晩春って古い言葉なので、いったい「いつ頃」を指すのかハッキリ答えられる人は少ないはず。
春の終わり頃っていうのはなんとなくイメージできるけど
ほんとに4月でいいのかな、それとも5月かな?
と不安で、自信をもって「何月を指す」とは言えなかったり・・・・・。
それに、ちょっとかしこまった手紙やビジネス文章で時候の挨拶を使う際、晩春はいつごろ使ったらいいのか、4月の季語で合っているのか?不安かもしれません。
そこで、ここでは
- 晩春の時期はいつ頃か?
- 春の終わりは正しくはいつか?
- 晩春は4月の季語で合っているのか?
- 晩春の意味
などなど知りたいことをすべてまとめています。
晩春の時期はいつ?何月なの?
まず最初に「晩春の時期はいつごろか?」という気になるその正解から言いますと
晩春の時期は4月5日ごろから5月5日ごろまで!
意外なんですが、晩春は「春の晩」、つまり「春の終わり」だけを指すのではなく、春の始まりから終わり頃までの長い時期を指しているんです。
それにはワケがあって、もともと晩春という言葉は「旧暦」という昔の暦の考え方から来ているため。
旧暦では春を3つに分けて
- 「初春」(しょしゅん)
- 「仲春」(ちゅうしゅん)
- 「晩春」(ばんしゅん)
と言い、全部を合わせて「三春」と呼びます。
この晩春の時期は二十四節気(立春や立夏などがある24個の区切り)で区切られていて、はっきりと決まってるんですね。
初春・仲春・晩春をここで簡単に分かりやすくまとめておきましょう。
【初春】とは?
【仲春】とは?
【晩春】とは?
春の終わりはいつ?
晩春っていう昔の暦の区切りではなく、現在に生きる私たちにとっての本当の「春の終わり」がいつ頃なのか、気になるところ。
この疑問を周りの人にぶつけると、「4月下旬」・「5月上旬」・「花粉症のシーズンが終わる頃」、こんな答えが返ってきました。
一般の人の肌感覚ではなく、公式の「区切り」で調べてみると
- 日本の年度の区切り⇒6月まで
- 気象学の区切り⇒5月まで
- 天文学上の区切りでは⇒夏至まで(6月21日ごろ)
- 二十四節気の区切り⇒立夏の前日まで(5月5日ごろ)
このように幅広い捉え方があるんですよ。
ただ、普通の人の感覚からするとやっぱり春の終わりは5月の上旬、ゴールデンウィークが終わって少し経った頃ではないでしょうか?
最近は温暖化の影響でその頃には早くも衣替えをして半袖になる機会も増えますから。
晩春は4月の季語で正しい?
時候の挨拶として晩春を使うなら、基本的には上に書いた「4月5日ごろから5月5日ごろ」なら時期外れにならず恥もかきません。
でも、今の季節感覚で使うと、4月の上旬に晩春ってなんだかピンとこないですよね?
4月の下旬でも、まだ春真っ盛りな感じはするんですけど。
なので実際使う場合は、その期間の中でも4月下旬から5月上旬(5日ごろまで)を目安に使うといいと思います!
晩春を季語として使う場合も、同じくこの期間となりますので4月の季語で正しいということになります。
晩春の意味とは?辞書で調べてみると・・・
晩春の読み方は「ばんしゅん」が正しいです。
晩春の意味は、そのまま漢字から想像できるように「春の終わり」を意味しています。
もっと詳しい意味が知りたくて辞書を開いてみると、このような解説がされていました。
1 春の終わり。春の末。《季 春》「―の瀬瀬のしろきをあはれとす/誓子」
2 陰暦3月の異称。
出典:goo辞書
つまり春が終わってしまう頃なんですね。
人生の終わり頃を「晩年」と言いますが、それと同じ表現なんです。
【新宿御苑の晩春の様子。2分頃に映る葉桜が美しい!必見です。】
世界が認める名作『晩春』という映画をご存知ですか?
『晩春』という映画があります。
1949年に公開された小津安二郎監督の有名な作品で、時代が時代なのでカラーではなくモノクロ作品。
モノクロと聞くと若い人は最初から鑑賞する気持ちが薄れてしまうかもしれません。
でもこの映画、スゴイんです!
2012年に英国映画協会が発表した「批評家が選ぶ史上最高の映画トップ50」でなんと第15位に入っているんですよ!
海外でも評価が高い日本が誇る名画なんですね。(ちなみに第1位は同じ小津安二郎監督の『東京物語』でした!こちらも当然「名作保証」)
鎌倉や東京、京都が舞台になって日本らしい風景がとっても美しい!!
キャストには、小津作品に何度も登場する原節子さんや、笠智衆さん、月丘夢路さんがいらっしゃいます。
気になるあらすじを簡単に紹介しますね。
大学教授の周吉は早くに妻に先立たれ、娘の紀子と親子二人で暮らしていました。お互いになくてはならない大切な存在として想いあってはいるものの、娘の幸せを願う周吉はこのままではいけないと思い、紀子に結婚するように勧めます。なかなか承知しない紀子に、自分が再婚すれば紀子も安心して結婚できると思い、紀子に再婚すると嘘をつきます。
紀子は結婚なんかより父と一緒にいた方が幸せだと思っているけれど、再婚を決めた父に裏切られたという思いや、嫉妬の想い、様々な感情が交錯するなか、「結婚する方がいい」と結婚を決めます。
父と娘は最後の京都旅行へ行き、紀子はやはり結婚なんかするよりも「父と一緒にいるほうが幸せ」だと告白するのですが、周吉は結婚するのが娘にとっての一番の幸せだと信じて一生懸命に諭します。
紀子も父の言うことに従って再び結婚する決心をし、父を置いて嫁いでいきます。
最後は、一人家に帰った周吉の寂しそうなうなだれた姿で終ります。
お互いの幸せを願って離れていく親子、でも本当は二人が一緒にいることがお互いの幸せ…。
そんな切ないすれ違う親子愛が描かれています。
晩春という映画のタイトルがピッタリなのかもしれないですね。
まとめ
あらためて晩春の時期はいつごろか振り返ってみますと
- 時期的には4月5日ごろから5月5日ごろまで
- 春の終わりは二十四節気の区切りでは5月5日ごろ
- 季語としては4月下旬から5月上旬まで使える
このようになります。
晩春という言葉はしょっちゅう使うわけじゃないけど、知っておくとここぞというときに間違わずに使えそうですよね。
日本には四季があって、それが生活のいろいろな所に溶け込んでいて、日常にも風情を感じることができます。
素敵な日本語をもっと使って、その風情を楽しみたいですね。
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