はちみつは異常なほど長持ちする食品だというのは、誰でもご存知だと思います。
でも、いざ買って家に置いておくと、白くなったり黒くなったり、あるいは茶色くなったりと色の変化が起こりませんか?
こんな変化が起こると「もう食べられないのでは?」と不安になるのも当然です。
そこで、今回は
- 黒い・白いはちみつは食べられる?
- はちみつの賞味期限と食べられる限度
- はちみつが腐らないウワサの真偽
- 傷んだはちみつの見分け方
- はちみつの正しい保存方法
などをご紹介していきます。
私はトーストやホットケーキによくかけて使うヘビーユーザー。
そんな経験から、安全に美味しく食べるための基礎知識をわかりやすく解説しますね。
黒いはちみつは賞味期限切れ?
はちみつを長く保存しておくと、黒く変色する場合があります。
人によっては「茶色」・「褐色」・「コーヒー色」など表現は様々ですが、どれも同じ変化を指しています。
「ドキッ!」とする色なので腐ったのかと疑いたくなりますが、食べることは可能ですよ。
はちみつは長期保存すると、糖質とアミノ酸が化学反応(メイラード反応)を起こし、「メラノイジン」という褐色物質ができてしまうんですね。
これが蜂蜜が黒く見える原因です。
味噌や醤油が褐色に見えるのもこのメラノイジンがあるためで、抗酸化作用や血流を良くする効果があるそうです。
しかし、こうして黒く変化した蜂蜜は風味が変化するため、本来のおいしさが損なわれている可能性も……。
賞味期限内に食べてしまえば、このような変化はまず起こりませんから、なるべく早く食べてしまったほうがいいんですね。
黒い粒の正体
はちみつに稀に黒い粒が浮かんでいる場合があります。
その正体は、ミツバチの巣が崩れたものです。
カビではありませんから、食べるのは問題ありません。
白いはちみつは賞味期限切れ?
はちみつが白くなったのは、賞味期限が切れたせいではありません!
保存場所の温度が低くなって、ハチミツの成分のブドウ糖が結晶化し、それが白く見えているだけです。
白く固まり始める温度は15℃前後からとされるので、冬になって寒くなり暖房を付け始める時期ですね。
また、振動が伝わる場所に置いたり、容器を強く振ったりしても白く結晶化する場合があります。
このような白く結晶化しやすいハチミツは、ブドウ糖(レンゲ・クローバーなどの蜂蜜)を多く含む「純粋はちみつ」。
「百花蜂蜜」という複数の花の蜜から作られた蜂蜜ほど白くなりやすいわけですね。
逆に、果糖(アカシアの蜂蜜など)が多い「加工はちみつ」は固まりにくいようです。
はちみつを頻繁に使わず、1年以上置いておくと、必ず気温が低い冬を通過するので白くなるのは避けられません。
そんな場合は、果糖が多いアカシアの花の蜜で作られた蜂蜜を選ぶと結晶化しにくいですよ。
白い斑点が浮かんでいる場合
はちみつが白く結晶化する過程は、最初に容器の下から始まり、だんだんと全体に広がっていくのが普通です。
しかし、稀に蜂蜜のところどころに白い斑点のように結晶化する場合もあります。
食べるとガリガリとしますが、カビではないので食べても大丈夫ですよ。
白く固まったはちみつを元に戻す方法
白く固まったはちみつは、温めれば溶けて元通りになります。
固まった蜂蜜が溶ける温度は40~50℃ほど。
その温度まで温めるには
- ビンに入った蜂蜜⇒水を張った鍋でビンを湯煎する
- プラスチックボトルの蜂蜜⇒容器ごと電子レンジにかける
こんな方法がありますが、電子レンジにかけると容器が変形する場合もあるので、短時間(10~20秒)ほどの加熱にとどめてくださいね。
できれば少量をスプーン等でほじくり出して小皿に移し、それから電子レンジでチンするのがベスト!
