センダンを庭に植えてはいけない最大の理由は、縁起が悪い(家運を下げる・棺桶の材木だった・さらし首をかける木だった)ためです。
街路樹や公園に植えられている光景をよく見かけるセンダン(栴檀)。
薄紫色の花と黄色い果実が魅力的で、庭木として植えたい人も多いはず。
しかし、巷では「植えるのは良くない説」がまことしやかに囁かれています。
そこで今回は
- センダンを庭に植えてはいけない理由
- センダンを安全に庭で育てる注意点
- センダンを庭に植えるメリット
を解説します。
草花の栽培が趣味で、自宅の庭やベランダにたくさん並べている私がお届けします。
センダンを庭に植えてはいけない5つの理由
センダンを庭に植えてはいけないと言われる理由が、こちらの5つです。
- 縁起が悪い木だから
- 果実に毒性があるから
- 高木に育つため
- 鳥害があるため
- 一度植える根絶が大変だから
よく耳にする説から、初めて聞く説まであるかと思います。
では、ひとつずつ解説していきましょう。
縁起が悪い木だから
センダンを庭に植えてはいけない理由の1つめが、「縁起が悪い木」とされるため。
センダンが縁起が悪いと言われるのは、昔からこんな謂れがあるためです。
- 庭に植えると家運を下げる(家が没落/病人が絶えない)
- 棺桶や死者の杖を作る材木に使われていた
- さらし首をかける木に使われていた
どれも物騒な話であり、センダンが忌み嫌われるのも理解できますよね。
「さらし首をかける木」とは?
『平家物語』には斬首した罪人の首をセンダンの木にかけて、「さらしていた」との記述があります。
この風習は江戸時代まで続いたそうです。
平家や源氏の首もセンダンの木にかけてさらしていたとか……。
牢獄や処刑場の周囲にはセンダンの木が植えられることが多く、中世以降は「不浄の木」とみなされるようになりました。
その考えが現代にも残り続けたせいで、「忌木だから植えてはいけない」との噂がうっすらとネット上にも漂っているわけですね。
果実に毒性があるから
センダンを庭に植えてはいけない理由の2つめが、「果実に毒性がある」ため。
秋になると黄色い果実がぶら下がりますが、あの果実には「サポニン」という毒成分が含まれます。
サポニンを多く含むため、人や犬が食べると食中毒を起こし、摂取量が多いと死亡する。
もしセンダンの実を食べてしまうと
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- 痙攣
- 麻痺
などの中毒症状を起こします。
そして、以下の数量を食べると致死量に相当します。
- 人間(子供):6~8個
- 犬:5~6個
この事実を知るとペットや子供がいる家庭では
センダンを植えるなんてもってのほかだ!
なんて強く言いたくなるのも理解できますね。
高木に育つため
センダンを庭に植えてはいけない理由の3つめが、「高木に育つ」ため。
センダンは通常10~20mもの大木に成長します。
街路樹や公園樹としては見栄えが良いですが、日本の一般的な広さの庭に植えた場合、邪魔になるのは火を見るよりも明らかです。
自宅の日照を遮るだけじゃなく、隣家の敷地にもはみ出す恐れもあるでしょう
鳥害があるため
センダンを庭に植えてはいけない理由の4つめが、「鳥害がある」ため。
センダンの実は人間や犬(または牛や馬などの家畜)にとっては毒ですが、鳥にとっては貴重な食料になります。
大口開けてセンダンの実を丸呑みするムクドリ。
舌の根元にある返しに実を引っかけて押し込んでる😂 pic.twitter.com/JZb00EBA1v— 中野耕志 / Koji NAKANO (@JETBIRDER) December 30, 2021
センダンの実を食べにくる主な鳥がこちら。
- ムクドリ
- ヒヨドリ
- カラス
- つぐみ
これらの鳥がセンダンを実をついばむことで、周囲の地面に落下した実が産卵し、フンをしていくことも……。
鳥の鳴き声もけっこう迷惑になるんですよね……。
センダンの実はたくさん成るため、それを食べに大量の鳥が訪れると立派な「鳥害」になります。
一度植えると根絶が大変だから
センダンを庭に植えてはいけない理由の5つめが、「一度植えると根絶が大変」だから。
センダンは生命力が強く、根本から切っても新芽がまた伸びてきてしまいます。
そのため、根絶するには抜根といって根から引き抜く作業が必要に……。
