身内が亡くなり喪中として迎える年末年始。
世間体を気にして、ひっそりと過ごさないといけない気がします。
もちろん、気分的にもシュン…となるのは当たり前です。
いつもの年なら普通に行っていた色んな行事を、やって良いのか迷ってしまう人が多いでしょう。
そこで今回は
- 喪中に年越しそばを食べていい?
- 喪中におせち料理やお雑煮は食べていい?
- 喪中に新年の挨拶・飾り付け・初詣はOK?
などなど、喪中の年末年始にやっていいこと・悪いことをリストにしてまとめましたので、参考になさってください。
喪中の年末年始にやって良いこと・悪いことリスト
身内を亡くして初めて喪中のまま年末年始を迎える方。
年末年始は晴れやかなめでたい行事が続きますが、それをひとつひとつ確認し、やっていいのかチェックしていきましょう。
大晦日に年越しをそばを食べる⇒OK!
大晦日の紅白歌合戦を見ながら、年越しそばを食べるのが長年の習慣という人も多いですよね。
年越しそばを喪中に食べるのは全く問題ありません。
なぜなら、年越しそばを食べる風習は「祝い事」ではないですし、「お祝い料理」ではないからです。
「そうか、喪中でも食べてもいいんだ!」と心から納得したい方は、年越しそばの由来を読んでみてください。
年越しそばの由来は諸説ある
年越しそばの由来は、以下のように諸説あります。
- 一年の災厄や苦労を断つため(そばの麺を噛み切って食べるところから)
- 延命や長寿を願って(そばの麺が細くて長いところから)
- 家族の縁が長く続くことを願って(そばの麺の長い形状から)
これの3つが代表的な説ですが、ほかにもまだたくさんあります。
これらを読むと分かるのは、「何かをお祝いする目的ではない」こと。
むしろ「亡くなった人の分まで長生きをしよう」と願いをこめられるので、食べたほうがいいくらいです。
ですから、喪中に食べても平気なんですね。
おせち料理を食べる⇒ケースバイケース
おせち料理は、喪中なら「絶対に避けるべき」とする意見と、故人が亡くなってから50日(忌中)を過ぎれば「食べても良い」とする両極端な考え方があります。
神社やお寺、または地方の風習によってケースバイケース。
ただ、最近では喪中でも気にせず食べる方が増えているそうです。
とはいえ、お正月をお祝いする意味の「尾頭付きの鯛」や「海老」、「紅白かまぼこ」をデカデカと入れたお節料理を用意するのは気が引けるでしょう。
気が引ける方は、おせち料理に入っている「数の子」・「栗きんとん」・「黒豆」などを単品のおかずとして食べるといいですよ。
いつもお節料理を詰めている重箱は使わず、普段の食事で使うお皿に盛り付ければOK。
それなら見た目にも気分的にも気兼ねなく食べられますから。
お雑煮を食べる⇒OK
お雑煮も基本的にお節料理と同じ扱いです。
「食べてはいけない」という声も一部ではありますが、ほとんどの方が喪中でも食べているようです。
もちろん、紅白のかまぼこのような「いかにもめでたい食材」を使わず、お雑煮用の金粉をあしらったような特別なお椀で食べない。
そんな「質素なお雑煮」にする配慮は欠かせません。
そうして、あくまでお餅が入った汁物を普通の食事として食べる分には、問題ないでしょう。
祝箸を使う⇒NG
お節料理やお雑煮を食べる際には、祝箸を使うのが習慣としてありますね。
昔からの風習では箸袋に家族の名前を書いて、それでおせちや雑煮を食べるのが当たり前でした。
しかし、喪中の期間は祝い事は一切NGですから、当然ながら祝い箸を用意するのはやめましょう。
おせちもお雑煮も普段使っている普通の箸で食べるようにします。
除夜の鐘をつく⇒OK
大晦日の夜にはどこか遠くのお寺から除夜の鐘が聞こえてきます。
なかには除夜の鐘をつかせてもらえるお寺まで出かけて、「ゴーン……」とやるのが毎年の恒例行事だという人もいらっしゃるでしょう。
ご安心ください、喪中でも除夜の鐘をつくのは問題がありません。
除夜の鐘をつくのは、人の心にある108の煩悩を取り除くためです。
なので、何も「めでたいぞ~」と意味をこめたお祝いの行事(慶事)ではないため、喪に服していようが関係ないわけですね。
新年の挨拶をする⇒NG
喪中には年賀状を出せないように、口頭での「あけましておめでとうございます」という新年の挨拶は控えないといけません。
相手から「あけましておめでとうございます」と挨拶をされたら
「昨年はお世話になりました。本年もよろしくおねがいします。」
と返すのが無難です。
最後に「実は喪中でして……」と付け加えると相手も察してくれるでしょう。
ただし、仕事関係の相手には喪中であることをあえて伝える必要はありませんから、普通に「あけましておめでとうございます」と挨拶してもかまいません。
また、こちらが喪中だとは知らない友人・知人から新年の挨拶メールが届いたら
「寒中お見舞い申し上げます
昨年は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いいたします」
こんなふうに、新年を祝う言葉は省いて返しましょう。
文面の最後に喪中であることを軽く付け加えてもいいですね。
門松・鏡餅・注連縄などの正月飾りをする⇒NG
いかにもなお正月らしい雰囲気を作り出すのが、お正月飾り。
いまでは門松や注連縄を飾る家は珍しいですが、鏡餅なら多くの家庭で飾るのではないでしょうか。
しかし、喪中では正月飾りを飾り付けるのはタブーです。
このような飾り付けをするのは、歳神様を招く目的のためなのは、ご存知でしょうか?
