カモミールを植えてはいけない最大の理由は、こぼれ種で増えたり、茎から根を張って新たな株が生まれ、大増殖する危険性があるためです。
ハーブティーの定番といえばカモミール。
涼し気な葉や茎と、小さな白い花も魅力的なため庭で育てたい人も多いはず。
しかし、一部では「植えたらダメ!」と反対する声も……
そこで今回は
- カモミールを植えてはいけない理由
- カモミールを植えてはいけない場所
- カモミールを庭で安全に育てるポイント
を解説します。
今まで何度もカモミールを育てた経験がある私にお任せください。
記事の本文に入るまえに、カモミールには以下の2種類があり、それぞれ特徴が違う点を頭に入れておいてください。
品種名 | 特徴 |
---|---|
ジャーマンカモミール | ・一年草 ・草丈:50~60cm ・カモミールティー向き |
ローマンカモミール | ・多年草 ・草丈:20~30cm ・カモミールティーには不向き |
カモミールを植えてはいけない5つの理由
カモミールを植えてはいけない理由がこちらの5つです。
- こぼれ種で増殖する
- 土に触れた茎から根が生えて広がる
- 害虫を引き寄せる
- アレルギー症状を引き起こす
- 花が少ない/咲かない
こぼれ種で増殖する
カモミールを植えてはいけない1つめの理由が「こぼれ種で増殖する」ため。
カモミールは花が咲いたあとに種をつけ、それが地面に落ちたり、風に飛ばされて離れた場所に落ちます。
その種が翌年に芽生え、立派な一株へと成長します。
カモミール。こぼれ種から毎年出てきます。こぼれ種なので、どこに出てくるかはわかりません^_^ pic.twitter.com/kGLhKtHRbF
— 希少生物もものたね (@momonotane198) April 19, 2020
これがいわゆる「こぼれ種」と呼ばれるもの。
別の植物の成長を阻害したり、隣家や周辺の道路などから生えてきたら迷惑をかけることに……。
こぼれ種の現象が起こるのはローマンカモミールもジャーマンカモミールも共通です。
土に触れた茎から根が生えて広がる
カモミールを植えてはいけない2つめの理由が「土に触れた茎から根が生えて広がる」ため。
ローマンカモミールは匍匐性(ほふくせい)といって、地面を低く這うようにして広がっていきます。
その際に土に触れた茎から発根し、そこから新しい株が誕生します。
そうやって自然と勢力を広げていく場合もあり、放っておくと上記の動画のようにグランドカバーのように庭を覆ってしまうことになります。
害虫を引き寄せる
カモミールを植えてはいけない3つめの理由が「害虫を引き寄せる」ため。
カモミールには以下のような害虫が寄ってきます。
- アブラムシ
- 青虫
- エカキムシ
- コナガ
- コナジラミ
- カタツムリ
- タバコガ
- ナメクジ
- ヨトウムシ
- ハダニ
特にアブラムシとハダニが発生しやすく、小さな虫が葉や茎にびっしりついた様子はトリハダもの……。
カモミールは「コンパニオンプランツ」
コンパニオンプランツとは、相性の良い野菜と一緒に植えると、それらの成長を促す植物のこと。
カモミールもコンパニオンプランツの一種で、玉ねぎやキャベツと相性が良いと言われています。
野菜には害虫が付きやすいものですが、カモミールを一緒に植えると害虫を引き寄せて、身を挺して野菜を害虫被害から守ってくれます。
つまり、それだけ害虫に好かれやすいというわけですね。
アレルギー症状を引き起こす
カモミールを植えてはいけない4つめの理由が「アレルギー症状を引き起こす」ため。
カモミールはブタクサやヒマワリなどキク科の植物にアレルギーがある人には、以下のような症状を引き起こす危険性があります。
- 皮膚への刺激
- 眼のかゆみ
- くしゃみ
- 鼻水
自覚がある方はもちろん、家族に該当する方がいる場合は植えるのを控えたほうがいいでしょう。
カモミールティーは服用する薬に影響を及ぼす可能性もあるため、飲用する場合にも注意が必要です。
花が少ない/咲かない
カモミールを植えてはいけない5つめの理由が「花が少ない/咲かない」ため。
ジャーマンカモミールはたくさんの花を咲かせるのは比較的簡単です。
しかし、ローマンカモミールはもともと花が少なめな種類。
しかも「ノンフラワーカモミール」という花が咲きにくい品種まであります。
花を目当てにカモミールを買ったのに、このような花が少ない(咲かきにくい)品種を知らずに買った人からは
花が咲かないカモミールなんて植えてはいけないよ!