年末にアップしようと思って忘れていた、センダンの根。
地上部が細く背も低くても根っこがめちゃ強くて抜根に苦労した。地上部に対する根っこが太い。あと根っこだけめちゃ赤い。 pic.twitter.com/NOlg22Tnnk— 山人ちー (@10040088) January 13, 2023
自分で行うには大変な労力になるため、業者に頼む羽目になることも。
軽い気持ちでセンダンを植えてしまうと、後悔することにもなりかねません。
センダンを庭で育てる3つのポイント
そんな難点があるセンダンですが、こんな点に気をつければ庭で問題なく育てることができます。
- 子供やペットがいる家では断念するか鉢植えにする
- 矮性品種を選ぶ
- 鳥害対策をする
子供やペットがいる家では断念するか鉢植えにする
小さい子供やペットはセンダンの実を誤食する危険性があります。
リスクを考えるとセンダンの庭植えは断念するのがベター。
どうしても身近にセンダンの木を置きたいならば、鉢植えにする手もあります。
鉢植えなら子供やペットが触れない場所に隔離しておけば安全。
実がなったらすぐに刈り取り、子供やペットに触れさせないようにするのも容易になります。
矮性品種を選ぶ
普通のセンダンは10~20mまで育つ大木ですが、矮性品種もあります。
矮性品種とは、一般的な大きさよりも小型で成熟する品種のこと。
矮性品種なら狭い庭に植えても、背が高くならず、邪魔になりにくいでしょう。
センダンの矮性品種として流通しているのが「一才センダン」。
一才センダンは樹高が5m程度でストップし、樹高が低いうちから花が開花します。
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鳥害対策をする
センダンの実を食べに来る鳥に多いのがムクドリ。
ムクドリはフクロウや鷹が天敵だとされているので、それらのダミー(置物)を設置するとある程度は寄り付くのを防ぐことができます。
完璧な対策とはいえず、他の鳥に対しても効果がなかったりしますが、やらないよりはマシですよ。
センダンを庭に植える4つのメリット
センダンを庭に植えると、こんな4つのメリットがあります。
- インドでは邪気を払う霊木扱い
- 手間がかからず丈夫に育つ
- 花の香りが良い
- 「切り枝」として室内に飾れる
インドでは邪気を払う霊木扱い
インドではセンダンには「邪気を払う力がある」と信じられています。
しかし、この信仰が日本に伝わるとその「邪気を払う力」を頼って「獄門台」に利用されるように……。
その結果として、日本では「庭に植えていけない忌木」になってしまいました。
獄門台とは、獄門(斬首刑)となった首を載せるための台のこと。
ですから、大本をたどれば庭に植えてもまったく問題がない樹木なんですね。
手間がかからず丈夫に育つ
センダンは以下のような理由から、手間がかからず丈夫に育つ樹木だといえます。
- 原産地はヒマラヤ山麓だが日本にも自生し順応している
- 土を選ばず地植えにしたら降雨に任せて水やりは不要
- 病気や害虫の被害を受けづらい
- 剪定や切り戻しをしなくても樹形が整う
園芸の初心者や庭木の世話をする時間があまりない人でも、枯らすこと無く育てやすい樹木ですね。
花の香が良い
センダンは木自体に香りはありませんが、花は甘く高貴な香りがします。
人によってはその香りを「チョコレート」や「バニラ」に例えるほど。
植えたら花が咲く5~6月頃が毎年楽しみになるでしょう。
「切り枝」として室内に飾れる
センダンの枝は見栄えが良いため「切り枝」として販売されるほど。
特に青い実がついた枝はネットでも販売されています。
室内に飾りが欲しいときに、庭にセンダンの木が生えていると0円で切り枝として利用できますね。
まとめ
センダンを庭に植えてはいけないのは
- 縁起が悪い木だから
- 果実に毒性があるから
- 高木に育つため
- 鳥害があるため
- 一度植える根絶が大変だから
という5つの理由からでした。
縁起の悪さは信じる信じないも、個人の自由。
しかし、毒がある点については万人にとって注意すべき点です。
そこだけはリスクの有り無しをよくお考えになって判断されてください。
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