蝋梅を庭に植えてはいけない最大の理由は、毒があるためです。他にも実をつける樹木なので昔から縁起が悪いという考え方も根強く残っています。
冬になると淡い黄色の花をひっそりと咲かせる蝋梅(ロウバイ)。
花の香りも良いので年配の方を中心に特に好まれる蝋梅ですが、一部では「植えるのはよくない」との声も……。
そこで今回は
- 蝋梅を庭に植えてはいけない理由
- 蝋梅を安全に庭で育てる鉄則
- 蝋梅を庭に植えるメリット
を解説します。
親が育てていた蝋梅が小さい頃から家にあり、身近な存在だった私がお届けします。
蝋梅を庭に植えてはいけない5つの理由
蝋梅を植えてはいけないのは、以下の5つの理由からです。
- 毒があるため
- 実がなる木は縁起が悪いため
- 花が咲くまで時間がかかるため
- 花を咲かせるのが難しいため
- 花をヒヨドリに食べられるため
それでは1つずつチェックしていきましょう。
毒があるため
蝋梅を庭に植えてはいけない理由の1つめが、「毒がある」ため。
蝋梅は全株(木の全部の部分)に、アルカロイド系の毒成分である「カリカンチン」を含みます。
種子などにアルカロイドであるカリカンチンを含み有毒。中毒すればストリキニーネ様の中毒症状を示す。
なかでも特に種子にカリカンチンが多く含まれ、摂取すると以下のような中毒症状が起こります。
- 強直性痙攣
- 呼吸促進
人間が摂取した中毒事故は報告されていませんが、動物(牧場の羊)が食べて中毒を起こしたケースがあります。
蝋梅は梅とは別種の樹木
蝋梅は「梅」の字が付くものの、梅とは別種の樹木。
名称 | 属名 |
---|---|
蝋梅 | クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属 |
梅 | バラ科サクラ属 |
蝋梅の花が「蝋で作った梅の花」に似ているところから、その名が付いたと言われています。
ですから、梅のように実を「梅干し」や「梅酒」に利用することはそもそも無理なんですね。
実がなる木は縁起が悪いため
蝋梅を庭に植えてはいけない理由の2つめが、「実がなる木は縁起が悪い」ため。
昔から実がなる木は
- 土地のエネルギーを吸い取ってしまう
- 実が落ちる様子が「首が落ちるさま」を連想させる
といった点から縁起が悪いとする考え方がありました。
年配の方の間ではいまでも強く信じる人がいるため
蝋梅も実がなるから庭に植えちゃいけないよ
なんて文句をつけてくるのでしょう。
実のなる木を庭に植えてはいけない理由は、こちらの記事でくわしく解説しています。
花が咲くまで時間がかかるため
蝋梅を庭に植えてはいけない理由の3つめが、「花が咲くまで時間がかかる」ため。
蝋梅の種を蒔いてから、花が咲くまで実に6~7年ほどかかります。
栽培環境が合わないと、10年以上かかることも……。
蝋梅を育てるメインの目的は「花を鑑賞すること」でしょうから、花が咲くまではじっと我慢して待つ日々が続くことになるでしょう……。
花を咲かせるのが難しいため
蝋梅を庭に植えてはいけない理由の4つめが、「花を咲かせるのが難しい」ため。
花が咲かない最大の原因は「剪定」にあります。
蝋梅の剪定方法は
- 剪定する時期
- 剪定する枝
など絶対に守るべきルールがあり、まったく剪定をしない、または間違った剪定をすると一向に花が咲きません……。
それを知らない人からすると
蝋梅は花が咲かないから庭に植えてはいけないわよ
なんてボヤきたくなるのでしょう。
「蝋梅 花が咲かない」と検索する人が多いので、それだけ世間では困っている人が多い証拠だといえます。
花をヒヨドリに食べられるため
蝋梅を庭に植えてはいけない理由の5つめが、「花をヒヨドリに食べられる」ため。
蝋梅の花を食すヒヨドリ pic.twitter.com/HIrzocRhv1
— おはる (@oharu0408) January 12, 2023
ヒヨドリは蝋梅を花や蕾を食べてしまいます。
見た目はかわいいので鳥が好きな人はバードウォッチングになって楽しいかもしれませんが、花をすべて食べつくして丸裸になってしまうことも……。
おまけに庭にフンを落としたり、鳴き声が近所迷惑になる可能性もあります。
蝋梅を安全に庭で育てる5つの鉄則
蝋梅は実害があるため、のほほんと無計画で庭に植えると後悔します。
植える前に知っておきたい「庭で安全に育てる鉄則」がこちらの5つ。
