七夕の「織姫と彦星」の悲しき恋の物語は有名ですよね。
俳句で使われる季語にも、七夕を題材にしたものがたくさんあるんですよ。
「催涙雨」や「洗車雨」もその中のひとつです。
その他にも「天の川」・「星合」・「牽牛」・「織女」などがあります。
みんな一つの季節を表した季語なんですが、いつだかわかりますか?
俳句に詳しい方なら簡単にわかりますよね。
そうなんです、七夕は「初秋」の季語になるんです。
感覚的には「夏の風物詩」ですが、季語としては秋を表しているんですね。
そんな意外な事実もまじえながら
- 催涙雨の読み方と意味
- 俳句で催涙雨はいつの季語?
- 洗車雨とは?
などなど七夕に関する「催涙雨」と「洗車雨」についてくわしく解説します。
あらためて七夕のオリジナルのお話を読んでみたら、なんと衝撃の事実が!
「催涙雨」の読み方と意味
まずは「催涙雨」から、ご説明しますね。
「催涙雨」の読み方は「さいるいう」です。
どんな雨のことをそう呼ぶかというと
「七夕の夜」に降る雨
のことを指しています。
ですので、別名で「七夕雨(たなばたあめ)」なんて呼ばれ方をすることもあります。
意味は大きくわけて二つあります。
- (1)織姫と彦星が逢瀬の後に別れるのが辛くて流す涙のこと
- (2)織姫と彦星が雨のせいで会うことができず悲しんで流す涙のこと
どちらがお好みですか?
いやいや、好みの問題ではないですかね。
私なりの解釈ですと
- (1)は「会って楽しんだ後に別れがつらくて流す涙」
- (2)は、会う事すら叶わずに流す涙という事」
ですから、どちらかと言えば(1)の意味の方がいいですね。
俳句で催涙雨は「初秋」の季語
7月7日の七夕は今の暦だと、梅雨まっさかりの時期。
ですから、雨が多くて織姫と彦星が会える機会も少なくなっているのが現実……。
しかし、今の感覚で七夕を季語とするなら「夏」になるのですが、季語は「旧暦」で捉えるものです。
旧暦の7月7日は、今の暦で表すとだいたい「一カ月遅れの8月7日」ぐらいになるので、立秋をちょうど過ぎたころになります。
ですので、暦の上では「初秋」ということになるんですね。
そんなわけで俳句で催涙雨は初秋の季語になるわけです。
「洗車雨」の読み方と意味
「洗車雨」の読み方は「せんしゃう」です。
「せんしゃあめ」ではないのでご注意を。
読んで字のごとくと申しますか
車を洗い流す雨
という意味なんです。
七夕の一日前である「7月6日に降る雨」のことを限定的に洗車雨と呼びます。
彦星がウキウキ気分で彼女(織姫)とデートするために前日にマイカーを洗っている様子を表しているんですね。
マイカーと言っても今の時代のガソリン自動車ではなく、牛車とか馬車とかそういう原始的な車のことでしょうね。
雨で汚れを落とすんじゃなくて、ちゃんと手洗いしなさいなんていう野暮は言わないでおきましょう(笑)
七夕の隠れ秘話「彦星はハゲだった?」
七夕のお話のオリジナルを調べると、意外な秘話が隠されていました。
七夕はもともと中国で生まれた伝説なのは、誰でもご存知のはず。
七夕という行事は日本のほか、韓国やベトナムなどにも伝わり、それに伴って「七夕のお話」も様々なバリエーションが派生的に誕生。
そのために、いろんなタイプの七夕のお話があるんですね。
こちらでは、私が一番気になった七夕のお話を簡単にご紹介させていただきます。
なんと彦星は頭髪が少なかったらしいのです・・・・・。
【中国のオリジナル七夕伝説】
昔に織姫という美しい娘がおりました。
裕福な家に生まれましたが、なにかと理由を付けてなかなか結婚しようとしなかったそうです。
ある日、織姫は月に願い事をしました。
「私は笑ったことがありません。もし私を笑わせることができる殿方がいらっしゃるなら、その方と結婚します」
そして翌日、織姫が長く美しい髪を庭先で優雅に髪を梳いていると、向かいに住む牽牛郎(彦星)がその様子を真似ています。
牽牛郎には髪の毛が数本しかないのに、織姫のたおやかな仕草を真似しておどけているのです。
