秋の空気感漂う季節になり、これからは紅葉や食べ物が一層楽しみになりますね。
我が家では先日、親戚から珍しい「菊酒」というお酒を頂きました。菊酒とは菊の香りを移したお酒です。
そんな素敵な贈り物と一緒に「9月9日の【重陽の節句】にどうぞ。」というメッセージカードが入っていたんですね。
んんっ?
その一文を見て私も夫も「これってなんて読むんだろう?」と頭をひねったわけです……。
私「じゅうようのせっく?」
夫「じゅうひのせっく?」
漢字に弱くて国語の成績が悪かったので、どちらも不正解(笑)
そこで、ここでは私たち夫婦みたいに
- 重陽の節句の読み方を知らない人へ解説
- そもそも重陽の節句とは?
- 行事食は何を食べる?
など基本的な知識をまとめてみました。それではどうぞ。
重陽の節句の読み方とは?
まず私たち夫婦がいくら頭をひねっても分からなかった「重陽の節句」の読み方から。
重陽の節句の読み方は
ちょうよう-の-せっく
が正解です。
「重」という漢字は「じゅう」と読む以外に「重用する」などの使い方で「ちょう」とも読むんですね。
この場合でも「じゅう」とは読まず「ちょう」と読むんです。
ですから「ちょうようのせっく」が正解になります。
重陽の節句の意味
では、重陽の節句とはどんな意味があるのか、ざっくりまとめると
- 毎年9月9日が重陽の節句
- 中国生まれの年間の「節目」になる年中行事のこと
- 「五節句」の内のひとつ
- 陽の数(9)が重なるから「重陽」と呼ぶ
- 昔は不吉な日とされていた
- その不吉さを払うための行事だった
- 時代が下ると逆に祝う日に変わっていった
- 菊の節句/栗の節句という別名もある
このように色んな意味が含まれる行事(節句)なんですね。
陽の数(9)とは?
中国の思想のひとつである「陰陽(いんよう)」においては、奇数は「陽」の数とされています。
その奇数のなかでもっとも大きい数字が「9」ですよね?
9月9日はその「9」が2つ重なるわけです。
そんな理由から
陽が重なる⇒重陽
このようにネーミングされたそう。
昔はこうして陽の数の9が重なると、陽の気が強すぎて不吉だと考えられていたので、この日にそれを払うための行事として「重陽の節句」が行われてきたわけです。
しかし、時代が下るにつれて逆に「めでたい日」と考えられるようになり、宴を開いて祝うようになりました。
どうして菊の節句/栗の節句という別名がある?
旧暦の9月9日ころは菊が咲く季節であることから重陽の節句は別名「菊の節句」とも呼ばれています。
菊は中国から伝わり、この頃の日本は平安時代の初めでした。
この菊を用いて長寿を願い、菊の香りを付けたお酒(菊酒)や食べ物を用意して祝ったりしていたそうです。
中国では菊を薬草として扱い、日本でも秋の七草の一つとされています。
また庶民の間では収穫の時期と重なるため「栗の節句」とも呼ばれるようになりました。
栗の節句としては「収穫祭」の意味合いが強く受け継がれてきました。
現在では重陽の節句を認知している人は少なくなりましたが、各地で菊を愛でる祭りや行事などは行われています。
京都の上賀茂神社では、無病息災を祈り重陽の節会(せちえ)が現在も行われていますよ。
こちらは貴船神社で行われる菊花神事の様子です。
「菊のコンクール」や「菊合わせ」など、菊を鑑賞する慣わしも趣があり残しておきたい風習ですね。
五節句とは?
五節句とは古代中国の暦のひとつ。
それぞれの季節の変わり目で、年中行事そのものや、その日を指す言葉です。
五節句のラインナップは
- 1月7日:人日の節句(七草粥)
- 3月3日:上巳の節句(桃の節句/雛祭り)
- 5月5日:端午の節句
- 7月7日:七夕の節句
- 9月9日:重陽の節句
以上の5つがそれに当たります。
今の日本人の行事としても身近な端午や七夕も五節句のうちのひとつに含まれるんですね。
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2024年の重陽の節句はいつ?
2024年(令和6年)の重陽の節句の日にちは
⇒9月9日(月曜日)です。
その年により変わるものではなく、日にちは毎年固定となっています。
ですから、2025年(令和7年)も9月9日が重陽の節句の当日となります。
この重陽の節句が五節句の一つとして広く親しまれる様になったのは江戸時代に遡ります。
しかし、現在ではほとんど祝われることはなく、私のように読み方すら知らない人が多くなっているのが現状です……。
ぜひ用意したい!重陽の節句に食べる行事食
ここからは重陽の節句にちなんだ行事食をご紹介していきます。
菊酒
食用菊を使いお酒に菊の花びらを浮かべたり、菊の香りを移したお酒を飲みました。
また、中国では「菊花茶」と言われる一種のハーブティーが飲まれています。
菊には血行を改善して肩こりや冷え性に効果があると言われていて、最近ではコレステロール値を下げる働きや血栓を予防する効果もあると言われています。
栗ごはん
秋の味覚の栗を米と一緒に炊いた炊き込みご飯です。
栗は栄養価の高い食べ物で、ビタミンCが豊富なうえ、さらに鉄分や食物繊維も含まれており、栄養面からも長寿になれそうな食材です。
秋茄子の煮浸し
秋の9の付く日に茄子を食べると「中風(ちゅうぶ)にならない」とされており秋茄子料理が振舞われました。
中風とは発熱・発汗・咳・頭痛・肩こり・悪寒などの病気を指します。
秋茄子は最近良く聞く「生活習慣病」の予防に効果があると注目されています。
ただ身体を冷やす効果もあるため、生姜などと一緒に食べると体温を下げる効果が少なくなります。
また、この他に菊のおひたし・菊の酢の物・菊の天ぷら・焼き茄子など、菊やナスを使った料理などでもOKです。
まとめ
重陽の節句の読み方を中心に、この行事の意味や祝い方をご紹介してきました。
念のためにもう一度確認すると
重陽の節句の読み方は「ちょうよう-の-せっく」
となります。これでもうバッチリですね!
昔からの風習や慣わしは時代と共に移り変わり、少しずつ風化していってしまいます。
重陽の節句も、五節句の中で認知度は一番低いかも知れません。
テレビのニュースや新聞記事で目にするくらいで、家族や仕事仲間との会話にのぼることはほとんどないですよね?
桃の節句や端午の節句、七夕の節句などは有名で、祝う人が多いのが現在の状況です。
このように現在もおめでたい日として定着している節句もあり、この機会に重陽の節句もぜひ定着してほしいですね。
また実りを食す機会として、栗ごはんや菊酒を囲み皆さんで長寿を願う秋の行事の一つに追加してみましょう。
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