ジューンベリーを植えてはいけないのは、果樹ゆえに縁起が悪いことが最大の理由。また、果実が鳥に食べられたり、庭がフンで汚れたりなど「鳥害」も懸念されます。
6月に赤い実をつけるジューンベリー(別名アメリカザイフリボク)。
「6月=June(ジューン)」から、その名が付いたといわれます。
生食できる果実を楽しみにシンボルツリーとして植える人が多いですが、一部では「植えちゃダメ」の声も……。
そこで今回は
- ジューンベリーを植えてはいけない理由
- ジューンベリーを庭に植えるメリット
- ジューンベリーを安全に庭で育てるコツ
を解説します。
いろんな果樹を育ててきた私におまかせください。
ジューンベリーを植えてはいけない7つの理由
- 実のなる木は縁起が悪いから
- 鳥に実を食べられてしまうから
- 落ちた実や鳥の糞で地面が汚れるから
- ほうっておくと8mまで伸びる木だから
- 落葉樹で冬は殺風景になるから
- 落ち葉の掃除に手間がかかり隣近所の迷惑になるから
- 様々な害虫の被害に遭うから
ジューンベリーを植えてはいけない理由をひとつずつ説明していきますね。
実のなる木は縁起が悪いから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「実のなる木は縁起が悪い」から。
実のなる木を庭に植えると
- 実が落ちる様子が「斬首」を連想させる
- 土地のエネルギーを吸い取ってしまう
- 家から病人や死人が出る
といった迷信から、縁起が悪いと昔の日本人は信じていました。
若い人はピンと来ませんが、高齢者の世代だといまだにそう信じている人は珍しくありません。
くわしい事情はこちらの記事をご覧ください。
鳥に実を食べられてしまうから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「鳥に実を食べられてしまうから」から。
ジューンベリーの実は鳥たちにとっても、おいしいごちそう!
- すずめ
- ヒヨドリ
- カワラヒワ
などの鳥たちが入れ代わり立ち代わり飛んできて、実をついばんでいきます……。
この食害のせいで実が全滅したり、人間が収穫できる量がほんのわずかになることも。
実の収穫を目的に植えた人からすると
ジューンベリーは鳥に食べられるから植えちゃダメ
なんて言いたくなるんでしょうね。
落ちた実や鳥の糞で地面が汚れるから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「落ちた実や鳥の糞で地面が汚れるから」から。
ジューンベリーの実は鳥が食べ散らかして地面に落下したり(あるいは収穫しないで自然落果したり)すると、果汁が地面にこびりつきます……。
そうなっても土の地面や草が生えていれば、気になりません。
しかし、コンクリートやタイルだと汚れが落ちにくく、掃除する手間がかかります。
また、実を食べに来た鳥たちが落とす糞も白く目立つため、ストレスを感じる問題に……。
ほうっておくと8mまで伸びる木だから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「ほうっておくと8mまで伸びる木」のため。
ジューンベリーの最大の樹高は8m!
