彼岸花を植えてはいけない最大の理由は、根っこに強い毒性をもつためです。また、墓地に植えられることが多く「死」を連想させるので縁起が悪いと昔から言われているためです。
秋のお彼岸の頃にひっそりと、しかし鮮烈な真紅の花を咲かす彼岸花。
いかにも日本的で風情があり、庭の一画に植えてみたい人も多いと思いますが、一部では「植えるのは良くない」とのウワサも……。
そこで今回は
- 彼岸花を植えてはいけない理由
- 彼岸花を庭に植えるメリット
- 彼岸花を安全に庭で育てる注意点
を解説します。
10代のころから植物の栽培にハマる人生を送ってきた私がお届けします。
彼岸花を植えてはいけない5つの理由
彼岸花を植えてはいけないといわれるのは、この5つの理由からです。
- 根っこに「強い毒」があるから
- 「死」を連想させる縁起が悪い植物だから
- 不吉な「迷信」がたくさんあるから
- 不吉な「別名」がたくさんあるから
- 「悲しい思い出」・「あきらめ」などネガティブな花言葉を持つから
ほとんどが迷信の類いですが、世間では浸透しているため無視できません。
よくご覧になって、植えるかどうか判断されてください。
根っこに「強い毒」があるから
彼岸花を植えてはいけない最大の理由は、その根っこに強い毒が含まれているため。
この植物は花、茎、葉、そして特に「鱗茎」と呼ばれる根に毒性を持っています。
その毒成分は「リコリン」と呼ばれるもの。
これを誤って摂取すると
- 吐き気/嘔吐
- 下痢
- 神経麻痺
などの症状が現れます。
鱗茎にはネズミなどの小動物にとっては致命的な量の毒が含まれており、田畦や墓地を荒らすそれらの動物から守るために彼岸花を植える風習がありました。
現在でも田んぼの畦道や墓地に多く見られるのは、そのためです。
「死」を連想させる縁起が悪い植物だから
彼岸花を植えてはいけない理由のひとつは、この植物が「死」を連想させる縁起が悪い植物とされているため。
彼岸花は墓地やお寺に植えられているため、死や不吉なイメージが強く結びついています。
土葬が一般的だった昔、モグラやネズミにご遺体を荒らされるのを防ぐために彼岸花を植えたという説があります。
また、「死」に近い場所に植えているため、未成仏霊が寄ってくるとも信じられています。
もちろん、ただの迷信なので科学的な根拠はありません。
しかし、このような迷信により、彼岸花を庭に植えることを避ける人々が多いのも事実なんですね……。
不吉な「迷信」がたくさんあるから
彼岸花には不吉な迷信がたくさんあります。
- 「家に持ち帰ると火事になる」
- 「家に飾ると親が早く死ぬ」
- 「花を摘むと手が腐る」
- 「魂を吸い取る」
- 「花の赤い色は血を吸った色」
まさに悪口のオンパレード!
