ここでは、こんな知識をご紹介します
- 強力粉・薄力粉の賞味期限切れはいつまで使えるか?
- 腐ったり傷んだ強力粉・薄力粉の見分け方
- 強力粉・薄力粉の正しい保存方法
- 賞味期限切れの強力粉・薄力粉の使い道
強力粉と薄力粉という2つの小麦粉。
私の家では薄力粉はしょっちゅう使うものの、少しずつしか使わないので、使い切る前に賞味期限切れになることが……。
強力粉はパン作りのために買ったものの、たまにしか焼かないので、存在を思い出したときにはもうすでに賞味期限が切れていたり……・。
乾燥した粉だから「どうせ腐らないだろう」と大袋を買って、そのまま保管庫で寝かせている人も多いでしょう。
強力粉・薄力粉は、一生付き合っていく食材の代表。
ムダに捨てることなく、上手に消費していくために知っておいて損はありませんよ。
強力粉・薄力粉の賞味期限切れはいつまで使って大丈夫?
賞味期限が切れた強力粉・薄力粉は
- 未開封
- 開封済み
で使える限度は変わります。
では、それぞれのギリギリ使える期限をチェックしていきましょう。
未開封で賞味期限が切れた強力粉・薄力粉が使える限度
スーパー等で強力粉・薄力粉を買ってきて、一度も開封せず未開封で保存した場合。
以下の期限までは使えます。
- 未開封の強力粉:賞味期限切れから1.2ヶ月~3ヶ月まで
- 未開封の薄力粉:賞味期限切れから2ヶ月~5ヶ月まで
【一例】賞味期限が「2021年6月1日」の場合
たとえば、賞味期限が「2021年6月1日」と表示されていた場合は、以下の日付までは使えます。
- 未開封の強力粉:7月14日~9月1日まで
- 未開封の薄力粉:8月1日~11月1日まで
なぜ賞味期限が切れても使えるの?
なぜ賞味期限が切れても強力粉・薄力粉は使うことができるかというと、その理由は2つあります。
- 賞味期限は消費期限ほど厳密に守らなくていいから
- 賞味期限は短めに設定されているから
賞味期限は消費期限ほど厳密に守らなくていいから
食品に表示されているのは賞味期限の他に「消費期限」もあります。
この2つの期限は明確に違いがあります。
- 賞味期限:おいしく食べられる期限
- 消費期限:安全に食べられる期限
つまり賞味期限が過ぎても味が落ちるだけで、食べるのが禁止されているわけじゃありません。
「賞味期限」は短めに設定されているから
誰でも少しくらい賞味期限が切れた食品なら、気にせず食べるのが普通ですよね?
それを見越して、食品業界のルールであらかじめ短めに設定されているんですね。
その期間は、本来の賞味期限より1.2~1.5を削ったもの。
ですから、パッケージに記載された賞味期限に1.2~1.5を掛けた数値が、本来の賞味期限になります。
未開封の強力粉・薄力粉の賞味期間
日本でもっともポピュラーな小麦粉といえば、日清製粉の商品ですよね?
日清製粉が販売している強力粉と薄力粉の賞味期間がコチラです。
- 強力粉(日清カメリヤ強力小麦粉):製造から6ヶ月
- 薄力粉(日清フラワー薄力小麦粉):製造から1年
どちらの「未開封」で「正しい保存方法」を守って保管していた場合の期間です。
強力粉は薄力粉の半分と、短い点に注意したいところ。
本来の「未開封の強力粉・薄力粉」の賞味期限の求め方
メーカーが定める未開封の賞味期限は、強力粉は6ヶ月・薄力粉は1年です。
この期限を1.2倍~1.5倍すると、本来の賞味期限が判明します。
実際に計算した様子がこちら。
- 強力粉の賞味期限:6ヶ月×1.2(1.5)=7.2ヶ月(9ヶ月)
- 薄力粉の賞味期限:1年×1.2(1.5)=1.2年(1.5年)
未開封の強力粉なら製造日から、7.2ヶ月~9ヶ月。
未開封の薄力粉なら製造日から、1.2年~1.5年になるわけですね。
開封済みで賞味期限が切れた強力粉・薄力粉が使える限度
開封済みの強力粉・薄力粉は、メーカーが言うには「できるだけ早く使い切る」のがルールです。
具体的な期間は明確に書かれていませんが、一般的に開封済みの強力粉・薄力粉は1ヶ月~2ヶ月以内に使い切るのが理想とされています。
ですから、一旦開封するともうパッケージに書かれた賞味期限は意味をもちません。
つまりパッケージに書かれた賞味期限が4ヶ月以上も残っているとしても、1ヶ月~2ヶ月以内に使い切るのがベスト。
賞味期限切れは関係なく、開封したらなるべく早く使うことを意識しましょう。
強力粉・薄力粉が腐った(傷んだ)ときの見分け方
強力粉・薄力粉は乾燥した粉末だから、生モノのように腐っている姿が想像しづらいですよね?
