猫柳を庭に植えてはいけないと言われるのは
- 「死」と強く結びついた木だから
- 「凶木」だから
- 大木に育つと家を傷める恐れがあるから
という3つの理由があるためですが、ほとんどが縁起の問題であり、適切に管理すれば誰でも庭で楽しむことができる植物です。
花穂が猫の尻尾に見えるため、その名が付いた「猫柳」。
春先に可愛らしい花を咲かすため人気がありますが、庭に植える前に知っておくべきことがあります。
そこで、今回は
- 猫柳を庭に植えてはいけない3つの理由
- 猫柳が庭植えに向いている理由
- 猫柳を庭で安全に育てるコツ
を解説します。
庭造りを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
猫柳を庭に植えてはいけない3つの理由とは?
猫柳を庭に植えてはいけないといわれる3つの理由について、それぞれくわしく解説します。
「死」と強く結びついた木だから
柳はその姿が人や動物のしなびた姿に似ていることから、「死」や「不幸」と強く結びついています。
また、縁起でもないとされる理由の一つに、柳の木が民間信仰の儀式や行事でよく使われていたことが挙げられます。
たとえば、かつては葉つきの枝を塔婆に使ったり、柳の木は根付きが良いため、根がつけば「成仏したこと」を意味したとか……。
また、水辺に立つ柳の木には、幽霊の存在が描かれることもありました。
これは、柳の木が「この世」と「あの世」をつなぐ道具立てとされ、あの世と繋がっているため、縁起が悪いとされたのです。
そのため、庭に植えることは、霊界との出入口をつくることを意味すると考えられ、避けられるようになったとされています。
このように、猫柳は日本の文化や民間信仰と深く結びついた木であり、その姿からも「死」や「不幸」とのイメージが強いため、庭に植えることは避けるべきと考える人はたくさんいらっしゃいます。
「幽霊」=「シダレヤナギ」
しかし、今回のテーマは「猫柳」。
柳には種類がたくさんあり、猫柳のほか
- シダレヤナギ
- ウンリュウヤナギ
- マルバヤナギ
などが知られています。
このうち街路樹や川沿いに植えられることが多いのがシダレヤナギであり、幽霊がその下に立っているのはシダレヤナギ。
幽霊がいるところでお馴染みの
シダレヤナギですねたぶん。 pic.twitter.com/brQbER6A30— GoToMarket(ショップ休業中)@自転車 (@GoToMarket510) October 20, 2021
猫柳とは同じ「柳の一種」とはいえ、別の植物であり見た目が違うため、幽霊や死と結びつけるのはやや強引かなと思います。
「凶木」だから
猫柳を庭に植えてはいけない理由のひとつが、柳が「凶木」と認識されているためです。
凶木とは、その木から発する気が悪い方向に向かうとされ
- 家庭内のトラブル
- 健康上の問題
- 財政上の問題
などを引き起こすとされる凶運をもたらす木のこと。
柳はその中でも特に凶木とされており、愛情面に問題が生じたり、家族関係が壊れたり、精神病になるなどの不幸が起こるとされています。
また、お金が貯まらなくなったり、アルコール依存症になるといった縁起の悪い言い伝えもあるようです。
ただし、陰陽道では、柳の木には「陽の気」があり、鬼門を封じる力があるとされているため、それらの悪い影響を抑えるために植えられる場合もあります。
大木に育つと家を傷める恐れがあるから
猫柳は一般的には1~3mの大きさにおさまりますが、5mを越える大木に成長することもあります。
それにくわえて、柳の根は浅く、強風や大雨などの自然災害に弱いため、倒れやすくなってしまいます。
そのため、庭に植えると将来的には家を傷めることも……。
また、建物の下や基礎の周辺に根を張ることもあるため、建物を支える土台を壊してしまうこともあります。
これにより、建物が傾いたり、ひび割れが生じたりする恐れが……。
そのため、庭師さんたちは、柳を庭に植えることには慎重で、適切な手入れを行ってもらうことを勧めています。
猫柳が庭植えに向いている2つの理由
逆に猫柳が庭植えに向いている面もあります。
それがこちらの2つの点からです。
- 縁起が良い神聖な木のため
- 病気や害虫の心配はほとんど不要だから
どういうことなのか、くわしく見ていきましょう。
縁起が良い神聖な木のため
猫柳が庭植えに向いている理由のひとつに、縁起が良い神聖な木であることが挙げられます。
古くから柳の木は魔除けや鬼門封じに用いられ、邪気を払う神聖な木として信仰されてきました。
例えば、江戸時代には太田道灌が江戸城築城の際に、鬼門とされる神田川堤一帯に多くの柳を植え、その後の江戸八百八町の繁栄につながったとされています。
また、柳の木は春一番に新芽を出すため、「祝箸」と呼ばれる神聖な箸の材料としても用いられてきました。
このように、柳の木は古くから日本人にとって縁起が良い木として扱われ、庭植えにすることで家庭にもその縁起が招かれると考えられています。
さらに、猫柳は比較的小型で育てやすく、葉や幹がしなやかで美しいため、庭に植えるには非常に適しています。
そのため、多くの日本人が庭に猫柳を植え、縁起が良いとされるこの神聖な木を愛でてきました。
病気や害虫の心配はほとんど不要だから
猫柳が庭植えに向いている理由のひとつは、病気や害虫の心配がほとんど不要だという点です。
猫柳は比較的丈夫な樹種であり、病気になりにくいため、庭に植えておいても長く美しい姿を保つことができます。
また、害虫に対しても強い抵抗力を持っており、害虫の被害を受けることが少ないため、特別な防虫処理を行う必要がありません。
このような点から、猫柳は庭の植栽に最適な樹種のひとつとされています。
猫柳を庭で安全に育てるコツ
最後に簡単にですが、猫柳を庭で安全に育てるコツをご紹介します。
植え付ける時期
猫柳を植え付ける時期は、落葉期の秋から冬にかけてが最適です。
この時期に植え付けることで、植物が十分に根を張って春先に成長する準備が整います。
用土
猫柳は山野の河川の水辺などに多く自生します。
そのため、水はけの良い砂質よりも粘土質の土壌を好みます。
植える場所
日当たりがよく風通しの良い場所に適しています。
特に、南向きの庭や日当たりの良い斜面など、日差しが豊富な場所が好ましいです。
水やりと肥料
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら、たっぷりとした水を。
地上の場合はよっぽど雨が降らない場合を除けば、あえて与える必要はないでしょう。
肥料は毎年2月頃に「寒肥」として、株元に緩効性の化成肥料を与えます。
剪定
花が咲き終わったあとの4月下旬~5月ごろに剪定をします。
枝が絡んでいる部分や乱れた枝を整えるようにして切ればOKです。
まとめ
猫柳を庭に植えてはいけない理由を解説してきました。
猫柳は昔から縁起が悪いとされ、病気や災難を呼び込むと信じられてきました。
しかし、現代ではそうした迷信は払拭され、猫柳が美しい風景を作り出す樹木であることが広く認知されています。
縁起や昔からの風習を気にしない人なら、自由に庭に植えることができるでしょう。
庭に猫柳を植える際には、成長に合わせて十分なスペースを確保し、土の水はけや肥料の与え方にも注意することが大切です。
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