織姫は、つい笑ってしまいました。
笑った後、ふと思い出して今度は泣き出してしまいました。
月に誓ったことを思い出してしまったのです。(※注:自分を笑わせてくれた男性と結婚するという誓い)
「私は、あの方(薄毛)と結婚しなければならない」
織姫は自分が月に誓ったことなので、それを実行しようと父に相談します。
ですが、貧乏な牽牛郎のところになど嫁にやりたくないと許してはくれませんでした。
織姫は悩み、思い詰めてしまい、とうとう病気になってしまいました。
そのことを聞いて悲しむ牽牛郎でしたが、何もすることができません。
そんなある日、悲しむ織姫を不憫に思ったカササギが伝令役になることを申し出ました。
喜んだ織姫は「毎月七日に会いに来て」と伝言を頼みます。
ちゃんとカササギの足にもその旨を書いた手紙を結び付けたのですが、牽牛郎に会いに行くまでに失くしてしまいました。
カササギは困りましたが、なんとか織姫の言葉を思い出して牽牛郎に伝えます。
「毎年七月七日に会いに来て」
「毎月七日」と言うところを、そう間違って伝えてしまったのです。
カササギは気まずく思って織姫のところへ戻りませんでした。
帰ってこないカササギに悲観して織姫は絶望のあまり病気が悪化し亡くなってしまいます。
一方、牽牛郎はそのことを知らず七月七日に会えるものだと信じていましたが、織姫の悲報を聞き、牽牛郎も嘆き悲しんで後を追うように死んでしまいます。
死んでしまった牽牛郎と織姫は、天に昇って牛郎星と織姫星となり、年に一度会う事ができるようになりました。
・・・と、いうお話を聞いて、みなさんはどんな感想をお持ちですか?
小さい頃に聞いたロマンチックな逢瀬の話とは程遠いじゃん!と思いませんか?
何度か突っ込みたくなったのは私だけではないと思います。
まず、牽牛郎とは彦星のことなんですが、
彦星さんって、髪の毛が数本しかなかったのですか?!
しかも貧乏っていう。
いや、別にいいんですよ。男の魅力はそんな事だけで語れませんから。
ちょっとびっくりしただけです。
そして、カササギさん!しっかりしてくださいよっ!
あなたが忘れっぽいうっかり屋さんだったばっかりに、織姫も牽牛郎も死んじゃったんですよ。
そんなうっかり屋さんなのに伝令役なんか引き受けちゃいけません。自分からやりたいと進みでているし・・・。
挙句の果てに、ミスしたことを気兼ねして姿を消しちゃうなんてもってのほかですよ!
最後に、織姫さん!
あなた、気が弱いのか思い込みが激しいのか、ちょっとそんなんじゃだめですよ!
男性を髪の毛の量で判断しなかったのは偉いです。
ですが、調子のいいカササギを信じすぎたのは問題です。
伝言なんて頼まずに、勇気を出して自分で行動すべきでしたね・・・。
なんだか、悲しいお話のはずでしたのに、私だけがプリプリ怒っている感じになってしまいました。
「催涙雨」が使われた歌
「催涙雨」が使われた素敵な歌をご紹介します♪
現在は「詩」といえば俳句や短歌より、歌の歌詞で触れる機会のほうが多いですよね。
■曲名:『-OZONE-』
■アーティスト:vistlip
- 発売日 2011年07月06日
- 作詞 智
- 作曲 Tohya
タイアップ TX系アニメ「遊☆戯☆王5D’s」エンディング・テーマ
私はこの歌を知りませんでしたが、歌の感じからしてイケメンビジュアル系の曲のようです。
切ない歌詞が女心をくすぐりますね。
残念ながら洗車雨を使った曲はひとつも見つかりませんでした。
たしかに曲中に急に「せんしゃう」なんて言葉が入ってきても、すぐに分かる人って少ないでしょうから作詞する人からしたら使いにくいかもしれません。
まとめ
- 催涙雨の読み方は「さいるいう」
- 七夕の夜に降る雨を指す
- 俳句的には初秋の季語
- 洗車雨の読み方は「せんしゃう」
- 七夕の前日に降る雨を指す
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