梅の木は庭に植えてはいけないですか?
もし植えてあったら切るべきですか?
梅の木は縁起が良いのは昔からの定説です。
その証拠に多くの歌に詠まれ、全国に有名な梅林がありますから。
ネガティブな説もありますが、気にする必要はありません。
めでたい植物として「松竹梅」の3つは、昔から祝い事のシンボルとして日本人に愛されてきました。
ですから、本来は縁起が良い木です。
しかし、一部では「庭に植えるのは良くない」説もささやかれます。
そこで今回は
- 梅の木を庭に植えてはいけない理由
- 梅の木を植える際の注意点
などを解説します。
花や木々が小さい頃から大好きな私がまとめました。
梅の木を庭に植えてはいけない6つの理由
私がリサーチした結果、梅の木を庭に植えてはいけない説の根拠は、この6つです。
- 大木に育つから
- 菅原道真が詠んだ歌が悪く解釈されたから
- 江戸時代の家相書に書かれた内容から
- 風水的に北西に植えると大凶だから
- 実がなる木全般が縁起が悪いと信じられているから
- 青梅を食べると中毒を起こすから
では、ひとつずつ信じるに値するかどうか確かめていきましょう。
大木に育つから
梅の木を植えて、そのまま放任で育てると5~10mの大木に成長します。
横幅も5~6mまで枝を広げます。
私の実家の庭にあった梅の木も5m以上ありましたっけ。
昔の広い庭がある日本家屋ならまだしも、昨今の小さく分割された土地では梅の木にとって手狭な環境……。
梅の実をたくさん収穫しようと大きく育てたら、庭の他の植物の成長を阻害したり、室内の採光を邪魔する存在になりかねません。
そんな梅の木のスケールに現在の日本の住宅が狭すぎるため
梅の木なんて庭に植えてはいけないよ
なんて言われるようです。
菅原道真が詠んだ歌が悪く解釈されたから
受験の神として有名な菅原道真は、こんな歌を詠みました。
「東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主無しとて 春な忘れそ」
訳:東の風が吹いたら梅の花の香りを送ってくれ 主人がいなくても春を忘れないで
菅原道真の住む家には梅の木があり、道真はたいそう大事にしていました。
しかし、謀反を計画した疑いで福岡へ左遷されることになり、出立の朝に詠んだのがこの歌。
大切にしていた梅の木を名残惜しく思い、東からの風で福岡まで梅の香りを届けてほしいとの願いが込められています。
- 菅原道真は左遷から2年後に亡くなったこと
- 梅の木を庭に植えて愛していたこと
- それを歌に詠んで知られるようになったこと
などの理由から、梅の木を植えるのは運勢的に良くなかったのだと解釈する向きが生まれたようです。
江戸時代の家相書に書かれた内容から
江戸時代の家相書に、以下の一文があります。
家の四方(東西南北)に梅を植えると、家主が梅の花に乱されてだらしがない行動をとってしまうという意味。
この教えが人から人へと伝えられるうち、「四方に植える」という情報が省かれて、梅を植えるのが根本的に縁起が悪いと信じられるようなったようです。
※家相書とは、家の配置や間取りなどから吉凶を占う風習「家相」についてまとめた書のこと。
中国発祥ながら、日本の風習も取り込んで発展したもの。
風水的に北西に植えると大凶だから
梅の木を場所を考えずに植えると、風水的に大凶とされます。
それが北西の方角。
もし、庭に梅の木を植えるとして北西の方角しかスペースがない場合は避けたほうがいいかもしれません。
ただ、それも風水を信じるかどうかにかかっています。
実がなる木全般が縁起が悪いと信じられているから
- 実が落ちる様が縁起が悪い
- 実を目当てに虫や鳥が集まる
- 子供が実を取ろうと登るため危険
など迷信と実害の両面があります。
梅に限らず「実(果実)」がなる木全般は、庭に植えるとよくないと言われています。
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青梅を食べると中毒を起こすから