しかし、製造日から時間が経てば、劣化し、腐敗していくのは自然の摂理です。
いまご自宅で長期保存している強力粉・薄力粉にこんな変化は見られないでしょうか?
- 変色したりカビている
- 変な匂いがする
- 固まったり粘つきが出ている
- ダニが湧いている
ひとつでも思い当たるなら、要注意ですよ!
変色したりカビている
強力粉・薄力粉とも、時間が経つにつれて黄色い変色が進行します。
また、本来は真っ白な粉にカビらしき色を確認するケースも……。
変色したりカビがついた部分だけを捨てて使うのはやめて、全部捨ててしまいましょう。
変な匂いがする
強力粉・薄力粉は本来は無臭。
しかし、劣化が進み傷んでくると妙な異臭を感じることも。
匂いの元がどこか突き止めるのは難しいので、これも全部捨てるしかありません。
固まったり粘つきが出ている
保存状態が悪いと、外から湿気が入り込みます。
強力粉・薄力粉はカラカラに乾燥しているからこそ長期保存が可能ですが、湿気を吸ってしまうと生モノと変わらない状態に。
湿気を吸い込むと、最初は固まるだけですが、さらに湿気の吸収が進むと腐って粘つきがでてきます。
ダニが湧いている
ダニは高温多湿の環境が大好きで、強力粉・薄力粉のなかに発生する可能性が!
特に梅雨の季節は要注意です。
小麦粉につくダニは「コナダニ」と言い、0.3~0.5mmの小ささ。
しかも袋を食い破って侵入することも……。
よく観察して微小な虫がうごめいていたら、ゴミ袋に入れて、口をよく閉じて処分しましょう。
強力粉と薄力粉の正しい保存方法
強力粉・薄力粉を劣化・腐敗させない正しい保存方法を見ていきましょう。
メーカーは常温保存を推奨
基本的にメーカーは一年中、常温保存を推奨しています。
それはなぜかというと、以下の2つの理由から。
- 冷蔵庫に入れると、結露して固まったりカビが発生するため
- 冷蔵庫の匂いが移るため(ニオイ移り)
ですから、「正しい保存」には常温に置くのが正解なんですね。
常温での正しい保存方法
強力粉・薄力粉を常温に置く場所は
- 直射日光が当たらない
- 高温にならない
- 湿気がたまらない
この条件に合格する場所を選びましょう。
開封前なら買った際のパッケージのままで保存可能ですが、開封後はビンやタッパー、ジップロック等の密閉容器に詰め替えます。
その際、ビンやジップロックのなかに「乾燥剤」をいれておくと湿気るのを防げますよ。
乾燥剤は、海苔やお菓子に入っていたものを流用するのでもOK!
なお、一部の強力粉・薄力粉の袋は、ジッパーがついているので一見密閉できるように思えます。
しかし、何度か使っているうちにジッパーの溝に粉が溜まって閉まらなくなるので、詰め替えたほうがいいでしょう。
私は冷蔵庫で保存しています
メーカーは推奨しませんが、私は何十年も強力粉・薄力粉を冷蔵庫で保存しています。
それでも今まで、湿気て固まったことやニオイ移りを感じたことは一度もありません。
ようは、保存の仕方次第なんでしょう。
私が冷蔵庫で保存するにあたって気をつけている点が、この2つ。
- 強力粉・薄力粉の袋の口を三つ折りにしてクリップで留める
- 頻繁に「開け閉め」しない野菜室の奥に入れる
私は豆な性格ではないので、買った袋のまま移し替えませんが、そのかわり袋の口だけはコーヒーの袋を留めるための頑丈なクリップで留めています。
それ以上に大事なのが、冷蔵庫内での保存場所。
普段、一番開け閉めする冷蔵室では、メーカーが言うように温度変化の影響を受けやすく、袋の内部日結露が生じるかもしれません。
でも、滅多に開け閉めしない独立した野菜室なら、大丈夫!
しかも念を入れて、できるだけ奥に配置するようにしていますよ。
冷凍保存も可能ですが無意味
強力粉・薄力粉は冷凍保存が可能です。
しかし、冷凍保存は本来、水分を含んだ食品を凍らせて腐敗の進行を止める目的で行う保存方法です。
強力粉・薄力粉はどちらも水気が一切ない粉状なので、冷凍する意味がないでしょう。
冷凍したからといって、賞味期限が伸びるとは思えません。
それに冷凍庫から常温に取り出すと、結露しやすく、それをまた冷凍させると水分を含んだ状態になるため、粉がカチカチに固まる恐れがあります。
というわけで、冷凍庫に入れるのは個人的にお勧めしません。
賞味期限切れの強力粉・薄力粉の使い道
賞味期限が切れた強力粉・薄力粉を食用にすると、お腹を壊したり、ダニが湧いたものだとアレルギーを起こす心配もあります。
でも、だからといって捨ててしまうのはもったいない!
