この記事で分かること
- 金木犀を植えてはいけない理由
- むしろ植えたほうがいい理由
- 「金木犀」の知られざる真実
植物には関心が高い私が、迷信なのか事実なのか?相反する説を検証して結論をだします。
金木犀を植えてはいけない5つの理由
世間では「金木犀は庭に植えてはいけない」と噂されますが、その理由は以下の5つだと判明しました。
- 管理を怠ると庭を圧迫する大木に育つから
- 害虫がつきやすいから
- ネガティブな花言葉があるから
- 家相では強い香りのある花は凶相とされているから
- トイレの匂いを連想させるから
それぞれどんな理由なのか、くわしく見ていきましょう。
管理を怠ると庭を圧迫する大木に育つから
金木犀は通常は4mほどで成長が止まる樹木ですが、土地や気候などの条件が整えば18mまで育つことがあります。
熊本県上益城郡甲佐町に生えている「麻生原(あそうばる)のキンモクセイ」は18mの巨木で、国の天然記念物に指定されています。
ちなみに、この麻生原のキンモクセイ。
日本一大きなキンモクセイとも言われています。
今年はどうだろうな。シーズン中は、近隣のおばちゃま方がお茶やお茶うけでもてなしてくれます。
意外に、熊本に住んでいる人も知らなかったりする日本一のキンモクセイ。
機会があればぜひ。 pic.twitter.com/rLw5mgRIAc— こうぞう (@kouzou1982) September 28, 2016
さすがに18mは珍しいケースですが、定期的に剪定をしないと庭を圧迫するほどの高さまで育ってしまいます……。
こちらの動画のように、育ちすぎた金木犀は非常に邪魔で日差しを遮り、隣の家の日当たりまで影響することも。
ここまで大きくなると、もう業者に剪定を頼むしかありません。
害虫がつきやすいから
金木犀は通気性が悪いと大量の害虫がつく可能性があります。
害虫の種類としては
- アブラムシの仲間
- 蝶や蛾の幼虫
- カイガラムシ
- ダニ
- 毛虫
など多種多様。
手で根気よく除去するだけでは取り切れず、薬剤を使わないといけないケースも……。
日陰に植えたり、剪定を怠ると被害はよりひどくなるとか。
また、樹形をこんもりと育てたり、樹高が高くなってしまうと、害虫駆除の手間は余計にかかるのは当然でしょう。
ネガティブな花言葉があるから
金木犀の花言葉には、目を疑うようなネガティブなものがあります。
それがこちらの2つ。
- 陶酔
- 誘惑
「陶酔」は、気持ちよく酔ったり、心を奪われてうっとりした状態のこと。
「誘惑」は、悪い方面にさそいこむこと。
どちらも良い意味で使われる言葉ではありませんよね?
これらの花言葉は金木犀の強い香りから生まれたといわれています。
家相では強い香りのある花は凶相とされているから
そもそも「家相」とは、家の方角や間取りから吉凶を判断する考え方のこと。
みたいな考え方のことですね。
この家相に庭木の種類も影響し、金木犀は「凶相(凶を示す)」とされているんです。
なんでも金木犀の強い花の香りが住んでいる人を陶酔させ、「理性を失ったり、情動に走らせる」というんですね。
「陶酔」というワードが花言葉と共通しているのが、ちょっとゾッとします……。
トイレの匂いを連想させるから
昔の日本では汲取式トイレ(通称「ぼっとん便所」)が一般的でした。
汲取式トイレは悪臭を放つため、その「臭い隠し」としてトイレの外には金木犀が植えられるケースが多かったようです。
金木犀の強い香りで、トイレの悪臭をごまかそう!
という魂胆ですね。
その後、汲取式トイレは水洗トイレに変わりましたが、トイレの芳香剤として「キンモクセイの香り」が使われるように。
そんな経緯から
と多くの日本人の頭にインプットされてしまったという次第……。
最近ではトイレの芳香剤もいろんなバリエーションがありますが、年齢層が高めの方にとっては未だにトイレの臭いを連想させてしまうのが事実です。
また、金木犀には毒があるから植えてはいけない説も一部ではあります。
その真偽はこちらの記事でお確かめください。
金木犀の花には毒がある?香りからは想像できない秘密とは?