などと批判的な声が漏れてしまうのでしょう。
カモミールを植えてはいけない場所4選
カモミールは適した環境に植えないと、花が咲かないばかりか、枯れてしまうことがあります。
また、隣家に迷惑をかける恐れもあります。
そんなカモミールを植えてはいけない4つの場所がこちら。
- 日当たりが良すぎる場所
- 水はけが悪い土壌
- 風通しが悪い環境
- 隣家との境界付近
日当たりが良すぎる場所
カモミールの生育にはもちろん日照が必要です。
しかし、カモミールの原産地は北ヨーロッパから西アジアであり、日本の夏の強い日差しにはダメージを受けます。
夏のカンカン照りにさらされると、最悪枯れてしまうことも……。
午後の日差しが照りつける場所は避けるか、いっそ鉢植えにして夏の間だけ日陰に移動させるのがベストです。
水はけが悪い土壌
カモミールはつねに土が湿っているようなジメジメした土壌を嫌います。
そのような土壌では元気に育たないばかりか、根腐れして枯れてしまうケースも……。
地植えにする際には土を掘り起こし、土壌改良材などを混ぜ込んで水はけよい土壌に改良するようにしましょう。
地面より一段高くした花壇を作ると、より水はけがよくなりますよ。
風通しが悪い環境
カモミールを風通しが悪い環境に植えると、蒸れて枯れるリスクのほか、アブラムシなどの害虫が発生しやすくなります。
他の植物とは一定の距離を空けて植えるなど、風通しがよい環境を作り、それを維持するようにしたいですね。
隣家との境界付近
隣家との境界近くにカモミールを植えると、こぼれ種が飛んでいったり、柵がない場合は越境して進出する恐れがあります。
あまり境界ギリギリに植えるのは避け、隣家に影響を与えないように心がけたいところです。
カモミールを庭で安全に育てる4つのポイント
カモミールを自宅の庭で育てる際に、気をつけたいポイントがこちらの4点です。
- 庭や用途に合った品種を選ぶ
- 適度に剪定をして成長をコントロールする
- 咲き終わった花は種をつけるまえに摘む
庭や用途に合った品種を選ぶ
カモミールティーを味わいたいなら、ジャーマンカモミール。
ただし、草丈が高くなるので、他の植物に干渉しない場所を選んで植える必要があります。
とはいえ、一年草のため間違った場所に植えてしまっても悪影響は長くは続きません。
多年草のグランドカバー的な役割を求めるなら、ローマンカモミール。
一度植えれば数年に渡って繁殖するので、植える場所は慎重に選ぶべきですね。
適度に剪定をして成長をコントロールする
ジャーマンカモミールは、15~20cmの高さまで育ったら、摘心をします。
摘心をすると、株の成長がよくなり花数も増えます。
ローマンカモミールは、花が終わって暑くなる前に、10cmほどの草丈までばっさりと刈り込みをします。
こうすることで夏の暑さによる蒸れを予防できます。
咲き終わった花は種をつけるまえに摘む
ジャーマンカモミールもローマンカモミールも花が終わったら種をつけ、それが「こぼれ種」になります。
こぼれ種の飛散を防ぐために、種を付ける前の段階で花がらを詰んでしまいましょう。
それぞれのカモミールの開花期がこちら。
種類 | 開花期 |
---|---|
ジャーマンカモミール | 3~6月 |
ローマンカモミール | 5~6月 |
ジャーマンカモミールは一年草であり、夏が来る頃には枯れてしまいます。
ですから、花柄摘みをかねて花が終わったあとは根本から引き抜いて処分してしまうの手の一つですね。
まとめ
カモミールを植えてはいけないのは
- こぼれ種で増殖する
- 土に触れた茎から根が生えて広がる
- 害虫を引き寄せる
- アレルギー症状を引き起こす
- 花が少ない/咲かない
この5つの理由(デメリット)があるためでした。
とはいえ、品種を選び適切に管理をすれば、どれも回避可能な欠点ばかり。
おそらく日本人にとってもっとも身近なハーブであり、多くの人が自宅で栽培をして楽しんでいます。
ぜひ、安心してトライしていただきたいですね。
コメント