強力粉・薄力粉を有効活用する使い道を5つご紹介しましょう。
油汚れの掃除に使える!
強力粉・薄力粉は粒が非常に細かいため、強力に油を吸着してくれます。
そのため油汚れの掃除にはもってこいで、以下のような使い道があります。
- キッチン周りの油汚れの拭き取り
- フライパンの油取り
- 床にこぼれた油の拭き取り
ガスコンロや換気扇など油でベトついた箇所に、強力粉・薄力粉をふりかけてしばらく置きます。
そして、雑巾などで拭き取るとゴッソリとこびりついた油が取れます。
日常的には、フライパンに残ったサラダ油やお皿の油汚れに強力粉・薄力粉をふりかけて吸わせると、食器洗いが非常に楽になりますよ。
また、床にサラダ油や灯油などをこぼした際にも同じように吸わせると、掃除が楽になります。
捨てるサラダ油の「凝固剤」の代わりになる!
使い終えた揚げ油は、凝固剤で固めるか、新聞紙などの紙に吸わせるか、あるいはペットボトルなどに詰めて液体のまま捨てるしかありません。
どれも実際にやると面倒ですが、多めの強力粉・薄力粉で吸わせて捨てる方法もあります。
あまりにも大量のサラダ油だと無理ですが、大量に捨てる予定の強力粉・薄力粉があれば、お試しください。
完全な固形にはならないものの、鍋を傾けてゴミ袋に入れるのは簡単です。
子供が遊ぶ粘土になる!
賞味期限が大幅に切れた強力粉・薄力粉は食べられませんが、子供が遊ぶ粘土の材料になるんです。
私は知らなかったものの、「小麦粘土」は有名で、子供番組で紹介されたこともあるそうです。
作り方はこちらの動画をご覧ください。
ポイントは以下の6点です。
- 強力粉・薄力粉に水を少しずつ入れながら混ぜる
- しっとりさせるならサラダ油を少し入れる
- 日持ちさせるなら塩を少し入れる
- 絵の具を入れると色付きになる
- 保存するときはタッパーに入れる
- 保存期間は1~2週間ほど
念の為、お子さんが誤って食べないように、作ったり遊ぶ際は親御さんがそばで見ていたほうがいいですね。
【おまけ】強力粉・薄力粉の豆知識
最後にいまさら他人には聞けない小麦粉にまつわる豆知識を解説して終わります。
強力粉・薄力粉・中力粉の違い
強力粉・薄力粉・中力粉はすべて小麦粉の一種です。
小麦粉を、「たんぱく質の量・性質」によって分類したのが、強力粉・薄力粉・中力粉になります。
ざっと違いを表すと以下の通り。
- 強力粉:たんぱく質は12%以上、用途はパンや麺など
- 薄力粉:たんぱく質は8.5%以下、用途はクッキーやケーキ、天ぷら等
- 中力粉:たんぱく質は9%、用途はうどんやお好み焼き・たこ焼き等
このように用途に合わせて使い分けるのが当然なんですね。
強力粉・薄力粉と「天ぷら粉」や「から揚げ粉」の違い
薄力粉は天ぷらに向いた小麦粉ですが、スーパーに行くと「天ぷら粉」なるものが売られています。
この天ぷら粉は、誰でも簡単においしい天ぷらを作るために作られた特殊な小麦粉です。
天ぷら粉のなかには、薄力粉を中心に、卵粉・ベーキングパウダー・でん粉などが添加されています。
また、から揚げ粉はコーンスターチやでん粉のほかに、醤油やガーリックパウダーなどが入っているため、下味をつける手間が省ける「唐揚げ専用の粉」になっています。
まとめ
強力粉・薄力粉の賞味期限切れについて解説してきました。
今回の記事の要点をまとめますね。
- 強力粉の賞味期限は製造から6ヶ月
- 薄力粉の賞味期限は製造から1年
- 未開封なら賞味期限の1.2~1.5倍まで食べられる
- 未開封の強力粉は賞味期限切れから1.2ヶ月~3ヶ月まで
- 未開封の薄力粉は賞味期限切れから2ヶ月~5ヶ月まで
- 開封後は1~2ヶ月以内に使い切る
- 強力粉・薄力粉は傷むとカビ・ダニ・異臭・変色が見られる
- 強力粉・薄力粉は冷蔵庫ではなく常温保存が基本
- 賞味期限が切れたら油の掃除や粘土にする使い道がある
家族が少ないと1kgの小麦粉でも1年くらいは余裕でもってしまいます。
個人的には冷蔵庫で保存するのをお勧めしたいですね。
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