勿忘草を庭に植えてはいけない最大の理由は「こぼれ種」で勝手に増殖するからです。しかし、花がらを摘み取れば防げるため、庭に植える障害にはなりません。
春から初夏にかけて薄紫やピンク色の小さな花を咲かせる勿忘草(忘れな草)。
可愛らしい見た目から特に女性に好まれ、私も大好きな植物です。
しかし、「地植えすると危険」という声も……。
そこで今回は
- 勿忘草を庭に植えてはいけない理由
- 勿忘草を安全に庭で育てる注意点
- 勿忘草を庭に植えるメリット
を解説します。
かれこれ30年ほど園芸を趣味にしてきた私にお任せください。
勿忘草を庭に植えてはいけない4つの理由
勿忘草を庭に植えてはいけないと言われる理由が、こちらの4つです。
- こぼれ種で勝手に生えてくる
- 多年草だが日本では夏に枯れてしまう
- 花言葉が悲しくて気分が滅入る
- 種が服にくっつく
こぼれ種で勝手に生えてくる
勿忘草を庭に植えてはいけない理由の1つめが、「こぼれ種で勝手に生えてくる」ため。
勿忘草は花が咲いたあと、種をつけます。
この種が風に飛ばされて地面に落ちると、翌年、そこから新たな勿忘草の芽がでます。
つまり、こちらの意図しない場所で勝手に増殖するわけですね。
ブルーガーデンゾーンからは、毎年のごとくこぼれ種で勿忘草でてきた。
タイル敷いたとこの隙間からも何故か出てきた……。勿忘草けっこう強い pic.twitter.com/6lnFu7iKpk— 作楽シン (@mmsakura) March 29, 2023
タイルとタイルの間のわずかな隙間から芽を出すケースも。
まさに勿忘草地獄!
自宅の庭ならまだしも、家の周囲の路上や隣家にまで飛んでしまうと、迷惑をかける恐れがあります……。
多年草だが日本では夏に枯れてしまう
勿忘草を庭に植えてはいけない理由の2つめが、「多年草だが日本では夏に枯れてしまう」ため。
勿忘草は本来は多年草です。
しかし、ヨーロッパ原産なので耐暑性が低いため、日本の夏の暑さに耐えられず枯れてしまいます……。
先日、農家のひとたちが一斉に農道の草刈りをした。そういう連絡網が出来ているんだね。いたるところに立ち枯れた勿忘草。雪解けのころからずっと目を楽しませてくれた。また来年だね。ありがとう。 pic.twitter.com/1JOP8rkewY
— やまびこ (@ohayoyamabiko) July 21, 2020
ですから、一年中、緑を保つためのグリーンカバーには向かない植物。
種を採取したり、勝手にこぼれ種で翌年も芽が出るとはいえ、せっかく植えた労が報われない点はデメリットですね。
花言葉が悲しくて気分が滅入る
勿忘草を庭に植えてはいけない理由の3つめが、「花言葉が悲しくて気分が滅入る」ため。
勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」。
この花言葉が生まれたのには、こんなストーリーがあります。
中世の騎士が恋人に贈るために、岸辺に咲くこの花を摘もうとした。
しかし、足を滑らせて川に落下し、命を落す。
その際、騎士は「私を忘れないで」と叫びながら、この花を恋人に投げたという。
恋人は彼を忘れないために、最期の言葉を花の名として残した。
こんな悲しい花言葉の由来を知っている人からすると
勿忘草を見るたびに悲恋のエピソードを思い出して、気分が滅入るわ……
というのが本音なのでしょう。
勿忘草の花言葉についてくわしく知りたい方は、こちらの記事を御覧ください。
種が服にくっつく
勿忘草を庭に植えてはいけない理由の4つめが、「種が服にくっつく」から。
勿忘草の種はいわゆる「ひっつき虫」となって、人間の衣服やペットの体毛などに「ひっつき」ます。
猫の長毛にひっつく勿忘草の種とイネ科の草の穂。庭から戻ると即ブラッシング(の繰り返し)。そういえば、ひっつき虫って楽しい言葉あったね。 pic.twitter.com/RlNpN4zdUk
— ねる (@gorogoroneru) June 5, 2019
こうして遠くまで種を運んでもらい、生育範囲を拡大しようという生存戦略なんですね。
とはいえ、余計な掃除の手間が増えるので、人間にとっては迷惑このうえない性質です……。
勿忘草を庭で育てる3つの注意点
勿忘草を庭で育てるなら、こんな点に気をつけると安全に楽しく快適に栽培できますよ。
- 花がらを摘み取って種をつけさせない
- 水を切らさないように注意する
- 暑さに強い勿忘草の苗を購入する
花がらを摘み取って種をつけさせない
こぼれ種が飛んで、意図しないエリアから芽を出したり、隣家まで進出するのを防ぐのは簡単です。
それには花が咲き終わったあとに、花がらを摘み取るだけ。
こうすれば種の結実を未然に防ぐことができます。
とはいえ、勿忘草がこぼれ種で生えてきても引き抜くのは簡単なため、それほど恐れる必要はないかと思います。
水を切らさないように注意する
勿忘草は川の岸辺のような湿性地に自生する植物です。
そのため、水切れには弱いという性質が……。
一般的に庭植えした植物には水やりは不要ですが、雨がふらないであまりに土が乾いた期間が続く場合は水やりが必要です。
鉢植えにした場合は、なおのこと水切れにはご注意ください。
暑さに強い勿忘草の苗を購入する
通常の勿忘草は、日本の夏の猛暑には耐えられず枯れてしまいます。
もし夏に枯らしたくない場合は、「暑さに強いタイプ」の勿忘草の苗を購入し、鉢植えで育てましょう。
この「ミオソティス ミオマルク」は比較的暑さに強い品種。
夏場は風通しが良い涼しい場所に避難させれば、夏越しが可能です。
勿忘草を庭に植える2つのメリット
勿忘草を庭に植えると、こんな2つのメリットがあります。
- 花を長く楽しめる(開花期が長い)
- 一度植えれば勝手に芽を出すお得感
花を長く楽しめる(開花期が長い)
勿忘草の開花期は3月下旬~6月上旬にかけて。
とても長い期間、花を楽しむことができます。
非常にコストパフォーマンが良い花なんですね。
一度植えれば勝手に芽を出すお得感
勿忘草は日本では夏に枯れる一年草ですが、こぼれ種で翌年も勝手に芽を出してくれます。
やっかいな性質ではありますが、考え方次第では、一度植えれば何年も手間いらずで咲いてくれるお得な植物なんですね。
まとめ
勿忘草を庭に植えてはいけないのは
- こぼれ種で勝手に生えてくる
- 多年草だが日本では夏に枯れてしまう
- 花言葉が悲しくて気分が滅入る
- 種が服にくっつく
という4つの理由からでした。
こぼれ種で自然増殖するリスクはあるものの、人間側でコントロールが可能です。
日本の気候には適さず夏に枯れる点も、種のおかげカバーできる弱点。
どなたでもどんなお庭でも楽しめる素敵な植物なのは、私が保証します。
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