏を植えるな」と言われる理由は、この5つです。
- 縁起が悪いから
- 一般人の家に植えるのは不敬だから
- 強烈な悪臭があるから
- 落ち葉が大量に出るから
- 大木に育つから
5つのうち2つは迷信めいた理由、残りの3つは実害がある理由です。
この事実を知ってどう思われるか、ご自身の目でお確かめください。
縁起が悪いから
銀杏を植えると
- 病人がでる
- 死人がでる
として縁起が悪い木だと昔から言われています。
しかし、この謂れは銀杏が寺院に植えられることが多かったため
といった連想から生まれたイメージだとか。
たとえば、鶴岡八幡宮の御神木は樹齢1000年の大イチョウであり、実朝暗殺の舞台でもありました。
そんなイメージを強く持っている人は
銀杏なんか植えるな!縁起が悪いだろっ!
と激怒するようです。
一般人の家に植えるのは不敬だから
昔の日本では、銀杏は寺・神社に植えられる「位の高い木」とされていました。
数百年もの間、大事にされ、御神木になった銀杏は全国に多数あります。
そのせいか、一般人の家(俗家/ぞっか)に植えるのは恐れ多く、不敬に当たるとされます。
一般人の家に銀杏を植える「不敬な行い」をすると
- 家の主人が亡くなる
- 病人が絶えない
- 家に代々不幸が続く
- 財産が減っていく
と言われ、避けられてきました。
たしかに普通の人の庭に銀杏が植えられている光景をほとんど見たことがありませんよね。
強烈な悪臭があるから
ギンナンが実る頃になると、近くを通り過ぎただけで独特の悪臭が鼻を突きます。
あの強烈な悪臭を「うんこくさい」と形容する人もいるほど……。
世間では文字通り「鼻つまみ」で、誰一人「いい匂い」と感じる人はいないでしょう。
銀杏の悪臭の正体は
- 酪酸(ブタン酸):人の足の悪臭と同じ成分
- エナント酸:腐った油の悪臭と同じ成分
という最低最悪のタッグ。
しかも、この悪臭は風に乗ると数十メートルの範囲まで広がることもあり、隣家のみならずご近所一帯まで届いてしまうかもしれません。
銀杏を植える実害といえば、やはりこの「臭いの害(香害)」が真っ先に挙げられ
ニオイが迷惑になるから銀杏は植えるなよ
と自粛を強制する人が絶対にいるはずです。
落ち葉が大量に出るから
街路樹のイチョウは秋になると、落ち葉が道を黄色く染めて美しい景色を描きます。
私たちはその「美しさ」だけを楽しんで、落ち葉を拾い集めて捨てる「重労働」にはノータッチ。
しかし、銀杏の木が家にあったとしたら、落ち葉拾いはすべて自分でやらないといけません。
銀杏は落葉樹のため、色づいた葉がすべて地面に落ちます。
お寺にある数十メートルの大木になると、落ち葉の総量は1トンを超えるとか……。
仮にその3分の1の量でも、約300kg。
銀杏の葉は普通のカサカサの落ち葉と違い、水分をたくさん含んでいるので見た目以上に重いそうなんですね。
自宅だけならまだしも、隣近所の庭や路上にも吹き飛ばされて広がってしまうのは容易に想像がつきます。
それが毎年恒例の作業として課せられるとしたら、ちょっと躊躇するのは当然でしょう。
大木に育つから
銀杏はすくすく育てば、樹高20~30m、幹の太さが2mを越える大木に育ちます。
もちろん、庭に植える場合は樹高を抑える剪定でコントロールは可能です。
ただ、そのための手間がかかるのは事実。
また、上への伸びは抑えられても根っこの張りはコントロールしにくく、家の土台などを傷める恐れもあるとも言われます。
これを「根上り」と呼びます。
街路樹として植えられた銀杏の根元のタイルがボコッと盛り上がってる様子こそ、根上りが発生した証拠なんですよ。
銀杏を庭に植えるメリット3選
難点を知っても、それでも銀杏は魅力的な樹木ですよね。
私が思う銀杏を庭に植えるメリットがこちらの3つです。
- 「長寿」の花言葉がある
- 燃えにくい
- レア感がある
「長寿」の花言葉がある
銀杏の花言葉は
- 長寿
- 荘厳
- 鎮魂
の3つであり、どれも素晴らしいもの。
なかでも「長寿」は特に庭木としては絶好の言葉ではないでしょうか。
日本で昔から言われる「死人が出る」という迷信とは正反対です。
「長寿」の花言葉の由来は、樹齢が1000年を越えることや、3億年前から生き続けている「生きた化石」と呼ばれるところから。
銀杏を植えたら長寿にあやかれる気がしませんか?
燃えにくい
銀杏の葉っぱは分厚くて水気を多く含んでいます。
そのために「燃えにくい」性質があり、延焼を防ぐ効果があります。
日本の多く場所で街路樹に銀杏が植えられているのは、この「燃えにくい」性質を持つため。
紅葉がキレイだから植えられているんじゃないんですね。
実際に約100年前に発生した関東大震災の際には、銀杏のおかげで火災が燃え広がらなかったそうです。
ですから銀杏を庭に植えれば、災害のときに身を挺して火の広がりを抑えてくれるかもしれません。
レア感がある
縁起が悪いウワサを信じたり、庭が狭いので物理的に植えられないなどの理由で、自宅の庭に銀杏を植えている人は一握り。
ですから、もし庭に銀杏の木がドーンと生えていたら、ご近所でも有名なるでしょう。
名前は知られていなくても
あの庭に銀杏の木があるお宅
で通じるようになり、ちょっとした知名度を誇る有名な家になるかと思います。
目立ちたがりの人、他人とかぶらない珍しい木を植えたい人にはピッタリでしょうね。
まとめ
私個人の見解では、銀杏を植えられるのは広い庭があるお宅限定にはなります。
庭が狭かったり、ギンナンの悪臭や落ち葉などの実害が心配で受け入れられない人は、鉢植えにして楽しむ方法も。
銀杏の盆栽なんて洒落てますよね。
他の「銀杏を植えるな」の発祥は、明治や江戸時代、もしかしたらそれより前に生まれた民間伝承みたいなものですから、気にする必要はありません。
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