【この記事の要約】ユキノシタは毒性があるために植えてはいけないといわれます。しかしそれは誤解なので庭に植えても問題はありません。
春の山菜として食べられるユキノシタ(雪の下)。
可憐な花を咲かせるため観賞用として栽培する人も多いですが、一部では「植えてはいけない」との気になる声も……。
そこで今回は
- ユキノシタを植えてはいけない理由
- ユキノシタを安全に育てる注意点
- ユキノシタを庭に植えるメリット
を解説します。
井戸草や虎耳草といった別名もありますが、ここではユキノシタという呼び名で統一します。
ユキノシタを植えてはいけない5つの理由
ユキノシタを植えてはいけないと言われる理由がこの5つです。
「毒性がある」と誤解されている
ユキノシタを植えてはいけない1つ目の理由が「“毒性がある”」と誤解されている」ため。
一部の人の間では
ユキノシタには毒性があるから危険、子供やペットが食べたら大変だから植えてはいけない
とも言われますが、これは完全な誤解です。
なぜ毒があると誤解された?
ユキノシタはユキノシタ科に属します。
同じユキノシタ科には紫陽花も含まれ、紫陽花には有毒成分を持つ種類があります。
そのせいでいつしか両者が混同され、ユキノシタにも毒があるという説が定着してしまったようですね。
あらためて確認するとユキノシタは山菜として食用が可能です。
ですから、庭に植えても危険性は一切ありません。
毒性があって本当に危険なのは、紫陽花のほうですよ。
ランナーで勝手に増えてしまう
ユキノシタを植えてはいけない2つ目の理由が「ランナーで勝手に増えてしまう」ため。
ユキノシタはランナーを伸ばして、勝手に増えていきます。
庭の石垣に自生しているユキノシタ。ランナー(増えるための赤い根っこ)がにょきにょき生えてきました。生命を感じる春の朝。うれしい。 pic.twitter.com/bDUsieYeGp
— 12月のきりん (@deckirin) March 31, 2018
「ランナー」とは親株から伸びた蔓(つる)のこと。ランナーの先が土に触れると根付いて子株が誕生する仕組み。
ランナーを通してユキノシタはどんどん増殖し、ほうっておくと庭全体に広がってしまうことも……。
ユキノシタの葉は大きいため、他の植物が芽生えなくなったり、成長を阻害する危険性もあります。
また、お隣の家まで進出したら、ご迷惑をかけるかもしれませんね。
真夏の直射日光で葉焼けする
ユキノシタを植えてはいけない3つ目の理由が「真夏の直射日光で葉焼けする」ため。
ユキノシタは日本原産ですが、自生する場所は湿気の多い岩場や沢沿いの岩場など。
つまり薄暗くてジメジメした場所が生育には適しています。
そのため、真夏のカンカン照りの直射日光に当たると、葉焼けを起こしてしまうことも……。
美しい葉を鑑賞するために植えた人からすると
葉焼けしてガッカリ……
なんて事態にもなりかねません。
高温に弱い
ユキノシタを植えてはいけない4つ目の理由が「高温に弱い」ため。
前述の通り、ユキノシタは冷涼な気候を好みます。
気温が35℃以上になると
- 葉の色が薄くなる
- 葉が巻いてしまう
といった変化が現れることも……。
春や秋はまだしも、真夏の猛暑日が続くような時期に高温になる場所(=日当たりが良い場所)に植えていると、次第に弱ってしまうでしょう。
踏みつけに弱い
ユキノシタを植えてはいけない5つ目の理由が「踏みつけに弱い」ため。
ユキノシタは地面を這うように伸びる匍匐性のため、グランドカバーとして利用したい方も多いはず。
しかし、残念なことにユキノシタは
- 人間がずかずかと通る
- 大型の犬が飛び回って遊ぶ
といった場所に植えるとペシャンと潰れてしまいます……。
人やペットが立ち入らない花壇ならいいですが、通り道には植えてはいけない植物です。
ヒマラヤユキノシタは踏みつけに強い
同じユキノシタ科の仲間にヒマラヤユキノシタがあります。
その名の通りヒマラヤ山脈周辺が原産地で、鮮やかなピンクの花を咲かす多年草。
「忍耐」の花言葉から想像がつくように、こちらは踏みつけにはめっぽう強い性質があります。
なお、ユキノシタと違って葉を食用にすることはできません。
ユキノシタを安全に庭で育てる3つの注意点
難点のあるユキノシタですが、以下の点に注意すればどなたでもお庭で楽しむことができますよ。
- 半日陰で風通しが良い場所に植える
- 人やペットが通らない花壇等に植える
- 伸びたランナーを切る
半日陰で風通しが良い場所に植える
ユキノシタを元気に育てるには、自生している場所(ジメジメした日陰)に似た環境に植えるのが重要です。
一年中、日当たりが良くて、カラカラに乾燥した場所はNG!
日陰かもしくは半日陰で、熱がこもらない風通しがよいユキノシタにとってはベストな環境です。
ですから、南向きの日当たりの良い庭よりも、東や北の日当たりがあまりよくない庭のほうが適していますよ。
なお耐寒性は高いため、北海道でも地植え可能です。
人やペットが通らない花壇等に植える
ユキノシタは踏みつけに弱いので、人やペットの通り道や遊ぶ場所は不向きです。
立入禁止の花壇など区切られたエリアに植えるようにしましょう。
伸びたランナーを切る
ユキノシタはランナーを伸ばして自己増殖します。
株を増やしたくない場合はランナーが伸びているのを目にしたら、すぐさま園芸鋏で切ってしまいましょう。
ユキノシタは地下茎で増えるやっかいな繁殖能力はありません。
不要になったときも株を手で引き抜いてしまえば、完全な除去も比較的カンタンに行えます。
ある意味、管理がしやすいとも言えますね。
ユキノシタを庭に植える3大メリット
ユキノシタを選んで庭に植えると、こんなメリットがあります
- 天ぷらが絶品
- 地植えなら水やりは不要
- 病害虫に強い
天ぷらが絶品
ユキノシタは
- おひたし
- 和え物
など様々な料理に使えますが、なかでも絶品なのが天ぷらです。
肉厚な葉っぱと天ぷらのサクサクの衣のコントラストは、山菜マニアも絶賛。
庭で採れたら汚れも気にならないですし、なにより新鮮なのでより美味しく感じられるでしょう。
地植えなら水やりは不要
ユキノシタはジメジメした場所が好きと言いながら、過湿には弱く、ある程度の乾燥には耐えられます。
真夏の日照りが続く季節は除いて、基本的に地植えにした場合は水やりは不要です。
病害虫に強い
ユキノシタに心配される病害虫がこちら
- 灰色かび病
- アブラムシ
- ハダニ
- ヨトウムシ
- ナメクジ
しかし、それほど深刻にはならず農薬等による対策も不要。
ナメクジに食害されることもありますが、枯れた葉をこまめに取るなど風通しを良くしておけば被害を未然に防げます。
まとめ
ユキノシタを植えてはいけないと言われる理由がこちらの5点でした。
- 「毒性がある」と誤解されている
- ランナーで勝手に増えてしまう
- 真夏の直射日光で葉焼けする
- 高温多湿に弱い
- 踏みつけに弱い
最大の懸念点が「毒性」ですが、これは完全に濡れ衣。
ユキノシタには毒性がないどころか、美味しく食用にできます。
その他の欠点もカンタンな対策で予防できるので、ぜひお庭で栽培を楽しまれてください。
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