- ある程度大きく育った苗木を買う
- 幼児やペットがいる家庭では地植えしない
- 鉢植えで育てる
- 正しい剪定方法を学ぶ
- 花の季節は防鳥ネットでガードする
ある程度大きく育った苗木を買う
蝋梅の種をどこから入手して植えると、開花まで最低6~7年はかかります。
そこまで悠長に待つ時間がもったいないですから、すぐに開花する苗木を用意するようにしましょう。
蝋梅には以下のような種類があります。
名称 | 特徴 |
---|---|
素心蝋梅(ソシンロウバイ) | 花びらは小さめ/花の香りが強い |
満月蝋梅(マンゲツロウバイ) | 花が大きく色が濃く、早咲き |
和蝋梅(ワロウバイ) | 花弁が細く花の中心が赤紫色/香りは薄い |
福寿蝋梅(フクジュロウバイ) | 花が大きく鮮やかな黄色/香りは薄い |
花が丸っこくフルーティーな香りで人気なのが満月蝋梅(マンゲツロウバイ)。
幼児やペットがいる家庭では地植えしない
大人は蝋梅に毒があっても直接的な被害を受ける可能性はほぼゼロです。
しかし、言葉が通じない幼児やペットは誤食する可能性が十分に考えられます。
特に毒が多く含まれる蝋梅の実は、子供が摘んでパクっと口にいれてしまう光景がありありとイメージできませんか?
そんな事態を防ぐために、幼児やペットがいる家庭では蝋梅の地植えはあきらめるのが得策ですね。
鉢植えで育てる
幼児やペットがいる家庭でどうしても蝋梅を育てたい場合は、鉢植えにするとリスクが減少します。
蝋梅を鉢に植えて、幼児やペットの手が届かない(接触できない)場所に置いて管理すればOK。
鉢植えならヒヨドリから花や蕾を守ることも容易ですよ。
正しい剪定方法を学ぶ
蝋梅は正しく剪定しないと、開花しません。
蝋梅の剪定時期は以下の「年2回」が基本。
- 2月~3月(新芽が出る前)
- 11月(葉が落ちた後)
剪定すべき対象は「長く伸びた枝(徒長枝)」です。
蝋梅の花は短い枝に付くため、長い枝を減らして短い枝を増やすと、花の数が増えるわけですね。
選定のコツはここでは説明しきれないので、上記の動画などを参考によく学ばれてから実行することはお勧めします。
花の季節は防鳥ネットでガードする
蝋梅は花が咲く前の蕾の段階からヒヨドリに狙われます。
この悔しい鳥害から花を守るためには、防鳥ネットでガードしましょう。
ただ、防鳥ネットで覆うと蝋梅の花の鑑賞が邪魔されてしまいます。
ある程度は鳥にやられるのを看過するか、それとも美観が損なわれてもガードするか、どちらを選択するかはあなた次第ですね。
蝋梅を庭に植える2つのメリット
蝋梅にはデメリットもあるものの、素晴らしいこんな2つのメリットがあります。
- 庭が寒々しい冬に花が咲く
- 「四大香木」に数えられるほど香りが良い
庭が寒々しい冬に花が咲く
12月になると落葉樹はすっかり葉を落とし、地味な常緑樹以外は庭の彩りがゼロになります。
しかし、蝋梅の花は真冬の12月~2月ごろに開花するので、寒々しい庭をパッと明るくしてくれるでしょう。
中国では蝋梅を含めた早春に咲く「梅」・「サザンカ」・「水仙」を「雪中四友(せっちゅうのしゆう)」と呼び、画題にしていたそうです。
「四大香木」に数えられるほど香りが良い
蝋梅は香りが特に良いとされる「四大花木」のひとつに数えられます。
四大花木 |
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つまり、冬を代表する香りの良い花木なんですね。
黄色い可憐な花で目を楽しませてくれるだけではなく、庭にふんわりと漂う芳香で寂しい冬の庭を豊かにしてくれますよ。
まとめ
蝋梅を庭に植えてはいけないと言われるのは
- 毒があるため
- 実がなる木は縁起が悪いため
- 花が咲くまで時間がかかるため
- 花を咲かせるのが難しいため
- 花をヒヨドリに食べられるため
という5つの理由からでした。
毒があるため誤食する可能性がある子供や犬猫などペットがいる家では、庭植えするのはやや危険性があります。
しかし、ほかの理由については育て方次第で回避できる問題。
デメリット以上に蝋梅は真冬に美しい花を咲かせ、いい香りを味わせてくれる貴重な存在です。
私の生家では長く父が育てていましたので、今でも花の記憶が残っていますよ。
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