8mといえば、建物の3階部分に届くほどの高さです。
原産地のアメリカでは街路樹に使われるそうなので、そのスケールが想像できますね。
植えっぱなしで一切手をかけたくない人は、植えるのを控えたほうがいいでしょう。
落葉樹で冬は殺風景になるから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「落葉樹で冬は殺風景になる」から。
樹木には以下の2種類があります。
- 常緑樹:一年中、葉が茂っている
- 落葉樹:秋になると葉が落ちる(春になると茂る)
ジューンベリーは後者の落葉樹。
そのため、秋から冬にかけては葉が全て落ちて、寒々しい見た目になります……。
シンボルツリーとして一年中、庭に「緑(グリーン)をキープしたい人には不向きな樹木です。
落ち葉の掃除に手間がかかり隣近所の迷惑になるから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「落ち葉の掃除に手間がかかり隣近所の迷惑になる」から。
ジューンベリーは秋になると、一斉に落葉します。
その落ち葉の量は木の成長に合わせて、どんどん増加していくことに。
自分の家の庭に落ちた葉の掃除も大変ですが、それ以上に気になるのは隣近所の敷地に飛んでしまう落ち葉たち……。
隣家とキツキツに接している分譲住宅地に住む人にとっては、特に気になるデメリットで
せっかくジューンベリーを植えたけど、落ち葉が気になって抜いちゃいました(泣)
なんて人も実際にいるんですよ。
様々な害虫の被害に遭うから
ジューンベリーを植えてはいけない理由のひとつが、「様々な害虫の被害に遭う」から。
ジューンベリーには以下のような害虫が寄ってくるリスクがあります。
- アブラムシ
- 毛虫(イラガ等)
- カイガラムシ
- アザミウマ
- エカキムシ
- カイガラムシ
- コナジラミ
- 尺取り虫
特にやっかいなのが毛虫でしょうね。
【閲覧注意】
ジューンベリーの葉に、びっしり毛虫が付いてるのを発見し、大至急で枝狩り
アメリカシロヒトリじゃ無さそうだし…って調べてみたら、モンクロシャチホコという蛾の毛虫らしい
モンクロシャチホコを検索すると【食べる おいしい】など続々ヒットし、糞をお茶にする強者もいて震えてる私 pic.twitter.com/36VopCIKt1— 正田コージ (@you_heyhey_) August 26, 2023
子供が触ったらと思うと、あまり手が届きそうな場所には植えたくありません。
毒性と勘違いされるイラガ
ジューンベリーの剪定作業などで触れた際に、鋭い痛みが走る場合があります。
もしかしてジューンベリーには毒があるのでは?
と疑われますが、その正体はイラガという毛虫。
「電気が走ったような痛み」とも称されるほどで、葉っぱの裏などに張り付いているのを知らずに触ってしまい痛みを訴える人がいます。
ジューンベリーを庭に植える4つのメリット
- 丈夫で手間がかからず植える場所も選ばない
- 花~実~紅葉が一年を通して楽しめる
- 実を詰んで食べる経験ができる
- 花言葉が良い
ジューンベリーは庭に植えるメリットもちゃんとあるんです!
それをひとつずつ解説していきましょう。
丈夫で手間がかからず植える場所も選ばない
ジューンベリーは耐寒性・耐暑性とも強く、滅多なことで枯れることはありません。
日当たりと排水性の良い場所が生育に適していますが、半日陰の場所でも育てることが可能。
果樹の中では丈夫な種類なので、初心者の方でも安心して植えることができますよ。
花~実~紅葉が一年を通して楽しめる
ジューンベリーは
- 5月ごろ:白い花が開花
- 6月ごろ:果実の収穫
- 11月ごろ:葉の紅葉
といったふうに季節ごとに楽しみがあります。
ジューンベリーと言えば実のことばかりクローズアップされますが、こんな美しい紅葉した姿も見せてくれます。
ジューンベリーの紅葉 pic.twitter.com/j4TPMVIm3F
— 果樹栽培が大好き (@aralk67) November 8, 2018
これは常緑樹にはないメリットと言えますね。
実を詰んで食べる経験ができる
いまは自然と触れ合う機会がなく、野山に実った果実を詰んで食べる経験なんて、一部の地方を除けば不可能……。
しかし、ジューンベリーの木があれば、子供に自分の手で詰んで食べるという貴重な経験をさせてあげることができます。
実際にジューンベリーを植えた人から「植えたメリット」を訊くと、この点を挙げる人がいるんですね。
花言葉が良い
ジューンベリーの花言葉は、この2つ。
- 穏やかな表情
- 穏やかな笑顔
ジューンベリーのほんのり甘い実を食べると、穏やかな顔になるところから付いたと言われています。
庭にこんな木が植えてあれば、家族の仲も自然と良くなりそうな気がしますね。
ジューンベリーを安全に庭で育てる5つのコツ
- 「株立ち」や「矮性品種」を選ぶ
- 広いスペースに植えるか鉢植えにする
- 「ダミーのカラス」で鳥を寄せ付けない
- 「防鳥ネット」で実を守る
- 害虫の発生に備える
ジューンベリーにはいくつかマイナス点がありますが、それをセーブして安全に植える方法もあります。
ジューンベリーの実を楽しみたい!という方は、以上の4つのコツを読んで検討されてください。
「株立ち」や「矮性品種」を選ぶ
ジューンベリーをほどほどの大きさに育てたい場合は、最初の苗選びから重要なポイントがあります。
「株立ち」とは?
