中学生の息子が辻村深月の『ツナグ』の読書感想文を書いていたんですよ。
その内容っていうのが
<とても悲しい話でした。感動しました。>
短く要約すれば、これでおしまいです。おぉ、我が息子よ\(^o^)/
これはイカン!親の私が手本を見せねばと思って、今さらかと呆れられそうですが小説「ツナグ」を初めて読んだんですよ。
映画化までされて、テレビでも放送されたというのに!
見逃してしまいましたよ、ハイ・・・気にも留めていませんでした。(また放送してくれないかな~)
それでですね、『ツナグ』の本をじっくり読んだわけですが、いや~、思っていたのと違いましたね。
ちょっと誰かと感想を話し合いたいって気持ちにさせられる作品だったのですよ。
そんな風に思わせる作品ってすごいですよね。
でも周りに息子以外で話せる相手がいないので、かわりにここで『ツナグ』を例題にして「読書感想文を書くコツ」を分かりやすく説明したいと思います♪
『ツナグ』の読書感想文の書き方
自分で感想文をどう書けばいいか分からない、構成を考えるのが面倒だという人は、こちらの「感想文テンプレート」に当てはめれば楽に書き上げられますよ。
感想文を書く上でもっとも簡単な書き方は
- はじめ(書き出し)
- なか(中盤)
- おわり(締め)
文章をこの3つの箇所に分けて組み立てること。
これを踏まえて「ツナグ」の感想文のテンプレート(ひな形)を作ってみました。
『ツナグ』読書感想文のテンプレート
ツナグを読みました。女子高生が親友を妬み、そして裏切ってしまうシーンで一度本を閉じてしまいました。
自分が過去に犯した過ちをフラッシュバックのように思い出してしまったのです。
もう自分をだますような、人を裏切るような真似はしたくない、そう感じずにはいられません。
蓋をしてすっかり忘れていた自分の愚かさを、明るみに出す勇気をこの本が与えてくれました。
このテンプレートに、自分なりの感想や思ったことを補足し、肉付けして、「過去にどんな過ちを犯したか」告白することで感想文を締めます。
章ごとにメインのキャラクターは変わりますが、中学生や高校生が感想文を書くなら「親友の心得」編の女子高生をピックアップすると書きやすいはずです。
『ツナグ』読書感想文の書き出しの例文
もし私が「ツナグ」の読書感想文を書くとしたら、書き出しはこれしかないと思っています。
辻村深月の「ツナグ」は、そんな死者との再会を叶えてくれる「使者(ツナグ)」を巡る物語です。
もうこれしかありません。鉄板すぎますか?
ありがち過ぎるかもしれませんが、読書感想文で確実に○を貰える書き出しですよ。
読書感想文を書くコツと極意
今回書こうと思っている読書感想文では、小説『ツナグ』全体の大きいあらすじを冒頭に置いて、次に私が興味を持ったストーリーをクローズアップして感想を綴っていきたいと考えています。
応用が利きますので、コツと捉えてもらっていいと思いますよ!
改めて、読書感想文を書く上でのコツをまとめたいと思います。
読書して感じた熱が冷めないうちに作文を書く
読書感想文で、最大の秘訣はコレなんですよ。
「読んだらスグ書け!」、つまり「鉄は熱いうちに打て」と同じことです。
そもそも読書感想文って、本を読んで感じた事を書くことなんですから、時間が経ってしまうと心が震えた部分の熱が冷めてしまうんですよね。
もちろん、そうして一度冷やして形成する方法もあると思いますが、
- 「グッと来たセリフ」
- 「好きなシーン」
- 「美しいと思った表現」
- 「ここを読んで何を感じたのか」
- 「この作品のどの部分に惹かれたか」
ということは、メモなり、付箋なり、時間が経っても引き出せるように目印をつけておく必要がありますよ。
人の心と頭は常に稼働してますからね、いくら感動しても時間が経つと興味は薄れて行ってしまうものなんです。
だから、本を読みながら読書感想文を書くというのが実は一番ホットな状態で書く方法なんですね。
すぐには書き始められない場合もあると思います。
そんなときは、気になった箇所やページに付箋をしたり、メモに感じたことなどを書き出しておきましょう。
後で清書するときにスムーズに書き始められます。
もし、読書感想文を書くために本を読むのであれば、読書感想文を書くつもりで読んだ方がいいです。
当たり前のことを言っているようですが、「この本の盛り上がりはどこか」とか「この台詞は印象的だ」など、常に頭の隅に冷静な自分を残して本を読むと、いざ文章を書くときの「あたり」がつけやすいです。