はちみつの賞味期限は2年間
では、各メーカーが販売している蜂蜜の賞味期限を見てみましょう。
メーカー/商品名 | 賞味期限 |
加藤美蜂園本舗「サクラ印純粋ハチミツ」 | 2年 |
かの蜂「国産百花蜂蜜」 | 未開封で約2年間 |
日本蜂蜜株式会社「レンゲ印ハチミツ」 | 製造日より18ヶ月 |
カノ「はちみつの恵み 国産純粋百花はちみつ」 | 製造日より2年 |
奈良の里やまと蜂蜜堂「国産純粋はちみつ」 | 2年 |
はちみつ家トンガリ容器「国産純粋百花はちみつ」 | 製造日より2年 |
みつばち村・春日養蜂場「国産はちみつ 」 | 2年 |
このようにほぼすべてが製造日から2年間が賞味期限です。
はちみつが賞味期限切れから食べられる限度は5ヶ月~1年後まで
はちみつに限らず、あらゆる賞味期限が表示された食品は実際にはもう少し長く食べることができます。
なぜかというと、賞味期限は実際より「短め」に設定されているため。
賞味期限を1.2倍~1.5倍したのが、本来の賞味期限だと言われています。
では、はちみつの賞味期限(2年)を1.2~1.5倍してみましょう。
- 2年(24ヶ月)×1.2=28.8(約2年5ヶ月)
- 2年(24ヶ月)×1.5=36(3年)
つまり、2年という正式な賞味期限が切れた後でも、5ヶ月~1年ほどは食べられる計算です。
ただ、これはおいしく食べられる限度であり、実際は「はちみつは腐らない」と言われるので、もっと長く食べることは可能です。
はちみつは腐らないってホント?
「はちみつは腐らない」と言われだしたのは、ピラミッドから3300年前のはちみつが発見されたニュースがきっかけ。
3300年前といえばキリストが生まれる紀元前であり、日本でいえばまだ縄文か弥生時代のころ。
そんな超ビンテージものながら、変質しておらず、食べることも可能だったそうです。
ですから、条件付きながら蜂蜜は食品のなかで「唯一腐らない」といっても間違いではないんですね。
はちみつが腐らない2つの理由
はちみつが腐らないのは、こんな2つの理由があるため。
- 糖度が高く水分が少ないため
- 弱酸性の食品のため
どういうことなのか、くわしくチェックしていきましょう。
糖度が高く水分が少ないため
そもそもモノが腐るには、微生物(細菌・カビ)が活動するための「水分」が絶対に欠かせません。
しかし、はちみつは糖度が80%で、水分は20%しかないんですね。
ようするに、糖度が圧倒的に高く、水分量が少ないという特殊な構成。
20%と聞くと「そこそこある」と思ってしまいますが、この数値はかんぴょうやサラミなどの乾物レベルに少ないんです。
ですから、外から水分が入り込まない限り、微生物がはちみつに付着しても、繁殖(増殖)できないまま、死んでしまう……。
その結果、腐ることはないわけです。
弱酸性の食品のため
ミツバチがいろんな花から蜜を集めたのが、はちみつなのは御存知の通り。
そうして集めた花の蜜を巣に貯蔵するとき、ミツバチの唾液に含まれる転化酵素が混ぜられます。
この転化酵素の作用で、花蜜のショ糖がブドウ糖と果糖に分解されるんですね。
肝心なのが、この転化酵素がはちみつを「酸性」にしてしまう点。
そのために天然のはちみつは弱酸性になり、細菌が繁殖できないようになります。
つまり、はちみつそれ自体に殺菌作用があるようなものなので、腐ることがないんですね。
それでも賞味期限が表示されている理由
そんな腐らないはちみつなのに、どうして賞味期限が表示されるのでしょう?
その理由はこのように説明されています。
はちみつについても他の加工食品と同様に食品表示基準に従って消費者の皆様への情報提供の観点から「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」である賞味期限を表示しているのです。
つまり、おいしく食べてほしいから、その目安として期限を設定しているわけですね。
ですから、賞味期限が切れるのは「腐りますよ」という合図ではなく、「おいしくなくなりますよ」という意味だと受け取ればいいでしょう。
例外的に腐ってしまう2つのケース
こんな腐る可能性がゼロのはちみつながら、例外的に腐ることもあるからやっかい。
その理由が以下の2つです。
- 品質の問題(混ぜ物が入っている)
- 扱い方の問題(雑菌や水分が入ってしまった)
はちみつそのものの「質」と、買ってから私たちの「扱い方」に原因があるんです。
品質の問題(混ぜ物が入っている)
古代エジプトで作られていたはちみつ、または現代でも純度100%の「天然はちみつ」ならば腐りません。
しかし、安いはちみつの場合、水飴などの混ぜ物でカサを増している商品もあります。
こうした混ぜ物が入っているはちみつは長期保存すると腐る可能性があります。
扱い方の問題(雑菌や水分が入ってしまった)
はちみつの瓶の中に清潔でないスプーンを入れて掬い、雑菌が混入した。
パンくずがこぼれて、うっかりはちみつの瓶に入ってしまった。
はちみつの瓶やボトルのフタがきちんと閉まらないまま保存し、中に水分が入ってしまった。
先ほど説明したようにただ雑菌が混入しても、はちみつの特性上、繁殖できないため腐敗は進みません。
しかし、中に水分が入ってしまうと、そこを根城として繁殖し、やがては腐敗していくことも……。
取り扱い方、保存方法に気をつけないと、腐ってしまんですね。
食べないほうがいい傷んだはちみつの見分け方
添加物が多いはちみつの場合、他の食品と同じように腐る場合があります。
そんなときの「腐ったサイン」としてチェックしたいのは以下の3つ。
- カビが生えていないか?