ジューンベリーには「株立ち」と「一本立ち」の2種類があります。
- 株立ち:根本から複数の幹が生えている
- 一本立ち:根本から幹が一本だけ生えている
「株立ち」の苗を選ぶメリットは、木の成長が緩やかになり、樹高を抑えられる点。
日本の一般的な広さの庭に植えるには、「株立ち」のジューンベリーが適しています。
「矮性品種」とは?
ジューンベリーには「矮性品種」があります。
矮性品種とは、一般的な大きさよりも「小さいまま成熟する」性質を持つ品種のこと。
樹高は最大でも150~180cmほどで、低木のうちから実をつけるというメリットもあります。
広いスペースに植えるか鉢植えにする
秋になると紅葉した葉が落ちて、周辺に散らばるのは防げません。
しかし、隣家との境の近くや道路の間際に植えるのは避けて、広いスペースに植えれば葉の飛散をある程度は制限できます。
もし、そんな広いスペースがない場合は、思い切って鉢植えで育てるのもアリ。
鉢植えなら、いつでも好きな場所に移動できますし、剪定作業も楽。
また、毛虫など害虫が発生しても子供の手の届かない場所に避難させることも可能です。
「ダミーのカラス」で鳥を寄せ付けない
ジューンベリーの実を狙って飛来する鳥たち。
実を食べられるのも腹が立ちますが、実の食べこぼしが地面に落ちたり、おまけにフンをしていくという大迷惑な被害も……。
スズメやヒヨドリなどの鳥害を防ぐには、カラスの模型をつかった忌避剤が効果的だと言われています。
カラスはスズメやヒヨドリにとっては「天敵」になるため、近寄ってこないわけですね。
一時期、CDを吊り下げる対策が流行りましたが、それよりも期待できるのではないでしょうか?
「防鳥ネット」で実を守る
美観は損なわれますが、ジューンベリーの実を鳥に食べられる悲劇を防ぎたい場合は「防鳥ネット」が有効です。
木をすっぽりと覆ってしまうため、鳥の襲来から完全ガード!
実の収穫を第一の目標とする人は、これくらいやらないとダメかもしれませんね。
害虫に備える
いつジューンベリーに害虫が発生してもいいように、事前に殺虫スプレーを用意しておきましょう。
毛虫などの発生を抑えるのは難しいので、見つけたらすぐ駆除することが大切です。
まとめ
ジューンベリーを植えてはいけないと言われる理由は
- 実のなる木は縁起が悪いから
- 鳥に実を食べられてしまうから
- 落ちた実や鳥の糞で地面が汚れるから
- ほうっておくと8mまで伸びる木だから
- 落葉樹で冬は殺風景になるから
- 落ち葉の掃除に手間がかかり隣近所の迷惑になるから
- 様々な害虫の被害に遭うから
という7つの点からでした。
縁起の悪さについては現代では無視してもいいものの、実のなる果樹であり、かつ落葉樹のため実害があるのは事実です。
しかし、苗の選定や植える場所などを意識すれば、自分にとっても周りの家にとっても被害はなく、安全に楽しく育てることができます。
シンボルツリーとして人気ですし、管理が楽な木でもあるので、ぜひ庭植えにチャレンジしてみてください。
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