さらに時間がない、とおっしゃられる場合は、その本のあらすじを読んでから本文を読むと、理解が早くなり、飛ばし読みでも全体の構成がわかりますので読書感想文を書くことに不自由しないと思います。
以上のことを簡潔にまとめたのがこの4つのポイント。
- 本を読んだらすぐに感想文を書く
- 無理ならメモを取るか付箋をする
- 読書感想文を書くつもりで本を読む
- あらすじを読んでから本を読むと分かり易くて飛ばし読みもできる
映画を観てから原作を読む方法も
本を読む前に映画のDVDを見ておくと、ストーリーが頭に入りやすいですよ。
2012年に松坂桃李主演で映画化されています。
動画配信サービスやレンタルショップに行けば必ず見つかるはず。
あらすじは必要ならば書く
あらすじがあった方が読む人に対して理解しやすい場合には書くようにしてください。
誰でも知っているような物語にはあらすじは必要ありません。(『ツナグ』の場合、短くてもあったほうがベター)
そして、読書感想文があらすじで埋まってしまわないようにしてくださいね。
あらすじは、感想を書きたい部分の「補足説明」をする目的で、物語の一部分をクローズアップするようにコンパクトにまとめましょう。
今回、私は、冒頭に大まかなストーリーの「目次」ともいえるようなあらすじを書きました。
そこから関心を強く持った箇所にズームインして、自分の感じたことについて書いていくつもりです。
以上の要点をまとめたのがこちら。
- あらすじは必要がある場合だけ書く
- あらすじだけで読書感想文の大半を埋めないこと
- あらすじは自分が言いたいことの補足説明をするつもりで書く
定番パターンの「4部構成」にそって書く
読書感想文で基本的な構成は、4部構成に分けて考えるとやりやすいと思います。
- 「導入」:その本を読むことになったきっかけ
- 「紹介」:その本のあらすじを必要なら書き、不要ならそのまま興味を持った部分や心に響いたことを書く
- 「感動」:この本と今の自分を比較したり、この本を読むことにより感じた事などを掘り下げる
- 「締め」:まとめ部分であり、具体的にこの本を読んでどんな影響を受けたのか、この本により学んだことをどう生かすのか?などまとめる
この構成をきっちり守るだけで、スッキリしてわかりやすい読書感想文になると思います。
読書感想文を読む人が求めていることを想像する
これは読書感想文の「ウケ」を狙った場合の話です。
例えば
- 学校の先生
- 会社の上司
- 入賞目的
など、読む人の求めているものを察するということが大切な場合もありますよね。
自分の書きたいことだけを書いても、なかなか理解(共感)してもらえる文章にはなりません……。
国語の授業の一環として読書感想文の提出を先生に求められて、何を書けば評価が上がるかと言えば
- 本の内容を理解しているか
- 本を読んで「気づき」があったのか
- 漢字や熟語の使い方は適切か
など、「期待しているもの」に答えることができれば読書感想文は、ほぼ成功といっても過言ではないと言えます!
自分の内面をさらけ出す勇気をもつ
先ほどの読む人の求めているものを見つけるという事と正反対のことになるかもしれませんが、「自分の書きたいことを書く」という事もとても大切なことなんです。
さらに言えば、「自分の書きたいことを書いて、読んだ人に理解してもらう」ことができたらベストと言えますね。
「書きたいことがない」なんてことは、決してないと思いますよ。
『ツナグ』のあらすじ
偉そうに読書感想文の書き方教えます!なんて言っている私ですから、あらすじなんてチョチョイのチョイで書けて・・・いやウソです・・・ごめんなさい。
なかなか難しいんですよね。私の場合、とても長くなってしまうんです。
どこを省いていいのか、どう省略すべきか、悩んでしまって。
ここも面白いから、ここは外せない部分だ、と盛りだくさんになってしまいます。
これではいけないと思い立ちまして。
昔、現国の先生に聞いた「あらすじの書き方」を思い出して、私なりにまとめてみました。
■「ツナグ」のあらすじ
その不思議な能力とは「生きている人と死者の間をつなぐ」こと。
5つのストーリータイトルは
・「アイドルの心得」
・「長男の心得」
・「親友の心得」
・「待ち人の心得」
・「使者の心得」
悲しいだけでも、暖かいだけでも、そして辛いだけでもない死者との一日だけの再会は、大切なものを失った人に「代わりの何か」をもたらしてく・・・・。
いかがでしょうか?
