柊は庭に植えてはいけないって本当ですか?
実害があるのは事実ですが、絶対に植えてはいけないほど深刻ではありません。
魔除けになったり、見た目の良さから庭木として人気の柊。
でも、一部では「庭に植えるのは良くない」という声も……。
そこで、今回は
- 柊を庭に植えてはいけない理由
- 柊を庭に植えるメリット
- 安全に縁起良く植えるヒント
こんな話題を植物好きな私が解説します。
柊を植えるかどうか迷ってる人は、ぜひ参考にしてください。
柊を庭に植えてはいけない4つの理由
柊を庭に植えてはいけないと言われる理由が、こちらの4つ。
- トゲトゲの葉にふれると痛い
- セイヨウヒイラギの実は毒がある
- 落下する実の掃除が大変
- 害虫が付きやすい
どれもリアルに「迷惑・手がかかる」といった実害なんですね。
ではそれぞれどのくらい深刻なのか、チェックしていきましょう。
トゲトゲの葉にふれると痛い
柊の最大の特徴といえば、鋭いトゲがずらりと並んだ葉っぱ。
このトゲトゲの葉は鋸歯(きょし)と呼ばれ、ノコギリの歯のような切れ込みがあるのが特徴的。
トゲがあるからこそ見た目が良いのですが
- そばを通る時、服の上から当たっても痛い
- 子供の目の高さにあると危険
- 剪定時に手袋をしないと素手で扱えない
といった難点があります。
そもそも「ヒイラギ」の名は、「ヒリヒリ痛い」を意味する古語の
- ひひらく
- ひいらぐ
がもとになっているとか。
植えてみて初めて葉のトゲトゲのやっかいさに気づき
柊なんて庭に植えるもんじゃないなぁ……
と引き抜いてしまう人もいます。
葉のトゲは成長と共に減っていく
ヒイラギの葉のトゲは、動物に食べられるのを防ぐためにあると考えられています。
そのせいか、木の成長と共に食害の危険性が減るにしたがい、トゲの数も減っていきます。
そして老木になった暁には、葉の先端だけにトゲが残るそうです。
ですから、葉のトゲの被害は年々沈静化していくと思えば我慢できるかもしれませんね。
セイヨウヒイラギの実は毒がある
柊には日本に自生している種類と、西洋でクリスマスの時期に飾られることでお馴染みの「セイヨウヒイラギ」があります。
ヒイラギの名は共通していますが、以下のようにまったく別の植物なんですね。
名称 | 種別 | 特徴 |
ヒイラギ | モクセイ科モクセイ属 | 白い花 紫色の実 |
セイヨウヒイラギ | モチノキ科モチノキ属 | 淡黄色の花 赤い実 |
似て非なる植物ながら、両者とも葉に鋭いトゲがあるため、日本では「ヒイラギ」という呼び方をします。
日本のヒイラギの実は食用には適さない(おいしくない)だけですが、セイヨウヒイラギの実は「サポニン」という毒性を含んでいます。
セイヨウヒイラギの実を食べると、このサポニンの毒性の影響で
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
などの症状を起こす場合もあるとか。
いたずら盛りの子供や犬などのペットがいる家庭では、誤って食べる恐れもあるため
ヒイラギは庭に植えてはいけないわねぇ
なんて言われるようです。
落下する実の掃除が大変
柊(日本のヒイラギ)は冬に花を咲かせ、翌年の初夏に濃い紫色の実をつけます。
やがて熟すと、ボタっと地面に落下……。
木が育つにつれて実付きがよくなりますし、一個一個の実が意外と大きめ。
しかも、食べられないため、ただ廃棄するしか用途はありません。
この落下した実の掃除がけっこう大変なんです。
その点、セイヨウヒイラギの赤い実は小さいため、地面に落ちても掃除に手間がかかりません。
害虫が付きやすい
柊は害虫が付きやすい木の部類。
その害虫の種類がこちら。
- イモムシ(葉を食べる)
- テントウノミハムシ(葉を食べる)
- カイガラムシ(すす病の原因になる)
これらが発生するとどんどん卵を産んで増殖するため、見つけ次第、殺虫剤で退治しないといけません。
また、木がかかる病気として
- 炭そ病(カビによる病気)
- 褐斑病/かっぱんびょう(カビによる病気)
この2つも要注意で、葉に褐色の斑点が現れ、枯れてきてしまいます。
