椿は庭に植えてはいけないってホントですか?
ほとんどは迷信の類ですが、実害もあります。
日本的な美しさにあふれる椿の花。
和風の一軒家なら庭木のひとつとして植えたくなりますよね。
ただ、一部では「縁起が悪い」という声も……。
そこで、ここでは
- 椿を植えてはいけない3つの理由
- 本当に植えてはいけないか検証
- 椿の基礎知識
などなど草花にはちょっとくわしい私がお伝えします。
椿を植えてはいけないと言われる3つの理由
自宅の庭に椿を植えてはいけないと言われるのは、この3つの理由からです。
- 花が落ちる様子が「打首」を連想するから
- 一部の地方で「縁起が悪い」と信じられているから
- 「チャドクガ」が発生するから
上2つは言うまでもなく迷信の類ですが、気にする人も少なくありません。
それ以外に実害として害虫が発生するリスクもあります。
それではくわしく見ていきましょう。
花が落ちる様子に「打首」を連想するから
椿の花は咲き終わったあとに、花びらを少しずつ散らすのではなく、花全体がポロッと離れて地面に落下します。
それがまるで罪人を打ち首にして「首が落ちる光景」に見えるところから、不吉で縁起が悪い花だと江戸時代の人は感じていました。
その椿の花が落ちる瞬間を捉えた映像がこちら。
たしかに、生首がゴロッと落ちるように見えなくもありません……。
特に嫌ったのは、「刀」や「命の遣り取り」に近い場所にいた武士で
- 武家屋敷では避けて植えることはなかった
- 家紋に用いられることはほとんどなかった
こうして明らかに避けていたと言われています。
検証結果と対処法
椿の花が打ち首を連想するから避けられていたのは、江戸時代~明治にかけて。
江戸時代は罪人が斬首される光景が珍しくなく、明治はまだそのイメージが色濃く残っていた時代です。
しかし江戸時代より前の時代(古事記が書かれた頃)には、椿は「魔除けのチカラ」を持つと信じられていました。
実際に宮中では椿の枝で作った杖を魔除けとして使っていたそうです。
また、魔除けの効力を信じて、アンティークの着物には椿をモチーフとしたものが多くあります。
「打首」が身近ではない現代においては、花がポロッと落ちる特性を忌み嫌う必要はなく、「魔除け」の意味を歓迎してもいいのではないでしょうか。
風評被害の疑い
「武士が椿を嫌う説」は作り話であり、明治になって広まったとする研究結果もあります。
なんでも、椿が好きな薩長の政府高官に対して、対立関係にあった江戸っ子たちが
椿は縁起が悪い花だ!
と言いがかりをつけたのが始まりとか。
それを裏付けるように、江戸時代に武士たちは椿の花があっさりと落ちる様子を「潔い」として、武家屋敷に植えていたとも言います。
また、山茶花(サザンカ)の生産者が当時人気だった椿の評判を落とすために、意図的に「縁起が悪い説」を流したとも言われています。
一部の地方で「縁起が悪い」と信じられているから
椿は一部の地方で「縁起が悪い木」だと昔から信じられていました。
その理由は
- 家運が悪くなる
- 家に不幸や凶事が起こる
- 家に病人が出る
- 死人の声を聞きたがる
など、さまざま。
花が落ちる様子から武士が嫌ったのとは別に、各地で忌み嫌われ、庭に植えるのを避けられていたのは事実です。
検証結果と対処法
椿を庭に植えてはいけないという俗説があるのは、以下の地方です。
- 秋田県
- 宮城県
- 千葉県
- 東京都
- 山梨県
- 富山県
- 福井県
- 長野県
- 岐阜県
- 三重県
- 和歌山県
- 岡山県
- 広島県
- 鳥取県
- 愛媛県
- 大分県
- 熊本県
上記の地方にお住まいで年配の方と同居されている場合は、反対されたり不快な思いをさせる可能性も……。
しかし、それ以外の地方にお住まいの方は気にする必要はないでしょう。
中国では縁起が良い漢字
中国には「椿寿」という言葉があります。
これは「長寿を祝う」意味があり、椿という漢字は縁起が良いと捉えられています。
「チャドクガ」が発生するから
椿には「チャドクガ」という毛虫が年に2回、大量発生します。
椿の葉に群がる、チャドクガ幼虫😱
何処にでもいるので、今の時期椿には注意が必要💦#チャドクガ pic.twitter.com/Ma462KXDTM— 飯島和彦 (@kiiijiman) May 22, 2022
もしチャドクガに触れてしまうと皮膚が赤くなり、猛烈な痒みと痛みにしばらく悩まされることに……。
これは正真正銘、間違いなく椿がもたらす実害といえるでしょう。
実際にチャドクガの発生に悩んで、せっかく植えた椿を伐採する家もあるとか。
チャドクガとは?
チャドクガは「茶毒蛾」と書くように、蛾の一種。
椿の葉っぱに付くのは、正確に言えばチャドクガの幼虫(毛虫)です。
葉っぱを覆い尽くすほど大量発生し、一枚の葉を食べ尽くすと他の枝へと移動して、そのまま放置すると木そのものが丸裸になるほど……。
チャドクガの毛虫の毒針毛は0.1mmほど極小で、風に乗って飛散するため、触れなくても皮膚に付着して痒みや痛みを引き起こす恐れがあります。
検証結果と対処法
私の実家の庭には、椿の木が一本植えられていました。
私の記憶にある限り、ほぼ毎年チャドクガが発生していましたね。
ですから、「たまたま」とか「運が悪く」ではなく、椿を植えたら避けられないのがチャドクガという存在。
なにも知らなかった私は、椿の枝に触れてしまい、刺されて痒みに苦しんだ思い出があります……。
ただ、こちらの動画にあるように葉についた卵を羽化する前に始末すれば、被害は最小限に抑えられと言います。
やや面倒ではありますが、どうしても椿の花を庭に咲かせたいなら対処法はあるわけですね!
椿の基礎知識
これから椿を植えようと計画中の方のために、基礎的な知識をご紹介します。
原産地
椿の学名はCamellia japonicaとなっているように、原産地は日本。
日本の他には、朝鮮半島南部・台湾・中国も原産地だと紹介されています。
名前の由来
椿(ツバキ)の名前の由来は諸説あります。
有力なのは、独特の葉の特徴を表現した名称が転じて「つばき」になった説。
- 強葉木(つよばき):葉が丈夫だから
- 津葉木(つばき):葉に艶があるから
- 艶葉木(つよはき):葉に艶があるから
- 厚葉木(あつばき):葉に厚みがあるから
その他に、光沢を意味する「つば」がある木、つまり「つば木」が由来とする説も。
なお、木へんに春と書いて椿となったのは、春に咲くところからだと言われています。
タブー
お見舞いに持参するのは避けられます。
また、競走馬に「ツバキ」の名を付けるのもタブーとされています。
適した栽培環境
日本原産なので、日本中どこでもよく育ちます。
土壌もこれといった条件はなく、日向はもちろんですが多少の日陰でも問題なく育ちますよ。
樹高は5~10m(最大で15m)にも成長しますが、鉢で小さく仕立てることも可能。
庭に植えるのが抵抗があるかたは、鉢植えで育てるのもひとつの手です。
まとめ
椿を植えてはいけないのは、こんな理由からでした。
- 打首を連想させるから
- 一部の地方の言い伝え
- チャドクガの発生が避けられないから
迷信や俗説(言い伝え)を気にしない人なら、チャドクガを受け入れられるか、それだけがネックです。
虫が「一切ダメ」という人、害虫駆除の手間が面倒な人も植えないほうがいいでしょう。
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