パンダスミレはランナー(蔓)を伸ばして増えすぎるため、植えてはいけないと言われます。しかし、特徴を熟知したうえで管理・制限をすれば地植えしても大丈夫ですよ。
白と紫の小さな花が可愛らしい多年草(宿根草)のパンダスミレ。
普通のスミレやビオラはグランドカバーには向きませんが、パンダスミレなら大丈夫。
庭の土がむき出しのスペースにぴったりの植物と思うものの、一部の人からは「植えてはいけない」との声も……。
そこで今回は
- パンダスミレを植えてはいけない理由
- パンダスミレを安全に育てるコツ
- パンダスミレを育てるメリット
を解説します。
ビオラ・バンクシー、タスマニアビオラ、タスマニアンビオラ、ツタスミレ、ツルスミレなど別名もありますが、この記事では「パンダスミレ」で統一します。
パンダスミレを植えてはいけない6つの理由
パンダスミレを植えてはいけない理由がこの6つです。
- 増えすぎて手に負えなくなる
- 他の植物の成長を阻害する
- 高温多湿に弱い
- 霜に当たると枯れる
- 害虫が葉を食害する
- 花が目立たない
増えすぎて手に負えなくなる
パンダスミレを植えてはいけない1つ目の理由が「増えすぎて手に負えなくなる」ため。
#パンダスミレ スミレなのに夏でも元気なパンダスミレ。最初は右端に1株だけ植えたのにいつの間にかプランター全てを覆い尽くして更にランナーで下にも伸び放題。下に届きそうになったら根本からカットしてるけど勢いがいいので直ぐに伸びてくる。こんだけフサフサだとある意味凄いなと思う。 pic.twitter.com/4APGYztr2Q
— 太目中年 (@futome_tyunen) July 17, 2022
パンダスミレは「ランナー」という蔓(つる)を伸ばし、そのランナーが土に触れるとそこに根付いて一つの株が誕生します。
その増えた株がまたランナーを伸ばして株を増やし……(以下、繰り返し)
こうして、たった一株植えたパンダスミレから無数の株が誕生するわけですね。
気付いたときには庭全体へと陣地を拡大し、手に負えなくなることも……。
パンダスミレは半日陰を好み、また庭植えなら水やりも不要なため、他の植物が枯れそうな環境でも元気に広がっていく強さがあります。
ツルスミレの別名があるのも納得です
他の植物の成長を阻害する
パンダスミレを植えてはいけない2つ目の理由が「他の植物の成長を阻害する」ため。
パンダスミレは匍匐性(ほふくせい)といって、地面を低く覆うように広がっていく性質があります。
そのため、パンダスミレが増えていくと葉っぱが光を遮り、日が当たる範囲がどんどん減少することに……。
そのせいで他の植物が芽吹くこともなくなり、地中の栄養もどんどん独り占めしていくことになりかねません。
庭の雑草予防としてグランドカバーの役割を求めるなら最適ですが、他の植物との共生を求めるならパンダスミレは向いていません。
高温多湿に弱い
パンダスミレを植えてはいけない3つ目の理由が「高温多湿に弱い」ため。
パンダスミレの原産地は、オーストラリアの東部沿岸。
そのため、日本の高温多湿の気候にはマッチしません。
梅雨の季節には湿度の高さから蒸れたり、真夏の高温にはダメージを受けます。
雨が当たってジメジメする場所、真夏の直射日光がサンサンと降り注ぐ場所では夏越しできず、枯れてしまうこともありうるでしょう。
霜に当たると枯れる
パンダスミレを植えてはいけない4つ目の理由が「霜に当たると枯れる」ため。
パンダスミレは耐寒性が高いと言われますが、-3℃を下回ると枯れることがあります。
冬に霜が降りる地域では、冬越しは難しいかもしれません。
地上部が枯れても根が生きていれば春に芽吹くこともありますが……
害虫が葉を食害する
パンダスミレを植えてはいけない5つ目の理由が「害虫が葉を食害する」ため。
パンダスミレには「ツマグロヒョウモン」という蝶の幼虫(イモムシ)が寄ってきます。
このツマグロヒョウモンはパンダスミレの葉を食べてしまう、非常にやっかいな存在。
ツマグロヒョウモンに
食べつくされたパンダスミレの
BeforeAfter pic.twitter.com/uTPS2WhFs2— Lone wolf (@Helianthus25) September 10, 2020
こんなふうに葉っぱを食べ尽くされてしまうことも。
黒いボディに赤いラインが入った幼虫の見た目に、虫が苦手な女性はゾッとするはず
葉ばかり目立って花は小さい