以上の害虫・病気の点から柊はわりと手がかかる植物だといえますね。
だから、それを懸念して
柊は世話が大変だから植えてはいけないよ
なんて言う人もいるでしょう。
柊を庭に植えるメリット
現実的に明らかなデメリットがあるにも関わらず、いまでも柊は人気の樹木。
そこにはこんな2つのメリットがあるからなんですね。
- 魔除け・厄除けになる(と昔から信じられている)
- トゲが不審者や動物の侵入を阻止する
魔除けになるのは誰でもご存知かと思いますが、リアルな面で庭に入る闖入者をはばむ効果もあるんですよ。
魔除け・厄除けになる(と昔から信じられている)
昔の日本では節分には特に鬼が出やすいと考えられ、その鬼を追い払うために柊の枝にイワシの頭を指した「柊鰯」を飾る風習がありました。
鬼は柊のトゲとイワシのニオイを嫌がるそうなんですね。
また、家の鬼門に柊の木を植えておくと悪い物を遠ざけると信じられていました。
ちなみに西洋でもクリスマスには悪魔を近づけないためにセイヨウヒイラギを飾るのは有名。
洋の東西を問わず、柊には魔除け・厄除けの力がある信じる点は共通しています。
トゲが不審者や動物の侵入を阻止する
柊は生け垣に用いられることも多い樹木のひとつ。
なぜかというと、葉の鋭いトゲが不審者や動物などの侵入を阻止し、防犯の役目をはたしてくれるため。
野良猫や野犬は容易にくぐりぬけられないでしょう。
生け垣が腰の高さ以上に育っていたら、不審者も乗り越えて侵入するのは躊躇するかもしれません。
柊を安全に縁起良く庭に植えるヒント
最後に柊を庭に植えたい方のために、安全かつ縁起の良さを活かす植え方をご紹介します。
葉にトゲがない品種を選ぶ
柊には園芸品種がたくさんあり、なかには葉にトゲがない(少ない)種類も存在します。
トゲが気になる方は、以下の品種を選ばれてはいかがでしょうか?
- ヒトツバヒイラギ(先端だけトゲがある葉)
- キッコウヒイラギ(トゲのない角張った葉)
- マルバヒイラギ(トゲがない丸い葉)
こちらがマルバヒイラギ。
「マルバヒイラギ」です。
いつも通るお寺の入口に1対の樹があります。遠くからでもいい香りがします。花はかわいいです。 pic.twitter.com/Va11S4pJdP— ウォーキング「ハッと」 (@Working_baba) November 28, 2016
葉っぱが丸いのでさわっても痛くありません。
表鬼門(北東)に植える
家の方位学では、「鬼門」という概念があります。
鬼門は鬼(邪気)の出入りする方角であり
- 表鬼門(北東)
- 裏鬼門(南西)
の2つがそれにあたります。
このうちヒイラギは表鬼門(北東)に植えると、鬼門除け(鬼を遠ざける)になると信じられています。
ちなみに裏鬼門(南西)にはナンテンを植えるといいそうですよ。
鉢植えでも魔除けになる
柊はなにも庭に地植えしないと魔除けの効果がないわけではありません。
なんと「鉢植え」でもOK!
表鬼門(北東)に庭がないとか、コンクリートや石敷きで植えられない場合は鉢植えにした柊を置いてもいいでしょう。
日本の柊とセイヨウヒイラギを区別して植える
日本の柊は実の後始末が大変です。
セイヨウヒイラギは実に毒があるため、万が一食べてしまったらと思うと心配……。
そこで、どちらを重視するかで、どちらのヒイラギを植えるか判断をしてみては?
- 子供やペットが居る家庭:日本のヒイラギ
- 掃除の手間を軽減したい家庭:セイヨウヒイラギ
クリスマスシーズンにヒイラギの赤い実を庭で楽しみたい人は、もちろんセイヨウヒイラギ一択ですね。
まとめ
柊を庭に植えてはいけない理由は
- トゲのある葉に触れると痛い
- セイヨウヒイラギの実にはサポニンという毒がある
- 日本の柊の実は落下すると掃除が大変
- 害虫が付きやすい樹木である
という4つでした。
なかなかに世話が焼けるというか、やっかいな植物であることはたしか。
でも、どれも些細な欠点であり、「植えない」という判断をくだす決定打にはならないと思います。
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