歳神様のような神様は穢れを避け、清浄なところを好みます。
そのため、喪中に家に招くのは失礼にあたるため、一切の飾り付けは不要です。
くわしい情報はこちらをご覧ください。
■関連記事:喪中の正月に鏡餅(お供え)や門松を飾っても良い?
初詣に行く⇒ケースバイケース
初詣の行き先は、住んでいる地域や信仰などで変わりますよね。
人によってはお寺と決めていたり、あるいは神社と決めていたり。
お寺と神社、それぞれの行き先で「行っていいかどうか?」が変わります。
お寺に初詣に行く場合
お寺に初詣に行くのは喪中でもまったく問題ありません。
そもそも初詣の目的は、昨年一年の感謝と今年一年の無事や平安を祈願するため。
まったく「お祝い色」はないので、喪中でも関係ないんですね。
神社に初詣に行く場合
神社に初詣に行くのは、故人の没後50日以内はNGです。
神社(神道)においては死は「穢れである」とする考えがあります。
そのため、神道において故人の没後50日以内を特別に「忌中」と呼び、その期間は神社へのお参り(鳥居をくぐることも)はタブーとされます。
逆に言えば、喪中とはいえ、忌中が過ぎていれば神社にも初詣ができると言えますね。
おみくじを引く⇒OK
おみくじを引く意味は、吉凶を占うためにあります。
新年をお祝いする行為には当たりませんので、お寺や神社などに参拝することができれば、喪中でも引いても問題ないでしょう。
お年玉を上げる⇒OK
お年玉は本来は「歳神様からの贈り物」という意味があるため、歳神様を家に招かない喪中のお正月に子どもたちに与えるのは誤った行為です。
しかし、最近では親や親戚からの「お正月のお小遣い」の意味あいが強くなり、子供たちも楽しみにしているため、喪中でも上げるのが当たり前になっています。
一応、通年のお祝い事とは一線を引いて、「お年玉」の言葉を避けて「お小遣い」の名目として、子供にもよく説明したうえで渡すといいでしょう。
お年玉を入れる袋は、ポチ袋は避けて無地の封筒にすれば、お祝い色が薄れます。
喪中の基礎知識
知ってるようで知らない喪中の基礎的な知識をご紹介します。
「喪中」とは?
喪中とは「喪」に服す期間のこと。
「喪」は、近親者の死後に、死者を偲んで社会的な行動を慎むことを指します。
この喪中の期間は、故人の死後一年間続きます。
喪中の期間には、自らの結婚式や入籍は避けたほうがいいとされます。
旅行については絶対にダメというわけではなく、個人の気分次第で行ってもかまいません。
喪中と忌中の違い
喪中のほかに「忌中」という期間もあります。
この忌中は、故人の死後から
- 仏教では、四十九日間
- 神道では、五十日間
とされています。
死を穢れとする神道から生まれた考えですが、仏教においても忌中があり、そのため期間には1日のズレがあります。
忌中が終わることを「忌明け」と呼び、忌明けが過ぎれば神社でも初詣が可能になります。
まとめ
喪中として迎える年末年始の行事で、行って良いこと・悪いことをご紹介してきました。
あらためて、最後に一覧にしてまとめてみました。
- 年越しをそばを食べる⇒OK
- おせち料理を食べる⇒ケースバイケース
- お雑煮を食べる⇒OK
- 祝箸を使う⇒NG
- 除夜の鐘をつく⇒OK
- 新年の挨拶をする⇒NG
- 門松・鏡餅・注連縄などの正月飾りをする⇒NG
- 初詣に行く⇒ケースバイケース
- おみくじを引く⇒OK
- お年玉を上げる⇒OK
こうして見ると意外と「やって良い」ことが多いですね。
「ハッピーニューイヤー」と盛大に新年を祝う行為は慎むのが基本ルールですが、今年一年の健康などをお祈りする行為ならまず平気ですよ。
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