パンダスミレを植えてはいけない6つ目の理由が「葉ばかり目立って花は小さい」ため。
スミレ科である点や、タスマニアンビオラなどの名前から花に期待して植える人も多いはず。
しかし、実際はパンダスミレの花は小さく、葉っぱのほうが目立ちます。
「花が咲くグランドカバー」として植えたのに、がっかり……
なんて後悔する人も少なからずいらっしゃるでしょう。
パンダスミレを安全に育てる4つのコツ
難点が多いパンダスミレですが、以下の点に気をつければどなたでも自宅の庭で楽しむことができます。
- 生育範囲を限定する
- ランナーを伸ばさせない
- 高温多湿と寒さから守る
- 害虫から守る
生育範囲を限定する
パンダスミレは一株だけでは見た目が貧弱であり、増やしてなんぼのところがあります。
とはいえ、他の植物の成長を邪魔するのはいただけないので、パンダスミレ専用の生育スペースを用意するのがベスト。
レンガや石を積んで花壇として区切り、その範囲内だけで成長を止めるようにしましょう。
地植えはやめて、プランターやハンギングバスケットに植えるのが最も手っ取り早いですが
ランナーを伸ばさせない
パンダスミレは地下茎やこぼれ種で繁殖するタイプではないため、増殖を防ぐのは割と簡単です。
ランナーが伸びてきたら、適宜切り落として増えてしまうのを最初の段階で阻止しましょう。
切ったランナーを地面に放置すると、そこから根を伸ばして成長する恐れがあるので、ゴミとして処理するのをお忘れなく。
高温多湿と寒さから守る
パンダスミレはもともと半日陰の環境を好むため、夏の直射日光が長時間当たるような場所はさけて植えます。
梅雨の季節は蒸れやすいので、枯れた葉などを取り除いて風通しがよくなるように手を入れると安心ですね。
冬に霜が降りたり雪が降る地方では枯れる恐れがあるため、地植えは諦めて鉢植えにするのが安全でしょう。
鉢植えなら冬場は室内に取り込んで、寒さから守ることができますから
害虫から守る
パンダスミレに付くツマグロヒョウモンの幼虫は、毎年4~11月ごろ、年に複数回も発生します。
その時期に上記の写真の蝶(ツマグロヒョウモン)が飛んでいたら、卵を産み付けられている可能性が!
葉っぱ卵がないか、また、幼虫が育っていないかチェックします。
もし、見つけた場合は「ガーデニンググローブ」など手を守る道具をつけたうえで割り箸等でつまんで駆除しましょう。
また、抵抗がなければ害虫駆除のスプレーを使う手もあります。
ツマグロヒョウモンの幼虫には毒がないものの、触れると痛む場合もあるため注意してくださいね。
防虫ネットで覆って産卵を防ぐ方法もありますが、範囲が広いとすべてカバーするのは不可能。また長期間になるため景観上、適しません。
パンダスミレを植える3つのメリット
パンダスミレを植えるのは、こんなメリットがあります。
- 栽培が簡単
- 病気に強い
- 花言葉が良い
栽培が簡単
パンダスミレの繁殖力の高さは、裏を返せばそれだけ丈夫な植物だという証拠。
半日陰の場所に植えれば水やりも不要で、勝手にどんどん増えていきます。
- 我が家の庭は日当たりが悪いから何を植えても枯れる
- 植物の世話に時間をかけるヒマがない
- 園芸初心者でも楽に育てられるグランドカバーが欲しい
といった方に向いている植物ですね。
病気に強い
パンダスミレは害虫は付きやすいものの、病気に関してはまず心配は不要です。
予防のために農薬を使うと入った手間が不要なのはうれしいところですね。
花言葉が良い
パンダスミレの花言葉がこちらです。
- 温和
- 可憐
- ひらめき
- あなたを思ってやまない
花の見た目通りかわいらしくて、ポジティブなものばかりです。
そもそも名前の由来が
だとか。
なんとも平和なネーミングなので、庭にあったらハッピーな気分になれそうです。
まとめ
パンダスミレを植えてはいけないと言われるのは
- 増えすぎて手に負えなくなる
- 他の植物の成長を阻害する
- 高温多湿に弱い
- 霜に当たると枯れる
- 害虫が葉を食害する
- 花が目立たない
こんな6つの理由からでした。
欠点があるのは事実ですが、どれもカバーできる問題ばかり。
人の手で生育を制限し、植える環境に気を配ってあげれば庭に植えても平気ですよ。
むしろ手をかけず寂しい庭をなんとかしたい!という人にはうってつけの植物。
可愛い花とともに、地面を彩ってくれる緑の葉を楽しんでみてください。
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