青梅の果実や種には「アミグダリン(青酸配糖体の一種)」が含まれています。
そのため青梅を食べると
- 呼吸困難
- めまい
- 嘔吐
- 頭痛
- 下痢
などの中毒症状を引き起こします。
そんな毒性を知ってる人からすると、動物や子供などが誤って食べてしまうリスクを考慮し
青梅が危ないから梅の木は植えてはいけないね
などと主張するようです。
しかし、青梅に含まれる青酸配糖体はわずかであり、約100個ほど食べない限り害はありません。
現実的に食べられる量を超えているため、心配する必要はないでしょう。
梅の木を庭に植える際の3つの注意点
水戸の偕楽園など日本では庭園に梅を植え、その花の美しさを歌に詠んできました。
その事実から分かるように、本来は縁起がよい樹木なんですね。
そんな梅の木を庭に植える際に気をつける点がこちら。
- 風水や縁起を気にする場合
- 実梅と花梅がある
- 剪定作業を欠かさない
これさえ知っておけば、問題なく植えられますよ。
風水や縁起を気にする場合
風水や縁起など気にされる方は、方角・花の色・植える本数に気を使ってください。
方角や場所
梅の木は
- 南西
- 南
- 東南
- 東
に植えると良いとされています。
また、家の裏庭に植えると家族運に恵まれるとされます。
花の色の選び方
梅の木の花の色は
- 赤(濃い紅色)
- ピンク(淡紅色)
- 白
など様々あります。
このうち白やピンク系の花を咲かす梅の木を「庭の北側」に植えると、幸運を呼び込むパワーがあるとされます。
植える本数
梅の木を植えるとしたら、普通は一本だけですよね?
しかし、三本まとめて植えると、より良いとされています。
スペース的に難しいと思いますが、余裕がある場合には検討してもいいかもしれません。
家の庭がちょっとした梅林になってしまいますが……。
実梅と花梅がある
梅の木には以下の2種類があります。
- 実梅(みうめ):実を穫るための梅
- 花梅(はなうめ):花を楽しむための梅
実を収穫して梅干しや梅酒を作りたいなら、実梅。
ただ梅の花を鑑賞したいなら、花梅。
苗木を購入する前によく考えて、間違えないように選びたいですね。
剪定作業を欠かさない
このことわざは誰でもご存知のはず。
桜は古い枝に花が咲くために切ってはいけませんが、梅は新しく伸びた枝に花が咲くため、どんどん刈り込むべきという意味です。
つまり、梅の木を植えて花や実を楽しむには、定期的な剪定が必要なんですね。
それに放置すると、どんどん上と横に伸びて、庭を専有することになりかねません。
自宅に庭だけではなく、隣近所の敷地まで枝が張ったら迷惑です。
もし、剪定が面倒に感じたり、業者にお金を払ってやってもらうのも経済的な負担に感じる場合は植えるのを止めたほうがいいかもしれません。
まとめ
梅の木を庭に植えてはいけないのは
- 大きく成長するから
- 菅原道真が詠んだ歌が発端
- 江戸時代の家相書の内容から
- 風水では北西に植えると縁起が悪いから
- 実がなる木全般がタブー視されているから
- 青梅の誤食は中毒を起こすから
という6つの理由からでした。
管理が大変で、青梅の実を大量に食べると有害だという点を除けば、占いや迷信の類です。
信心深い人の場合、家に悪いことが起きると
梅の木を植えたせいかもしれない……
と後悔する可能性も。
そんなの気にしない、科学しか信じない人はまったく気にせず植えてみていいと思います。
コメント
城南宮の枝垂れ梅を見て庭に植えてみたい、と思いましたが、大きくなるからダメ。と言われて諦めていましたが剪定をきっちりすれば良いわけで安心しました。
世間で流布する説の多くは、物事の一面を大きくオーバーに取り上げたものばかりな気がします。
私の実家には梅干しを作るための大きな梅の木と、小ぶりの紅梅が植えられていましたが、父が定期的に剪定していたので、なんの問題もありませんでした。
私は樹木の専門家ではありませんが、そんな経験から言ってまず問題はないと断言していいと思います。