最近、携帯に頼りっぱなしの生活のせいなのか漢字力が低下したような気がします。
先日、「痴がましい」という言葉で、一瞬時間がとまりました。
この単語は「痴がましい」の読み方は「おこがましい」が正解。
これを読める人は恐らく10人に1人くらいでしょう。
試しに私の家族(夫と中学生の娘)に訊いてみたら、案の定「読めない!」と言われたので。
でも「おこがましい」ってよく考えたら、どんな意味なのか正確には答えにくいですよね?
そこで今回は
- 痴がましいの意味
- 痴がましいの由来
- 他の漢字表記
などをご紹介します。
「痴がましい」の意味
「おこがましい」の意味は理解しているようで、上手く説明できないですよね?
あらためてgoo国語辞典で意味を調べてみました。
おこ‐がまし・い〔をこ‐〕【▽痴がましい/×烏×滸がましい】の意味
[形][文]をこがま・し[シク]
1 身の程をわきまえない。差し出がましい。なまいきだ。「先輩をさしおいて―・いのですが…」
2 いかにもばかばかしい。ばかげている。
「世俗のそらごとを、ねんごろに信じたるも―・しく」〈徒然・七三〉
[派生]おこがましげ[形動]おこがましさ[名]
若い方はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、社会人同士の会話や年配の方などは耳にする機会が多い言葉だと思います。
日常生活やドラマや映画のなかで
私が言うのは痴がましいことですが…
などと、自分よりも上の方を敬いつつも何かを伝えたい時などに使われますね。
「出しゃばっているのは承知ですが、あえて言わせていただきたいのです」というようなニュアンス。
現在ではこのように、身の程をわきまえないという意味でつかわれることがほとんど。
しかし、本来は「ばかばかしい」という意味で使われることが主流だったようです。
「痴がましい」の漢字表記が他にもある?
goo国語辞典やパソコン・スマホなので「おこがましい」と入力すると、「痴がましい」の他に
と出てきます。
「痴がましい」でも読みに戸惑うのに「烏滸がましい」なんて、きっと絶対に読めませんよね……。
「痴がましい」・「烏滸がましい」の由来や語源
どうしてそのような漢字が使われるようになったのか、由来・語源をまとめてみました。
・バカバカしいという意味のある「をこがまし」が由来
・本来「をこ(おこ)」は、愚かな状態やバカげていることを表す
・漢字では「痴」や「烏滸」などが使われる
・「痴」には「おろか・頭の働きがにぶい」などの意味がある
・「烏滸」の「烏」はカラス、「滸」は水際の意味がある
・中国(後漢時代)では、うるさい人たちを水際で鳴くカラスに例えた言葉で、当時川辺に集まるやかましい人のことを指した
現在、一般的に使われている「身の程をわきまえない」という意味での「おこがましい」は、近世以降に使われ始めたようです。
漢字表記に関しても、どちらも「バカバカしい」との意味をうけたものだったのですね。
「痴がましい」は「差し出がましい」と同じ?!
痴がましいの意味の1つに「差し出がましい」という意味もありますが、全く同じ言葉ではありません。
例えば
痴がましいですが、私の意見といたしましては○○です。
これは「自らの行い」に対して使われます。
差し出がましいですが、こちらの資料が正しいのではないでしょうか?
これは「他人の行い」に対して使われます。
両者の違いは「痴がましい」は自分の行動に使い、「差し出がましい」は他人と自分の行動に使う点。
ついついイコールで使ってしまいそうな言葉ですが、厳密には若干違うので気をつけて言葉を選んでみてくださいね!
まとめ
「痴がましい」の読みにとまどったことから、意外とおもしろい由来までたどり着くことができました。
「バカバカしい」という意味からの漢字表記があったことに驚きです。
読み方がわかってしまえば、その言葉の由来まで考えることもなく過ぎ去ることがほとんどです。
でも、今回のように漢字表記を含めて、さまざまな背景から言葉がつくられていることがわかると、楽しさも増えます!
友達同士ではあまり使わない言葉ではありますが、ビジネスシーンなどで早速活用したく思いました。
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