ここまで悪く言われる植物は、私は他に知りません……。
不吉な「別名」がたくさんあるから
彼岸花には「曼珠沙華」の他にも別名がたくさんあるのですが、ほとんどすべて不吉なもの……。
私が集めた不吉な別名をご紹介します。
- 毒花
- 痺れ花
- 死人花
- 幽霊花
- 地獄花
- 捨て子花
- 火事花
毒があることから付いた別名、「死」と関わり深いために付いた別名。
本当に気の毒なほど、ひどい言われようですね。
欧米ではレッドスパイダーリリーと呼ばれ、観賞用として愛されているのとは大違いです。
「悲しい思い出」・「あきらめ」などネガティブな花言葉を持つから
彼岸花を植えてはいけない理由のひとつは、その花言葉がネガティブな要素を含んでいるため。
特に赤い花の彼岸花の花言葉は
- 「悲しい思い出」
- 「あきらめ」
など、ネガティブな感情や状況を連想させるもの。
やはり墓地に植えられることが多いために、亡くなった人との別れを「悲しんだり」、再び会うことを「あきらめたり」といったシーンをどうしてもイメージしてしまいます。
庭に彼岸花が咲いていて、この花言葉が頭に浮かんだら「しんみり」しちゃいますね……。
彼岸花を庭に植えるメリット
しかし、彼岸花を庭に植えるのはこんなメリットもあります。
- 仏教用語で「天上の花」の意味がある
- 良い花言葉も持っている
ネガティブ要素を脇に追いやるくらい、私はいい面もあると思っていますよ。
仏教用語で「天上の花」の意味がある
彼岸花を庭に植えるメリットのひとつは、仏教用語で「天上の花」の意味があること。
この花が天から降ってくるのは、「おめでたい出来事」や「幸運の兆し」と結びつけられています。
民間伝承の「縁起が悪い」説とは真逆ですね。
良い花言葉も持っている
彼岸花を庭に植えるメリットのひとつは、良い花言葉を持っていること。
赤色の彼岸花は
- 「情熱」
- 「再会」
といった意味を持ち、庭に咲かせることで愛情や希望を表現できます。
白色の彼岸花は
- 「また会う日を楽しみに」
- 「想うはあなた一人」
という感動的な花言葉を持ち、愛や純粋な感情を象徴します。
黄色の彼岸花は
- 「陽気」
- 「元気」
といった前向きな要素を含んでおり、明るさや活力を庭にもたらします。
彼岸花を育てることで庭が希望に満ちた場所となり、美しい花を楽しむだけでなく、心の癒しや励ましを得ることができるでしょう。
彼岸花を安全に庭で育てる注意点
「毒」と「縁起の悪さ」というデメリットがある彼岸花なので、庭で育てる際には注意が必要です。
私が考える安全策がこちらの3点。
- 小さい子供やペットがいる家庭では地植えは避ける
- 鉢植えで育てる
- 縁起を気にする年配の家族がいる場合は要相談
小さい子供やペットがいる家庭では地植えは避ける
子供やペットは好奇心旺盛で、庭で走り回ったり、穴を掘ったりすることがよくあります。
このような状況下で地植えの彼岸花を栽培すると、彼岸花の球根を掘り起こしたりする危険性が高まります。
有毒な植物に触れることで健康リスクが発生し、重大な中毒症状を引き起こす可能性が……。
そのため、小さな子供やペットがいる場合は、彼岸花を庭ではなく鉢植えで育てるか、他の無害な植物を選ぶことを検討しましょう。
鉢植えで育てる
彼岸花を庭で安全に育てるための最良の方法は、鉢植えでの栽培。
鉢植えで彼岸花を育てることには、子供やペットが彼岸花の毒に触れさせないという観点から大きなメリットがあります。
彼岸花は全体に有毒で、特に球根には毒性成分が濃く含まれています。
しかし鉢植えにすれば、場所を選んで設置できるので、子供やペットが誤って触れるリスクを大幅に軽減できます。
安全性を確保するために、彼岸花を鉢植えで栽培することをおすすめします。
縁起を気にする年配の家族がいる場合は要相談
彼岸花を庭で育てる際、年配の家族が縁起や伝統に敏感である場合は、十分な注意が必要です。
彼岸花は「死」と関連付けられ、縁起が悪いと考えられていることがあります。
このような状況では、家族とのコミュニケーションが大切。
家族が彼岸花の栽培に否定的である場合、その理解を尊重することが重要です。
縁起に関する信念は個人個人で異なるため、家族の意見を尊重し、話し合いを通じて妥協点を見つけたいですね。
まとめ
彼岸花を植えてはいけないと言われる理由は
- 根っこに「強い毒」があるから
- 「死」を連想させる縁起が悪い植物だから
- 不吉な「迷信」がたくさんあるから
- 不吉な「別名」がたくさんあるから
- 「悲しい思い出」・「あきらめ」などネガティブな花言葉を持つから
という7つの点からでした。
毒性以外はすべて昔から根強く残っている思い込みや迷信です。
子供やペットのいない家で、迷信の類を信じない人はなんの躊躇もなく植えられていいのではないでしょうか?
ただ、よく見える場所に植えると隣人やご近所の人からは不評を買う恐れもあるので、その点だけは要注意ですね。
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