むしろ金木犀は庭に植えたほうがいい4つの理由
逆に金木犀を庭に植えたほうがいいする意見もあります。
それがこちらの4つの理由。
- 風水的に縁起が良いから
- ポジティブな花言葉もあるから
- シンボルツリーに最適な常緑樹だから
- 誰にでも育てやすい木だから
悪いイメージを払拭して余りあるくらいですよ。
風水的に縁起が良いから
金木犀の花は、鮮やかなオレンジ色。
風水的にオレンジ色は
- 運気を高める
- 子宝に恵まれる
- 人間関係を豊かにする
- 旅行運をアップする
など、すぐれた効果をもたらすとされています。
このように風水では金木犀を植えるのは、むしろ推奨されるくらい。
庭に植える際に縁起が良い方角も決まっています。
それがこの4方向。
- 北東
- 東
- 東南
- 南西
特に裏鬼門である南西に植えた場合、花の香りが邪気を払ってくれ、良い運気を呼び込んでくれるそうです。
ポジティブな花言葉もあるから
金木犀の花言葉は、他にも多数あります。
それがこちら。
- 謙遜
- 気高い人
- 真実
- 初恋
どれもポジティブな意味があり、「陶酔」や「誘惑」のように悪いイメージはありません。
物事は見る角度によって陰と陽があるように、金木犀にも陰があれば陽もあります。
良い面だけにスポットライトを当てれば、控えめで(謙遜)気高い花のように見えて来ませんか?
シンボルツリーに最適な常緑樹だから
金木犀は秋や冬になっても落葉せず、一年中葉っぱがついている常緑樹です。
多くの樹木が葉を落として寒々しい印象を与える中、金木犀だけは真冬でも青々とした葉をつけて私達に元気を分けてくれるでしょう。
枝ぶりも密でこんもりと茂るため、高い位置の視線を遮り、目隠しの役割も。
そんな特性からお庭のシンボルツリーとして定番で、昔から人気があります。
誰にでも育てやすい木だから
金木犀は初心者でも育てやすい木です。
植える場所は日当たりが良いのがベストですが、半日陰の場所でもOK。
定期的な剪定と病害虫の駆除さえ怠らなければ、毎年必ず美しく香り高い花をつけてくれますよ。
金木犀という花の真実
最後に金木犀を庭に植えようか迷ってる方のために、この花の真実を3つご紹介します。
- 三大香木のひとつ
- 中国からやってきた木
- 名前の由来
どれもより魅力的に思えるエピソードですよ。
三大香木のひとつ
金木犀は「三大香木」のひとつ。
- 沈丁花(ジンチョウゲ)
- 梔子(クチナシ)
- 金木犀(キンモクセイ)
三大香木とは、香りがとても強い花を咲かす3つの樹木のことです。
代表格に挙げられるほど金木犀の香りは強く、昔は「千里香」(千里の先まで香りが届くの意)とも呼ばれていたほど。
中国からやってきた木
金木犀は中国原産で、日本には江戸時代にやってきました。
金木犀の中国名は「桂花」。
ですから、日本での歴史はまだ浅いといえますね。
ちなみに中国では金木犀の花を
- 砂糖漬け
- リキュール
などに食用として利用しています。
名前の由来
あまり知られていませんが、銀木犀という樹木も存在します。
銀木犀も金木犀も「木犀(モクセイ)」属の仲間なんですね。
銀木犀の花は白色だから「銀」、それに対して金木犀の花を金色に例えたところから「金」の冠が付いたと言われています。
後ろの「木犀」の部分の「犀」は、角がある草食動物の「サイ」を意味する漢字。
これは木犀の樹皮がサイの皮膚と似ているために付けられました。
まとめ
金木犀を植えてはいけないのは、こんな理由からでした。
- 大きく育って庭を圧迫する
- 害虫がつきやすい
- 花言葉が不吉
- 強い香りが凶相に当たる
- トイレの匂いを連想する
ただ、剪定や害虫対策をしっかりやれば、現実的なマイナス面はすべて払拭できます。
狭い庭には不向きとも言われますが、小さめに仕立てれば十分植えることは可能です。
また、占いや運勢などを気にしない人(迷信だと切って捨てる人)であれば、その他の要素は完全に無視していいでしょう。
金木犀の匂いがトイレを連想させるのも、一定の年齢以上の人だけであり、若い人にはピンとこないはずですよ。
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