この小説は「連作短編集」といって、5つのお話すべてが共通のテーマでありながら、それぞれが別個のお話となっています。
テレビドラマの「世にも奇妙な物語」を想像すると分かりやすいですね。
ですから、個別のお話のすべてのあらすじを書くわけにいかないので、俯瞰して「どんなテーマでまとめられたお話なのか?」を書けばいいわけですね。
すごく乱暴なぐらいに短くまとめたあらすじですが、どんな感じなのか興味は引けるぐらいの文章になってると思います。
現国の先生直伝!上手い「あらすじ」を書く3つのコツ
私がまだうら若き女子校生だった頃、現国の先生(小説家っぽい風貌)から聞いた「あらすじ」を上手に書くコツをご紹介していきますね。
(1)オチを隠して興味を煽る
例えば映画紹介のためのあらすじだとすると、オチまで言ってはいけませんよね。
この映画は面白そうだなって思ってもらえるところまでで、止めなくてはなりません。
美味しいところだけを「ちょい見せ」する感じですかね?
良い例として新潮文庫から出ているスティーブン・キングの本の裏表紙に書いてあるあらすじが参考になりますよ。
(2)あらすじを起承転結で表す
2時間の映画をギュッと圧縮して「4コマ漫画」にするあらすじの書き方。
物語の骨組みだけを取り出して、肉や皮を全部削いでしまう作業が必要になりますが、そのぶん簡潔で分かりやすくなる利点があります。
物語の作者はこのような「プロット」と呼ばれるあらすじを最初に作りますが、それを読者側が想像して作る感じといえば分かりやすいでしょう。
(3)物語の必要な部分だけを書き出す
このあらすじの書き方が、読書感想文では使いやすいと思います。
自分の興味のある部分、物語の一部分だけをクローズアップして説明します。
そうすることで、簡潔で分かり易い文章ができます。
読書感想文に“あらすじ”は必要か否か
作品の良さを伝えたい場合、あらすじの必要を感じることはありますね。
特にファンタジーや非現実世界の話の場合、その世界観を知ってもらわないと、どうして感動したか理解してもらいにくいことも多いです。
感想文を読む人に対して「導入文を書くつもり」であらすじを書くことをおすすめします。
ただ、誰もが知っているようなお話に対しての感想文の場合、あらすじはスパッと削り落としてしまった方がいいと思います。
感想文を書く前に、メモ用として自分なりにあらすじをまとめてみるのはとてもいいと思いますよ。
物語の本筋がスッキリと見えて、自分がどの部分に惹かれたのかを再確認できますからね。
『ツナグ』の登場人物
読書感想文を書く際にメモ代わりになるよう、主要な登場人物と登場する章のタイトルを一覧にしてまとめておきます。
- 渋谷歩美/ツナグ(主人公)・・・生者と死者をつなぐ男子高校生
- 平瀬愛美(「アイドルの心得」)・・・27歳の依頼人
- 水城サヲリ(「アイドルの心得」)・・・平瀬が会いたい芸能人
- 畠田靖彦(「長男の心得」)・・・50代の工務店店長
- 畠田ツル(「長男の心得」)・・・靖彦が会いたい実の母
- 嵐美砂(「親友の心得」)・・・歩美の同級生
- 御園奈津(「親友の心得」)・・・美砂が会いたい同級生
- 土谷功一(「待ち人の心得」)・・・30代のサラリーマン
- 日向キラリ(「待ち人の心得」)・・・功一の失踪した婚約者
映画「ツナグ」では原作のあの役をあの人が演じてます(意外)
『ツナグ』のテーマ(主題)
私がざっと読んで感じた小説『ツナグ』のテーマは、ずばり「愛」です。
亡くなった人に会えるという仕掛けがあるため、一見「生死」がテーマに感じられてしまいますが、人の心の通い合いをメインに描いているため、あまり関係ないかなと思いました。
生前、いろんな理由から衝突やすれ違いがあった人間同士が、生と死の境目で再会して、ココロを通わせて和解している姿に涙腺がうるっとします。
読書感想文を書く際には、そのあたりを押さえれば、読み手にもぐっとくる情感あふれた文章になるのではないでしょうか。
まとめ
色々書いてきましたが、最後に一番大切なことを書きます。
出来上がった読書感想文は、必ず何度も何度も読み返してください。
とても大切な「推敲」という作業です。
誤字脱字はもちろん、ちゃんと筋は通っているか?、わかりやすい表現ができているか?
こういうことを確認しながら読み返すことは本当に大切なことですよ。
できれば書き上げてから数日置いて、どんなことを書いたか記憶が薄れた状態で読みましょう。
そうすると、あたかも他人が書いた文章を読むような客観的な読み方が出来ます。
何度も読み返して完璧だ!と思って提出しても、数日後にあらためて読んでみると、ミスがあったり、この表現はいまいちだったなーなんて、ざらにありますから。
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