- 酸っぱい匂いがしないか?
- 容器の外へ溢れていないか?
はちみつには黒カビと白カビが発生し、白カビは糖分が白く結晶化したのと見分けがつきにくいです。
その場合は、温めてみて白い部分が溶けて消えるか確認しましょう。
消えない場合はカビである可能性があります。
もっと分かりやすい腐敗の進行が匂いで、はちみつ本来の甘い香りから酸っぱいような異臭に変化していたら、食べるのはストップしましょう。
また、稀にですが、はちみつの容器の外へと溢れたり泡が出たりすることも……。
これは発酵が進んでいる証拠であり、酸味が強くなっているかもしれないので、食べないで捨てたほうがいいでしょう。
開封後のはちみつの正しい保存方法
はちみつは一度買うと、半年~1年くらいは家の中で保存することになります。
品質を保つにはどのように保存するのが正しいのでしょうか?
常温保存が基本
はちみつは基本的に常温保存でOKです。
保存する場所は
- 直射日光が当たらない
- 高温多湿にならない
- 匂いが強いものが近くにない
この条件に当てはまるならどこでも大丈夫ですよ。
冬になって室温が15℃以下になると、白く結晶化しますが、それは避けられないことと諦めましょう。
保存場所より大切なのが、フタをしっかりと閉めること!
はちみつの中に空気が入り込むと、湿気を吸って腐る原因にもなりますので、キチッとフタをきつく締めるのをお忘れなく。
冷蔵や冷凍保存は不向き
はちみつは15℃以下になると固まるので、庫内が15℃以下になる冷蔵庫での保存には向きません。
また、はちみつは水分が少ないため冷凍庫に入れてもカチカチには凍りません、
そのため、そもそも冷凍庫に入れるのは無意味な行為です。
賞味期限が切れたはちみつの使い道
賞味期限が切れたはちみつは本来の風味が飛んでしまい、ただ甘いだけの蜜になってしまうことも。
そんな場合は、食パンやホットケーキなどにかけて生で食べるのはやめて、料理に使うといいですよ。
砂糖をつかう煮物などに代わりとして使ってみてください。
はちみつは砂糖より高カロリーですが、同じ量ならはちみつのほうが圧倒的に甘く感じるんですね。
そのため、使う量が減らせて、結果的にカロリーを抑えられます。
古くて食べられないはちみつの捨て方
賞味期限が大幅に過ぎて、食べるのがためらわれるような古いはちみつ。
はちみつの状態に合わせた捨て方を選びましょう。
カチカチに固まったはちみつは、スプーンですくうなどしてビニール袋に入れ、そのまま生ゴミとして捨てればOK。
プラスチックボトルに入っていて固まっている場合は、電子レンジで20秒ほど加熱して溶かし、古新聞や雑巾などに吸わせてからビニール袋に入れ燃えるゴミへ。
液体として流れるはちみつも同様の捨て方でいいと思います。
はちみつは液体の粘度が高くドロドロしているため、排水口に流すと詰まる恐れがありますからご注意ください。
まとめ
はちみつの賞味期限についてお伝えしてきました。
最後にポイントをかいつまんで振り返ってみます。
- 白いハチミツは低温で固まっただけなので食べられる
- 黒いハチミツは食べられるが風味は落ちている可能性大
- ハチミツの一般的な賞味期限は製造日より2年
- 賞味期限切れから5ヶ月~1年後までは食べても大丈夫
- ハチミツは水分が少なく弱酸性なので腐らない
- 添加物が入っていたり粗雑に扱うと腐ることもある
- 腐ったハチミツはカビ・異臭・あふれるなどの変化が見られる
- 常温で高温多湿・直射日光を避けて保存する
- 冷蔵庫や冷凍庫は保存に不向き
- 賞味期限が切れたハチミツは料理に使うと良い
白くなったり黒くなったハチミツも腐っているわけではないので、食べられます。
ただ、いくら腐らない(腐りにくい)とはいえ、美味しく食べるにはなるべく早目に食べきってしまうのが一番。
それにハチミツを選ぶ際には、安くて添加物が入っているものより、高くても天然で純粋なハチミツのほうが結果的には長持ちします。
つい値段や原産地だけに注目しがちですが、原材料をよく吟味して買うようにしたいものですね。
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